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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

③ケ・ハレ 第二章(上の秘密)

石段の上の秘密

 

 

 

 

☟前回文末部分

 

 調子( ちょうし)よく(しゃべ)っていた老女は、そこでふと、話し相手(あいて)が中学生と思い出したらしい。

「いや、まぁ」と、幾分(いくぶん)()ずかしそうに、手をひらひらと振って、ひとり()()がる。

「もちろん、私ゃあ、何も見んかった()りをして、通り()ぎようとしたんよ。じゃけど、女の子のほうが、急に(くる)しそうな(うめ)(ごえ)()げ出してねぇ。最初は具合(ぐあい)が悪うなったんかと思うちょったら、急に豹変(ひょうへん)したんよ。雄叫(おたけ)びを()げたり、ケラケラ笑ったり。かと思うたら、いきなり泣き出したり。結局(けっきょく)、相手の男が、女の子を引きずるように連れて帰ったけどね。まーぁ、とにかくたまげたわ」

 老女は、若干(じゃっかん)()がった背中を精一杯(せいいっぱい)()()らせ、(おどろ)いてみせた。

 

☝ここまでが前回でした 

 

 

 一端( いったん)()のついたお(しゃべ)りは、(いきお)いを()す。

「子供の頃から、(うえ)にゃあおかしい(もん)が多いと、聞かされちゃあおったけどねぇ。それでも、私ゃあ半信半疑(はんしんはんぎ)じゃったんよ。じゃけど、実際(じっさい)()()たりにするとねぇ」

 いかにも当惑(とうわく)した(ふう)眉根(まゆね)()せる。これ()よがしな(ため)(いき)の後「まぁ、ほれでも」と、老女(ろうじょ)眉間(みけん)(しわ)(わず)かに(ゆる)ませた。

「昔からようけ余所者(よそもの)(うえ)(たず)ねて行っちょったわりには、よう犠牲者(ぎせいしゃ)が一人で()んだいーね」

 ()()は、一瞬(いっしゅん)、老女のぼやきの意味(いみ)()からなかった。どもりながら、(あわ)てて聞き返す。

「そ、そんなに、余所(よそ)から(うえ)を訪ねて行く人が、いたんですか? いったい、何のために?」

「そりゃあ、(うえ)にゃあミコがおったからねぇ」

 当然(とうぜん)とばかりに、老女は答える。

 ミコ……聞き(おぼ)えのある名前だ。

 矢儀は(いそ)いで記憶(きおく)()(もど)す。そう――(みのる)美紀(みき)の話では〝ミコさん〟は、(うえ)の最後の住人(じゅうにん)の名前。抑揚(よくよう)のないイントネーションからして、名字(みょうじ)かと思っていたが……。

 老女は、矢儀の困惑(こんわく)ぶりを可笑(おか)しそうに(なが)めながら、補足(ほそく)する。

「神様の”神”に、子供の”子”で神子(みこ)

空中(くうちゅう)に字を書いた老女は、軽蔑(けいべつ)(うす)(わら)いを(ほお)()かべる。

 

 

〜続く〜

 

 


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