あれ……
小説は朝更新のはずが
本日は夜になってしまいました
良かったら寝る前にサクッとどうぞ(笑)
途中からなので
下記☟
”これまで”を
お読み頂けたら
嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
「もしかして――」
織田村は一瞬躊躇いを見せたが、ズバリ問うた。
「四年前の事故は、神子さんが“お客さん”に、何かした可能性も考えられますか?」
矢儀は内心ドキリとする。
ところが、老女は、きょとんと目を丸くするだけだった。織田村は気にせず、畳みかける。
「死者に会える、痛みが取れる、羽が生えたように身体が軽くなる――お聞きした神子さんの妙な力は、どれも相手に思い込ませれば可能ですよね。となると、四年前も、例えば、石段の下まで飛べると思い込ませれば――」
「あんたぁ、おもしろいことを言うてやねぇ」
老女が苦笑する。
☝ここまでが前回でした
「まぁ、最後の神子さんは、並はずれた力を持っちょったらしいしからねぇ。もしかしたら、そねぇなこともできたかもしれんけど。じゃけど、あの人じゃあないよ」
老女は、はっきりと否定した。
「最後の神子さんじゃった松重志乃さんは、上の者の割には、比較的まともな人じゃったんよ。私ゃあ、同級生じゃったけぇ、よお知っちょる。物静かで、子供の頃から、大人びちょった。加えて、飛び抜けて器量が良ぉてね。ほれじゃけぇ、近寄りがたい雰囲気はあったわ。じゃけど、べっぴんさんは、やっぱり幸が薄いんかね。あの人は結局、年を取ってから、未婚で子供を生んでねぇ」
得意の「私ぁよぉは知らんけど」を前置きに、老女は再び、堰を切ったように喋り出す。
「相手はどうも須藤さんとこの長男じゃったらしいんよ。須藤ちゅうのは昔の庄屋で、大きな家じゃったからね。こう言うちゃあ何じゃけど、志乃さんは上の者じゃったし、しかも志乃さんのほうがずっと年上でねぇ。そねぇな女性と一緒になるっちゅう長男に、当然親族は猛反対したらしいんっちゃ。中でも母親は半狂乱になって、包丁まで持ち出したとか。「女の腹を刺して自分も死ぬ!」っちゅうて泣き叫ぶんを、近所の人が聞いちょったらしいよ」
ようやく口を噤んだ老女は、肩を落とし、ふうっと長い息を吐く。
「まぁ結局、志乃さんにはいくらか金を渡して、息子と縁を切らせたんじゃろうねぇ。須藤さんとこの長男は、その後すぐに他から嫁を貰うたんよ」
〜続く〜