こっそり
再開してます(笑)
途中からなので
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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
その石段、通るべからず
「いいや、第一発見者は小学生じゃったらしいよ」
美紀はどうでもよさ気に答える。
「余所から遊びに来ちょった子って聞いたわ。まぁ、未遠の者じゃったら、そもそも石段には近づかんしね」
「じゃけど、おまえの息子は近づいたんじゃろ?」
稔が、また、くだらない横やりを入れる。
美紀は、目だけを動かして、稔を一睨みした。
「ちょうど夏休みの補講帰りじゃったんよ。石段の下で大人らが騒いじょったら、そりゃあ気になるやろ」
矢儀は、再び稔が余計な一言を口にする前に、割り込んだ。
「では、石段から落ちて亡くなった方も、余所の人だったんですか?」
「ほうよ。四十代半ばの男性じゃったらしいよ」
美紀の返答に、また稔が、横から口を出す。
「じゃけど、それ以前の二人は、どっちも上の者じゃったんよの」
稔の唇が、片方だけ大きく吊り上がった。
美紀は「まぁ、上は……ねぇ」と、言葉を濁す。稔と同様に、やはり、どこか見下した響きがあった。
稔が、意気揚々と続ける。
「しかも、一月もせん内に、立て続けに落ちたって聞いたぞ」
稔の話に、記憶が蘇ったか。美紀は「ほうほう」と、人差し指を指揮棒のごとくブンブンと振る。
「私も昔、ばあちゃんに、よう聞かされたよ。二人とも戦地から帰ってきたばかりの、若い男じゃったって」
戦地?
矢儀は、想像以上の時代のズレを感じ、改めて問うた。
「すみません、確認ですが、一人目と二人目の事故は、いつ頃起きたのですか?」
稔と美紀は、きょとんとした面持ちで、見つめ合う。
しばしの沈黙の後、美紀がゆっくりと口を開いた。
「詳しくは知らんけど、戦後の混乱期よ。じゃけぇ、昭和二十年代とは思うけど。まぁ、時期が時期じゃし、あっさり片づけられたって聞いたわ」
「そりゃあ、上の者じゃったからじゃろ」
稔は、ことさら”上の者”を蔑む。
いったい、”上の者”とは、どういう意味だろうか。
矢儀が推測する間にも、稔の口は止まらない。