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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
その石段、通るべからず
聴きたいことは山ほどある。が、矢儀が質問攻勢に出る前に、横やりが入った。
「おい! 雨が降ってくるぞ!」
後方から、ずっと姿が見えなかった兼行の叫び声がする。
だが、矢儀は、聞こえぬふりを決め込んだ。
話の核心部分は、これからだ。天気など、まったくどうでもよい。
矢儀は、さらに質問を重ねるべく、稔と美紀に向き合う。だが、西の空を見上げる二人の驚愕顔に、さすがの矢儀もたじろいだ。
背後からは、「うわぁ! 何?! すごい! まずいですよっ!」と、織田村の支離滅裂な悲鳴が上がる。
矢儀は仕方なく、皆に倣って後方の空を仰ぎ見た。
なるほど。確かに西の上空は、すごいし、これはまずい。
雨雲の先頭が、はっきりと見てわかる。まるで、雨のカーテンが押し寄せて来るみたいだ。
遠目には何とも神秘的な現象だった。が、雨のカーテンが頭上に来れば、間違いなくずぶ濡れだろう。
「やっ、こりゃ、いけん!――タロウ、帰るぞ!」
我に返った稔は、慌てて愛犬のリードを引っ張る。
「ほいじゃあの」と、軽く手を挙げ、稔は一目散に去って行った。
美紀も、「じゃ、あんたらも、はよ帰りぃね」と、肩越しに言い残す。肉感のある背中を揺らしながら、駆け足で行ってしまった。
まだまだ追究したい点は多々あったのに、なんとも口惜しい。
矢儀は、曇天の空から垂れる雨のカーテンを睨み付けた。
ぽつりと、頬に雨粒が落ちる。
「降り出したっ!」と、織田村が聞こえよがしに声を上げた。
雨雲の流れは、想像以上に速い。
あっという間に、蛇口をひねったシャワーのごとく降り始める。
背後から、織田村の絶望的な叫声が聞こえてきた。
視界が白く煙っていく。
未遠の地は、やがて曖昧模糊と霞んでいった。