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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

 

 

 矢( や)()織田村(おだむら)も、豪快(ごうかい)()きっぷりに思わず目が()く。

 だが、兼行(かねゆき)は、(そそ)がれる視線にまるで気づかない。どこか(うわ)(そら)で、二枚目の雑巾(ぞうきん)に手を()ばす。と同時に、ようやく(われ)(かえ)ったらしい。

「なんだよ?」と、とびきり不機嫌(ふきげん)な顔で(にら)んできた。

「いや、しっかり()いちょけよ」

 矢儀は、笑顔で伝える。

風邪(かぜ)なんか引いちょられんぞ。明日も未遠(みとお)に行くんじゃけぇ」

「はぁ?!」と、兼行は、批判(ひはん)(しょく)の強い頓狂(とんきょう)(こえ)()げた。

部活(ぶかつ)は火、金じゃろーが! 明日は水曜日だ」

「そうですよ。行くなら、部長一人で行ってください」

 織田村も、()みつかんばかりの(いきお)いで反対してくる。

 矢儀は「ほぉ」と、眼鏡(めがね)までずぶ()れの織田村を、チラリと見た。

臨時(りんじ)部活動(ぶかつどう)は、部長(ぶちょう)が決めるんじゃったよの。なのに、部長一人で行けとは……」

 (つくえ)(うえ)のボロ雑巾(ぞうきん)を一枚手に取りながら、矢儀は、(おだ)やかな口調(くちょう)で続ける。

「まぁ、部活動はたいして内申(ないしん)には(ひび)かんけど。だだ、教師(きょうし)案外(あんがい)見ちょるからの」

水滴(すいてき)(したた)るシャツの(すそ)雑巾(ぞうきん)(かぶ)せて、ギュッと(しぼ)ってみる。思った以上に、水気(みずけ)が取れた。繰り返し(しぼ)りながら、矢儀は、さらに(ひと)(ごと)を続ける。

「”(じつ)(かげ)じゃあ不真面目(ふまじめ)生徒(せいと)”なんて烙印(らくいん)()されちゃあ、何かにつけ、教師から色眼鏡(いろめがね)で見られるかもなぁ。内申(ないしん)なんて、所詮(しょせん)、教師目線(めせん)採点(さいてん)じゃし。ちなみに、最近の受験は、成績と同じくらい内申も重要(じゅうよう)()されるらしいぞ。もちろん――」

 (いっ)(ぱく)()いて、矢儀は笑顔で織田村に向き合う。

「俺は、いちいち教師に()(ぐち)なんて、子供じみた真似(まね)はせんけどの」

 織田村の顔に、勃然(ぼつぜん)たる(いろ)()かぶ。

 最後に()って()けた ”内申(ないしん)”の一言(ひとこと)は、絶大(ぜつだい)効果(こうか)だったらしい。

「行きますよ! 行けばいいんでしょ!」

 織田村は、(はな)(あな)(ふく)らませ、激高(げっこう)する。

 

 


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