鮮やかな緑の芝生に疾走するサラブレッド。
先週末、改装工事を終えた京都競馬場がグランドオープンしました。
テレビで観た限りではありますが、きれいなスタンドとパドック、
花と緑にあふれていました。
一方、北海道の帯広競馬場では令和5年度の「ばんえい競馬」が開幕しました。
ばんえい競馬は、1トンほどの馬が何百キロという重りを載せたソリを引く、
日本で唯一の独特の競馬です。
こちらは桜がきれいに咲いて開幕を彩っていました。
JRAの競馬場の桜は一部の品種を除いて、新緑の木々に変わりましたが、
帯広はまだまだ見頃のようでした。
春は桜が咲きほこり、新緑の木々の成長も著しいですが、
これが隣家から伸びてきて生活に支障をきたすとなると話が変わってきます。
実は以前、他人の敷地から伸びてきた木の枝に悩まされたことがあります。
私が以前、車を停めていた場所、境界線上に低いブロック塀(30㎝くらい)が
ありましたが、その塀を挟んだすぐの所に1本の木が立っていました。
それほど背丈はないのですが、家屋とブロック塀の間に立っているため、
明るく開けているこちら側に向かって伸びてくるのです。
そして春先になると、車のドアに接触するくらいまで伸びてくるので、
乗り降りするたびに、ぐーっと曲げて矯正して押し戻すのですが、
帰ってくるとまたコチラ側にきているので、細かい傷が車につく始末。
いっそ切るか、引っこ抜いてやろうかと何度もブチ切れましたが、
これ切ってはいけないのですね。
資格試験ではわりとよく出る、相隣関係に関する民法の規定があるからです。
しかしこの4月1日から、境界を超えて伸びてきた木の枝(民法上では「竹木」と
表現されています)の切り取りに関する民法の規定が改正されました。
これまでは、隣の敷地から伸びてきた木の枝は、自分で切り取ることはできず、
木の所有者にお願いして切ってもらうか、裁判を起こして判決を受けて、
強制執行する必要がありました。
それが今回2023年4月1日の民法改正によりルールが変わりました。
まずは改正条文です。
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(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第233条
1 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
3 第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
①竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が
相当の期間内に切除しないとき。
②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
③急迫の事情があるとき。
4 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
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土地の境界線を越えてきた木の枝は、木の所有者に枝を切り取らせるという原則は
そのままに、3項に掲げる事項に該当するときは、自ら切り取ることができるよう
になりました。
ポイントは次の通りとなります。
①原則は変更なし
まずは木の所有者に「切ってくれ」とお願いすることが原則ではありますので
注意が必要です。
②「催告」してからどのくらい待つ?
条文中の「相当の期間」とは、越境した枝を切り取るための時間的な猶予を
与えた趣旨なので、基本的には2週間程度と考えられています。
③「急迫の事情」とは?
台風で折れた枝が垂れ下がり建物に直撃しそうな状況、などが考えられます。
④隣の敷地に入れる?
枝を切り取るための必要な範囲で、隣地を使用することができる旨の規定が
民法第209条に明記されました。
※民法第209条
1 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用する
ことができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、
立ち入ることはできない。
(1号2号省略)
③第233条第3項の規定による枝の切取り
⑤切除にかかった費用は請求できるのか?
枝が境界を越えて土地所有権を侵害していること、侵害された土地の所有者が
枝を切り取ることで、本来木の所有者が負っている枝の切除義務を免れている
こと、以上を踏まえると基本的には費用請求はできると考えられます。
根拠条文:民法第703条(不当利得返還義務)、第709条(不法行為による損害賠償)
ちなみに、根が越境してきたときは、そのまま切り取ることができます。
この部分は改正前から変更なしです。
隣家の敷地内に竹林があり、自分の敷地内にその竹から、たけのこが生えてきたら、
勝手に収穫して食べても問題ありません。
いよいよ今週末は、新装・京都競馬場での天皇賞(春)です。
週末の雨予報は心配ですが、「淀」の坂越えからの3、4コーナーの下り。
最終コーナーの生け垣はしっかり手入れがされているので、
コースへ枝が越境することは、安心して下さい。ありません。