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表紙

 

 

こっそり

再開してます(笑)

 

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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

 

 

 

(あらわ)美紀(みき)(ひたい)に、一瞬、青筋(あおすじ)が見えた。

ただ、(みのる)よりは、よほど大人だと思う。

美紀は、余所(よそ)の子供の手前(てまえ)露骨(ろこつ)な怒りは見せなかった。

(ほう)っちょいてぇや」と、鼻にかかった高い声で、軽く受け流す。

「ダイエットは、まだ始めたばかりなんじゃけぇ」

「ほじゃけど、(ぼん)にやった同窓会(どうそうかい)(あと)からじゃろ? もう三ヶ月近くは()つぞ」

 (みのる)案外(あんがい)しつこい。

 もうやめておけばよいのにと、()()は気が気でなかった。

 美紀からも話を()きたい。機嫌(きげん)(そこ)ねられては(こま)る。

 矢儀の心配は的中(てきちゅう)した。

 美紀は「うるっさいわ!」と、真顔(まがお)で稔を一喝(いっかつ)する。

「ちょっとずつは()せちょるんじゃけぇ。まだ、見た目にはわからんだけなそ!」

 声だけは、矢儀の同級生(どうきゅうせい)女子(じょし)よりよっぽど可愛らしいが、目は完全に笑っていない。

 稔もさすがに地雷(じらい)()んだと気づいたらしい。

 視線をタロウに落とし、無意味(むいみ)にリードを引っ張る。

 場の空気を読んでか、タロウはすっかり大人(おとな)しくなっていた。 

 リードを引っ張られ、真っ黒い瞳を、健気(けなげ)(あるじ)に向ける。

 居心地(いごこち)の悪い沈黙(ちんもく)に、矢儀は、たまらず()って入ろうとした。が、先に美紀が「それで?」と続きを(うなが)す。

 大きな目で、ちらりと矢儀たちを見た。さすがに、見知(みし)らぬ中学生の存在が気になるらしい。

「おお、そうじゃった」と、稔は(いそ)いで話題(わだい)を変えた。

「何年か前に、(よう)水路(すいろ)の向こうの石段から人が落ちて()うなったじゃろ。あの事故はいつじゃったか、(おぼ)えちょるか」

 ()われた美紀は、不快(ふかい)そうに顔を(しか)める。(だま)ったまま、(よう)水路(すいろ)の向こうを見遣(みや)った。

今、矢儀たちがいるところからは、(たけ)(やぶ)邪魔(じゃま)をして、(くだん)の石段は見えない。

 不穏(ふおん)な空気に、誰も口を(はさ)めなかった。

 再び視線(しせん)(もど)した美紀は、もう一度、矢儀たちを一瞥(いちべつ)し、最後は稔に視線を(もど)した。

 なぜ、今、見知らぬ子供の前で聞くのかと、無言(むごん)で稔を()めている。

「いや、この子らが()いてきたんちゃ。何でも学校で、石段の事故について調べちょるらしゅうての」

 なんだか、誤解(ごかい)を受けそうな表現(ひょうげん)だ。

 矢儀は、(あわ)てて口を(はさ)んだ。

「僕たち、()保中(ほじゅう)の生徒で、郷土史(きょうどし)研究部(けんきゅうぶ)所属(しょぞく)しています。僕は矢儀、もう一人は織田村です」

 好印象(こういんしょう)(あた)えるため、まずは挨拶(あいさつ)と笑顔だ。

 美紀の(かた)い表情が、少し(やわ)らぐ。

 矢儀はすかさず続けた。

「実は今、部活動で、未遠(みとお)の石段にまつわる言い伝えについて調べています。もし、お時間があれば、(たた)りや事故の詳細(しょうさい)について教えて(いただ)けますか?」

「祟りねぇ……」と、美紀は鼻先(はなさき)冷笑(れいしょう)する。

 明らかに、(ふく)みのある(つぶや)きだ。

 (いぶか)しく思った矢儀の内心(ないしん)に気づいたか。美紀はスッと視線を()らす。

「祟りかどうかは知らんけど」と、前置(まえお)きをして(しゃべ)り出した。

実際(じっさい)に事故はあったんよ。(たし)か、四年前の夏やったじゃろ」

「ほうかの? 四年しか()っちょらんかの」

 とぼけた表情(ひょうじょう)の稔に、「間違いないけぇ」と、美紀は強気(つよき)だ。

「うちの(うえ)の子が、中三の時じゃったんじゃけぇ。息子は遺体(いたい)を見てショックを受けてねぇ。それっきり全然(ぜんぜん)勉強が手につかんくなったんよ。あの事故さえなかったら、山高(やまこう)に行けちょったやろうに」

 最後は遠い目をしてぼやく。

「もしかして、息子さんが第一発見者だったんですか?」

 矢儀は、前のめりになって()うた。

 

 

 

 

 


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