龍笛の魔力 ② | 龍笛奏者 出口煌玲(狛笛・神楽笛・篠笛)

龍笛の魔力 ②

龍笛の特徴はこんなにあります。




1. 頭部、歌口の指穴と反対側が長めで、内部に鉛が入っている。


2. 本体全体に樺もしくは藤で巻かれてあること。


3. 歌口や指穴の部分は竹素材が露出して、削られている。


4. 内壁は漆が重ね塗りされているが、その重ね方は数十回に及ぶ。


5. 竹は数十年から100年、さらに200年近く、古民家の囲炉裏やかまどの上で燻された煤竹が用いられている。




こんなところでしょうか。




5. で述べた煤竹ですが、現在は入手がとても困難なようです。


長年燻されることで煤とともに燃料の樹液・油分が竹内部まで浸透し竹は密度の高い固くて重みのある材質になります。音の抜け・伸び・音圧の基礎となります。


僕が使ってる笛は江戸時代あたりの古菅ですが、笛になる前に200年程煤で燻された竹でできたものだと思われます(ブログ表紙の写真の笛です)




4. 内塗りの工程も気が遠くなるくらいの手間がかかります。


一回塗るごとに数日感乾かし磨きをかけ、また塗って乾かし磨き、という工程を数十回も行いながら硬い内壁の層を形成し、形状を整えていきます。


これにより、締まった音、伸びやかで艷やかな音になっていきます。




2. 3. では外側の特徴ですが、樺(桜の皮)巻くの場合、1.5~2mm幅に切った樺が指穴と歌口以外の全体に巻かれます。樺の長さは、細さによりますが10~20mになります。


その上に、漆を塗って仕上げられます。


巻かれなかった歌口と指穴は、少し削り取られます。


指穴と巻きのところで管の厚さに差がでてくるのですが、おそらくこの厚さの差も豊かで複雑な倍音を生み出す要因になっていると思われます。


楽器の大きさや音域の割には音が太いのもこの影響があるかと思います。 




1. 頭部の鉛ですが、これが埋め込まれることにより、音圧が大巾に増します。


そして、太い低域成分と超高周波域に至る倍音により、金属的な輝きが得られるようです。


(安価な初心者稽古用の樹脂製龍笛でも、それなりに重量感ある音圧があるのは、鉛が入っているからだと思われます。)






このような気の遠くなるような工程を経て龍笛は、「舞い立ち昇る龍の鳴き声」 と例えられる音色が得られるのです。






もともと龍笛の源流は中央アジア、雅楽(唐樂)のルーツでもあるペルシャともいわれ、正倉院にも原型らしき笛が保存され、また朝鮮の高麗王朝にも「唐笛」と呼ばれる、歌口から指穴のサイズが同じ笛があります。おそらく音律も近いかと思います。


しかし、材質や構造が全く違うので、音色・音のパワーを得るために日本で改良・発達したようです。




ただし、音色・音のパワーに特化して、音程のとりやすさ、演奏のしやすさは全く発達せずむしろ犠牲になったかも知れません。


こういう『音』に特化した発達は日本独特のものかもですね。




龍笛作りの工程はここに詳しく掲載されています。


            ↓


http://www.geocities.jp/gagaku_ryuteki/tsukurikata.html










キラキラ来年2013年1月、ユニット『舞心(mai-shin)』のアルバムがリリースされます。


私の演奏する龍笛と 播磨陰陽師・播磨陰陽師・尾畑雁多氏の祝詞によるコラボ。


二人の舞人も巫女鈴等で参加、その音色も心地良いですよ。


既に録音は終えており、現在ミックスダウンの最中。


祝詞の言霊に龍笛の音霊が乗った相乗効果で究極の波動エネルギーで溢れています。


内容・詳細は随時、お知らせいたします。