途中からなので
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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
次第に薄くなる青空に気が急く。下り坂のおかげで、上か下かと悩んだ場所までは、すぐに戻れた。ここからは、右手の山際を注意深く目で追う。だが、それらしき脇道は、まったく見当たらない。少し、上まで行き過ぎただろうか。カーブを曲がると、少し視界が開けた。
「あ! いかにもな入り口!」
いきなり、織田村が叫ぶ。遅れて矢儀も気づく。右に大きく弧を描いた道の先に、チラリと見える脇道。山の麓を抉ったような入り口だ。
(☝ここまでが前回)
「やっと見つけた!」
まだ、目的の道かどうかは分からないのに、織田村は一人燥ぐ。ぐんぐんと自転車を飛ばし、あっと言う間に、兼行を追い越した。
矢儀も、逸る気持ちから、ペダルを踏む足に力が入る。織田村に続いて、ノロノロ行く兼行を追い越す。間際、横目に、兼行の表情を盗み見た。端整な横顔に、一切の感情はない。切れ長の大きな目は見開かれたまま。兼行はただ一途に、いかにもな道を睨んでいた。
3
目測では、およそ五、六百メートル。ただ、下り坂ゆえに、あっと言う間にたどり着く。
遠目では入り口しか見えなかった脇道は、緩やかな上り坂だった。
五十メートルくらい行くと、左に大きく曲がり、その先は見えない。幅は車二台がギリギリ行き交えるほど。山に分け入る道の割には、地面は綺麗だった。近年、アスファルト舗装がされたと思われる。削った壁面も、コンクリートで土留めされていた。
「間違いなく、ここですよ!」
織田村は、自転車に跨ったまま、異様に興奮した声を上げる。
「不自然に道が新しいし、左側は、削って補強されてますよね! 昨日聞いた話の通りだ」
異論はない。おそらく、当たりだろう。
矢儀は、とりあえず自転車を降りた。左側のコンクリート擁壁を、じっくり眺める。
稔と美紀の話では、上へ続く道の入り口は削られ、わからなくなっているらしい。でも、道そのものはあるはずだ。舗装された部分より上に上がれば、入り口は見つかるかも――
矢儀が想像を巡らした時だった。
カーブの先から、ひょっこり人が現れる。