途中からなので
下記☟
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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
「そもそも占いなんて、当たるも八卦、当たらぬも八卦って、言うじゃろ」
「まぁね、信じ切って、多恵みたいになりたくないし」
多恵……?
聞き覚えのある名前だ。
(☝ここまでが前回)
友達の隣に座り直した女生徒は、軽く肩を竦めた。
「ってか、多恵の場合は、それ以前の問題やった気もするけど」
「たしかに。躁鬱が激しかったもんね。占いで、佐内くんとの相性が最悪だって分かってから、ますますおかしくなっていったよね」
佐内の名前が出てきて、矢儀はようやく気づく。そうか、多恵って――教室から転落死した岡屋多恵のことか。
「でも、正直、私は佐内くんに同情するわ。多恵の執拗さって、ちょっと怖いくらいやったし――」
言葉を切った女生徒と目が合う。気づいた友達も、矢儀に怪訝な目を向けてきた。二人から向けられる、虫けらを見るような目。
おっかなさと、聞き耳を立てていた恥ずかしさから、矢儀はそそくさと、その場から退散した。なんだか先程から、盗み聞きをしてばかりだ。足早に部室に向かう。が、途中で、はたと思い出す。
そうだった! そもそもは、部室の鍵が開いてないんだった!
どっと疲れが出た。一気にいろんな情報が入ってきて、頭の中がごちゃごちゃする。
ひとつ言えることは、藤津が集めた情報は、なかなか正確のようだ。岡屋多恵の躁鬱病説は、どうやら本当らしい。