途中からなので
下記☟
”これまで”を
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嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
矢儀は、角度を変えて、再度問うてみる。
「つまり――山神様の存在を知らない今の若い人たちは、まったく別の理由で、上をタブー視している、と?」
「別っちゅうわけでもないんよ。そもそもは、上に居ついたあれらの先祖が悪いんじゃけぇ」
老女は不満そうに口を尖らせる。
☝ここまでが前回でした
「上は、山神様がおわす場所。人が好き勝手にやってええ土地じゃないんよ。なのに、あれらの先祖は、そんな神聖な土地に家を建てたり畑を作ったりするけぇ、罰が当たったんよ」
「罰? ……もしかして、上の人が二人も、石段から落ちて亡くなった件ですか?」
「まぁ、それは結果じゃろうねぇ」
結果? 分かりにくい言い回しだ。
矢儀は、投げかけやすい矛盾点をついてみた。
「でも、四年前に亡くなった方は、余所の人だったんですよね?」
「こないだのは……」
老女はスッと視線を逸らせた。
「上の者に何かされたんじゃろ」
ねじ曲がった口先をぼそぼそと動かす。
しばらく黙っていた織田村が、「何か、とは?」と割って入った。
老女は「そりゃあ、わからん」と、そっぽを向く。
「ただ――警察は、本人が誤って落ちたっちゅうことで、決着をつけたらしいけどねぇ」
どうやら、稔や美紀と同じ考えらしい。
「腑に落ちない点があると、お考えなんですか?」
矢儀は、先に聞いた“フジヨシ”さんの名前は出さず、ただ軽く首を傾げてみせる。
「別に、私だけが思うちょるわけじゃあないんよ」
背の低い老女は、強い視線で矢儀を見上げてきた。
「未遠の者なら、皆わかっちょる。言い方は悪いけど、上にゃあ、おかしい者が多かったけぇねぇ」