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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
「俺はそれほど強く押しちょらんよ。軽く背中を突いただけけっちゃ。それでも、バランスを崩して落ちそうになったじゃろ」
織田村は金魚のように、口をパクパクと動かすだけだった。怒りのあまり、声にならないらしい。
兼行は気にせず、喋り続ける。
「この石段は、狭いし、急やし、見下ろすと、吸い込まれるような錯覚を起こす。もし、酒なんか飲んで酔っぱらっちょったら、お前が言うように、下まで簡単に飛べると思うかもしれん」
☟本日更新はここから
瞬間、すうっと、織田村の顔から、怒りが消えて行く。
「……まるで、見ていたような口振りですね」
兼行も、ふと真顔になった。
「そんなん、誰でも思いつくやろ」
言うなり、ぷいっと視線を逸らし、中央の広場を見遣る。少し早口で、兼行は続けた。
「大昔、この辺りには、神社があったって聞くし。神子ってくらいだから、訪ねてきた者に、御神酒を振るまっちょったって、おかしくはないやろ」
「神社……?」
引っかかる何かを探るように、矢儀は聞き返していた。
「あ、ああ……らしいぞ。聞いた話やけど」
兼行の返答を背に、矢儀は、中央の広場を見渡す。
〜続く〜