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はじかれ者中学生３人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
ミコ……聞き覚えのある名前だ。
矢儀は急いで記憶を巻き戻す。そう――稔や美紀の話では〝ミコさん〟は、上の最後の住人の名前。抑揚のないイントネーションからして、名字かと思っていたが……。
老女は、矢儀の困惑ぶりを可笑しそうに眺めながら、補足する。
「神様の”神”に、子供の”子”で神子」
空中に字を書いた老女は、軽蔑の薄ら笑いを頬に浮かべる。
☝ここまでが前回でした
「上に居ついた罰も、いろいろあったんよ。頭がおかしゅうなる者もおりゃあ、妙な力を持つ者もおってねぇ。じゃけど、余所者は上の事情なんて何も知んけぇ。純粋に神子に視てもらおうと、上を訪ねて行く者は、昔から結構おったんよ」
「あの！」
いきなり織田村が、声を上げる。
「妙な力とは、どんな力ですか？」
横に目を遣ると、織田村のいつにない真剣な眼差し。老女は、意気込む織田村をチラリと見遣る。
「私ゃあ、関わったことがないけぇ、詳しい事はよぉ知らけど」
前置きの後、冷ややかな嘆息を漏らし、老女は喋り出した。
「余所からだけじゃなくて、未遠にも、神子を頼って上に行く者は、昔から一定数おってねぇ。なんでも、視てもろうた者の話じゃあ、神子の言葉は、よう当たるんじゃそうよ。死んだ者に会わせてもらえるとも言いよったかねぇ。他にも、痛みが取れたとか、体が楽になって羽が生えたように軽うなったとか――」
ふと、話が途切れる。
「それにしても」と、老女はフンと鼻先に冷笑を浮かべた。
「私が子供ン頃には、たとえ上で視てもろうても、決して口にはせんかったがねぇ。いつ頃から、平気で言いふらすようになったんか」
〜続く〜
