8日連続投稿できた
(日付変更線を跨(また)いだけど(笑))
途中からなので
良かったら
下記☟
”これまで”を
お読み頂けたら
嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
その石段、通るべからず
「で? どこが事件なん?」
進まない遣り取りに、兼行が痺れを切らす。
矢儀は「稔さんと美紀さんの話には続きがある」と、核心に迫った。
(ここまでが前回)
「二人とも、転落死した人間がフジヨシさんではなく、未遠とは関係のない余所者とわかるや、今度はフジヨシさんを犯人扱いした。一応フジヨシさんには、アリバイがあったらしい。警察も事故で片付けちょる。じゃけど、二人は未だに疑っちょるみたいじゃった」
「どうして、アリバイのあるフジヨシさんを、そこまで疑うんだ?」
兼行が、露骨に嫌悪感を示す。
「さぁな」と矢儀は肩を竦めた。
アスファルトを叩く雨音が、部室内に満ちる。沈黙が落ちる手前で、織田村が口を開いた。
「なぜ、フジヨシさんだと決めつけたのかは、わかりませんけど……」
ムスッとした顔で、織田村は続ける。
「ただ、稔さんや美紀さんは、上の者を完全に見下していましたよね」
平坦な口調には、明らかに怒気が含まれていた。
「他者を貶めて、線引きをして、自分たち側はマトモと言わんばかり。あの選民意識って、何なんでしょね。正直なところ、聴いていて、すごく不快でしたよ」
織田村が、ここまで腹を立てているとは、意外だった。兼行も驚いて目を瞬かせている。
強い拒否反応を示した織田村は、一層不機嫌に宙を睨み、淡々と述べる。
「しかも、田舎の人って、線引きされた側も、あまり抗わないですよね。上の人たちも、諦めて、受け入れていたのか。でも、だから長い間、差別が続いたんだと思います」
織田村は、今年の春まで、東京で暮らしていた都会っ子だ。田舎独特の雰囲気には、思うところがあるのだろう。