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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

③ケ・ハレ 第二章(上の秘密)

石段の上の秘密

 

 

 

 

「え? 兼行先輩って園なんですか?」

 織田村が、驚いた声を上げる。若干(じゃっかん)(いぶか)()(ひび)きが(ふく)まれていた。

 一番後ろを走る兼行は、(しら)け切った顔で、(うなず)くことすらしない。

 今( いま)(さら)質問(しつもん)だが、そもそも兼行は、自分のことをあまり(しゃべ)らない。なのに、学年も違う織田村を()めては、さすがに気の毒だ。それに、織田村は、今年の春、()()に越してきたばかり。

 矢儀は、()めた空気を変えるため、道すがら、園地区の事情について説明した。

 

 

(☝ここまでが前回)

 

 

 

(その)も、今でこそ中学校は廃校(はいこう)になったけど、昔はそれなりに、子供も大人もおったらしいんよ。ただ、昭和五十年頃から、何にもなかった園の南側が(じゅう)宅地(たくち)になって、当然、道路も整備された。園の道が綺麗(きれい)なんは、その延長(えんちょう)線上(せんじょう)だからだよ。おかげで、仁保からは園経由(けいゆ)で町に出やすくなったけどの」

 矢儀は、遠く、園の地に目を()せながら続ける。

「問題は、園が、新興(しんこう)(じゅう)宅地(たくち)からも、()()からも、中途半端(ちゅうとはんぱ)な位置にあることじゃろうの。近年は、人口の流出(りゅうしゅつ)が止まらんらしい。じゃけぇ“(さび)れている(わり)に道が綺麗”なんよ」

兼行(かねゆき)が「へぇ」と感心(かんしん)した声を上げる。自分の住むところなのに、初めて知ったようだ。

 織田村(おだむら)は、聞いているのか、いないのか。ひとり、物思(ものおも)いにふけっている。

 遠くに、園の風景が見えていた区間(くかん)は、(わず)かだった。道は、高野(たかの)(だい)迂回(うかい)するため、カーブが多い。園の風景は、すぐに見えなくなった。途中、木々に(おお)われた薄暗(うすぐら)い道をひた走る。視界(しかい)(ひら)けたところで、未遠(みとお)(がわ)が見えてきた。橋を渡った先で、道は二手(ふたて)に分かれている。

「ここ、左でええんよの?」

 振り返って、一応(いちおう)、兼行に問う。返答(へんとう)はない。なので、間違いなさそうだ。

 矢儀は躊躇(ちゅうちょ)なく左折(させつ)し、未遠川に沿()ったなだらかな(のぼ)り道に入った。

 少々前太股(まえふともも)(あつ)を掛けながら、自転車をこぐ。

 雲一つない(あき)()れではあるが、今日は風が強い。行きは向かい風となり、おかげでペダルは一層(いっそう)重かった。振り返ると、織田村は案外(あんがい)ついてきている。兼行は、およそ五十メートル後方(こうほう)を、のらりくらりと来ていた。

 石段はどのあたりだろうか。

 矢儀は、左手の高台(たかだい)を見上げある。が、斜面(しゃめん)(おお)う木々がブラインドになり、まったく見当(けんとう)がつかない。

 

 


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