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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

 

 

 背を向けようとする二人に――いや、正確には、兼行に()うた。

「四年前の転落は、事故だったんだよな?」

 

(ここまでが前回)

 

 

 

 織田村(おだむら)は、興味(きょうみ)眼差(まなざ)しを持って()(かえ)る。兼行(かねゆき)は、能面(のうめん)()り付けたような無表情(むひょうじょう)で振り返った。

「俺が知っちょるわけねぇじゃろ?」

 言うなり、(くちびる)片側(かたがわ)だけを大きく()()げる。

「石段を(のぼろうとした威勢(いせい)の良さはどこへ行った? 未遠(みとお)の人に(なん)か言われたんか?」

 そもそも聞き取り調査中(ちょうさちゅう)、兼行はどこへ行っていたのやら。

()()仕方(しかた)なく、聞き取った内容(ないよう)要約(ようやく)して話す。

「四年前の転落は事件(じけん)だったと――少なくともあの二人は、(かた)く信じちょるみたいだ」

「事件?」と、兼行は眉間(みけん)(しわ)を寄せて(いぶか)る。

 軽く(うなず)いた矢儀は、手持(ても)ちの二枚の雑巾(ぞうきん)に目を落として続けた。

「そもそもあの石段では、戦後(せんご)すぐ、立て続けに、若い男性が二人、落ちて()くなっちょるらしい。男性は二人とも、石段の(うえ)住人(じゅうにん)であり、太平洋(たいへいよう)戦争(せんそう)帰還兵(きかんへい)だった」

 ちらりと、兼行を見る。(ととの)った顔は、また、能面(のうめん)()り付けたような無表情(むひょうじょう)になっていた。

前例(ぜんれい)があったからだろう。四年前の転落事故の時も、未遠(みとお)の人は、また(・・)(うえ)(もの)が落ちたと思ったらしい。(うえ)の“フジヨシさん”が落ちた――と」

 一旦(いったん)、話が途切(とぎ)れたところで、織田村が不可解(ふかかい)そうに(つぶや)く。

「考えてみたら、(へん)ですよね。どうしてすぐに、フジヨシさんだと決めつけたんでしょう。(うえ)には他に、(だれ)()んでいなかったのかな」

 矢儀は、すぐに訂正(ていせい)を入れた。

「いや、最後の住人は、“ミコさん”って話だった」

「だったら、余計(よけい)に……どうしてフジヨシさんだと、思ったんでしょうか?」

「で? どこが事件なん?」

 進まない()()りに、兼行が(しび)れを()らす。

 矢儀は「(みのる)さんと美紀(みき)さんの話には続きがある」と、核心(かくしん)(せま)った。

 

 


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