初めての方はこちらもどうぞ→

 

 

 

 

表紙

 

 

3日連続投稿できたハート

 

途中からなので

良かったら

下記☟

”これまで”を

お読み頂けたら

嬉しいですニコニコ気づき

 

 

はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

 

 

 聴( き)きたいことは山ほどある。が、()()質問(しつもん)攻勢(こうせい)に出る前に、(よこ)やりが入った。

「おい! 雨が降ってくるぞ!」

 後方(こうほう)から、ずっと姿(すがた)が見えなかった兼行(かねゆき)(さけ)び声がする。

 だが、矢儀は、聞こえぬふりを()()んだ。

 話の核心(かくしん)部分(ぶぶん)は、これからだ。天気など、まったくどうでもよい。

 矢儀は、さらに質問を(かさ)ねるべく、(みのる)美紀(みき)に向き合う。だが、西の空を見上げる二人の驚愕(きょうがく)(かお)に、さすがの矢儀もたじろいだ。

 背後(はいご)からは、「うわぁ! 何?! すごい! まずいですよっ!」と、織田村(おだむら)支離滅裂(しりめつれつ)悲鳴(ひめい)()がる。

 矢儀は仕方(しかた)なく、(みな)(なら)って後方(こうほう)の空を(あお)ぎ見た。

 なるほど。確かに西の上空(じょうくう)は、すごいし、これはまずい。

 雨雲(あまぐも)先頭(せんとう)が、はっきりと見てわかる。まるで、雨のカーテンが()()せて()るみたいだ。

 遠目(とおめ)には何とも神秘的(しんぴてき)現象(げんしょう)だった。が、雨のカーテンが頭上(ずじょう)()れば、間違いなくずぶ()れだろう。 

「やっ、こりゃ、いけん!――タロウ、帰るぞ!」

 (われ)(かえ)った稔は、(あわ)てて愛犬(あいけん)のリードを引っ張る。

「ほいじゃあの」と、軽く手を()げ、稔は一目散(いちもくさん)()って行った。

 美紀も、「じゃ、あんたらも、はよ帰りぃね」と、肩越(かたご)しに言い残す。肉感(にくかん)のある背中(せなか)()らしながら、()(あし)で行ってしまった。

 まだまだ追究(ついきゅう)したい点は多々(たた)あったのに、なんとも口惜(くちお)しい。

 矢儀は、曇天(どんてん)の空から()れる雨のカーテンを(にら)()けた。

 ぽつりと、(ほお)雨粒(あまつぶ)()ちる。

()り出したっ!」と、織田村が聞こえよがしに声を上げた。

 雨雲(あまぐも)の流れは、想像(そうぞう)以上(いじょう)(はや)い。

 あっという()に、蛇口(じゃぐち)をひねったシャワーのごとく()り始める。

 背後から、織田村の絶望的(ぜつぼうてき)(きょう)(せい)が聞こえてきた。

 視界(しかい)(しろ)(けぶ)っていく。

 未遠(みとお)()は、やがて曖昧模糊(あいまいもこ)(かす)んでいった。

 

 


フォローしてね…