書紹しましょ。


今回はこちら。


占星術殺人事件

著:島田荘司



しばらく放置していた名作を読もうと思い立ち、X等でミステリ小説の名作といえばというところで必ずと言っていいほどに名前が上がる「占星術殺人事件」。


今作の前には綾辻行人先生の館シリーズやAnother等を一通り読んでいましたが、この機会に読んでみようと思いました。


余談ですが、綾辻行人先生の館シリーズに出てくる探偵役の島田潔は、「島田荘司」先生とのちに出てくる今作の探偵役からもらったそうです。


さらに、島田荘司先生は綾辻行人先生のペンネームを考案されていました。

当初は「辻」として考案し姓名判断上で完璧な画数だったようですが、綾辻行人先生がのちにしんにょうに点を一つ足したとのことです。

予測変換で「辻」にしかなりませんが、当初はしんにょうに点が一つありません。



それでは本題に。

それにしても結構時間がかかりました。

大変面白かったんですが、序盤の約100ページは「手記」として構成されており、そこの進み具合が遅かったです。


ボリューミーで重厚感溢れる読み応えのある作品と聞いていましたが、ここまでとは思いませんでした。


手記が終わると次は探偵役の「御手洗潔」とワトソン役の「石岡和己」の2人が出てきて様々な推理や憶測を立てます。

それも大体100ページくらいです。

そこも読み応えありで、手記よりかは進みはよくなりますが、それでもまだ遅めです。


しかしその推理や当時の状況などが記されていく中で読みながらも推理を行いました。

そんな中で自らで仮説を立てながら読み、進めるたびに否定されるという事の連続でした。

結局分からずに気がつけば「読者への挑戦状」でした。


今作は「読書への挑戦状」がついています。

これはミステリ好きには嬉しいですね。


もちろんそれを以って推理しました。

しかし最後の最後まで分かりませんでした。


そして最終的なトリックを知った時、これは人間に出来る最大のトリックだと思いましたね。


というか大分巧妙だなとも思いました。

犯人の計画性に驚き、そしてその頭の良さにも驚きました。

こんな事はなかなか出来る代物ではないと。


ちなみに、今作は1980年に「占星術のマジック」として第26回江戸川乱歩賞に応募され、それの改稿作品だそうです。

Wikipedia参照


「殺人事件」となっていますが、「マジック」でした。

多分現代じゃ同じようなトリックは使えないんだろうなぁと思います。


トリック然り、犯人の心情然り、とても面白い作品でした。

ただ、今作はそれなりにミステリ小説や活字に慣れてから読まれた方が良いかなと。

もしかしたら最初の100ページで挫折する可能性もありますので。



では今回はここまでです。


実は今作を手に取ろうと思った理由というかきっかけがもう一つありまして、大分前にミステリ専門ブックチューバーのあべしぃさんが「名作を読もう企画」で読まれていたんですよね。


最初はそれがきっかけです。

そして逡巡して今に至るというわけです。


今作も読んで良かったです。


ではまた。