書紹しましょ。
本日はこちら。
十戒
著)夕木 春央 先生
こちらは前作「方舟」にて下記賞を受賞された夕木春央先生の次回作です。
・週刊文春ミステリーベスト10 →1位
・MRC大賞2022 →1位
・本格ミステリベスト10 国内ランキング →2位
・このミステリーがすごい(国内編)→4位
・このミステリーが読みたい!(国内編)→6位
・ダヴィンチBOOK OF THE YEAR小説部門→7位
錚々たる受賞記録ですよね。
そんな凄まじい先生の次回作、十戒はやはり面白かったです。
勿論今回もネタバレ無しで書かせていただきます。
今回のざっくりとしたストーリーなんですけど、男女9人が個人所有の島へ行き、そこでとんでもないものを見つけてしまい、尚且つ殺人事件も起きてしまうという内容になります。
しかし今回は少し特殊なんですよね。
どこが特殊かと言いますと、「犯人を見つけてはならない」のです。
さらには犯人を探すことや、推測する事、ましてや期日まで島から逃げ出すことも許されないのです。
それらは全員に提示された十の約束事、十戒にて記され、破れば大変な事になります。
「大変な事」と言っていますが、ネタバレをしないためにこのような表現にしているのでご理解ください。
十戒と聞いて思い浮かぶ方はいると思うんですが、出エジプト記における「モーゼの十戒」ですね。
方舟の時といい、先生は聖書とかそのような神々に関する記録が好きなのかもしれませんね。
さて、この十戒は読み終えるのに少し時間がかかってしまいました。
総ページ数としては293ページとそこまで分厚くないのですが、設定等が複雑だったり、9人もいる登場人物において把握するのに時間がかかりました。
ただ、半分を過ぎたあたりから一気にスピードが上がりました。
特に終盤の解決の部分はまさしく一気読みでした。
その間も常に「え、どういう事?」とつい声を漏らしながら読んでいました。
今回のトリックもなかなかに巧妙でした。
流石に予想がつきませんでしたし、してやられたと思いましたね。
そして、この作品は是非とも方舟を読んでから読んで頂きたいと思いました。
あくまで私個人の感想ですが、どこかで「もしかして……」というぞわっとした感情に見舞われました。
しかも、そう思えるのって読み終えて少し経った頃にじわじわと思えてくるんですよ。
それらも含めてとても面白い一冊でした。
まさにこのタイトル、十戒に相応しいラストだったのではないかなと思いましたね。
では今回はここまでです。
方舟、十戒ときたので、もし次に出るとしたら「福音」とかでしょうか。
いや、勝手な想像です。
是非とも今作を、特に方舟を読まれた方には読んで頂きたいです。
ではまた。