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スミマセンあせる

本日朝更新できませんでした

 

 

途中からなので

下記☟

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お読み頂けたら

嬉しいですニコニコ気づき

 

 

はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

③ケ・ハレ 第二章(上の秘密)

石段の上の秘密

 

 

 

 

☟前回文末部分

 

 

「それで今、未遠(みとお)の石段について調べていて――」

 老女の眉根(まゆね)がぐっと寄る。

予想(よそう)(どお)りの反応だ。矢儀は、なに()わぬ顔で続けた。

(くだ)ったところに、古い石段がありますよね? 実は昨日、未遠の方から、石段以外に、石段の(うえ)()がる道もあるとお聞きして――」

(うえ)にゃあ、立ち入るもんじゃない」

 深い(しわ)がさらに深くなり、老女の目つきが変わる。

 

☝ここまでが前回 

 

 

 

 ふと、線香(せんこう)(にお)いが鼻をかすめた。老女(ろうじょ)手元(てもと)を見ると、小さな(ぬの)カバンの中に()の長いライターと線香(せんこう)の箱が見える。どうやら、この道の先は、(みのる)美紀(みき)話通(はなしどお)り、墓地(ぼち)間違(まちが)いなさそうだ。

 ()()高揚(こうよう)する気持ちを必死(ひっし)で押さえた。どうやって話を引き出そうか。次の言葉に慎重(しんちょう)になる。

 ところが、老女(ろうじょ)意外(いがい)にも、自分から(しゃべ)り出した。

「上は、その昔は、山神(やまがみ)(さま)がおわす神聖(しんせい)な場所じゃったんじゃけぇ」

「山神様?!」と、背後(はいご)から織田村(おだむら)が、()頓狂(とんきょう)な声で聞き返す。

(くわ)しく教えてください!」

「詳しくと、言われてもねぇ」

 織田村の意気込(いきご)みに、老女は、若干(じゃっかん)()がった背中(せなか)が後ろに(かたむ)く。

「山神様のことは、曾祖母(ひいばあ)さんから聞いただけじゃけぇ。その曾祖母さんも、直接は知らん大昔(おおむかし)の話じゃけどねぇ」

 矢儀は、ポケットから、(いそ)いでメモ帳とペンを取り出した。頭の中で、(おお)よその時代をはじいてみる。

 今、目の前にいる老齢(ろうれい)の女性は、おそらく八十代前半。となると、曾祖母(そうそぼ)は……ものすごく大雑把(おおざっぱ)見積(みつ)もって、明治(めいじ)(はじ)(ころ)の生まれか。

 つまり、山神様を信仰(しんこう)していた時代は、明治より前――。

「昔の未遠(みとお)の人は、(うえ)におわす山神様を、それは大事(だいじ)にしちょったらしいんよ」

メモを取っている間にも、老女は、実によく喋ってくれる。

「山神様っちゅうのは、未遠の土地(とち)神様(がみさま)のことよ。高台(たかだい)()(せん)が引かれる前の未遠(みとお)(がわ)は、しょっちゅう氾濫(はんらん)しちょったらしいけぇ。家が流されたり、田畑が水に()かってしもうたり。ほれもあって、昔の人は、鎮守(ちんじゅ)の土地神様に対する信仰(しんこう)(しん)が厚かったんじゃろうね」

 一息(ひといき)ついた老女は、「じゃけど――」と、不意(ふい)鼻白(はなじろ)んだ顔をする。

「それも昔の(はなし)ぃーね。すっかり時代も変わってしもうて。そもそも今の若い人は、なんで(うえ)はいけんのか、はき(ちが)えちょるもんも多いしね」

 老女は、露骨(ろこつ)忌々(いまいま)しそうな顔をした。

 

 

 

 


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