中高校生の頃、NHKの朝ドラのテーマが流れ始めて終わるまでに家を出ればセーフ、

本編が始まるまで家にいたらアウト。

当時8時15分に始まっていたNHKの朝ドラは、遅刻のボーダーライン、

時計替わりでした。

冬場吹き荒れる鈴鹿山脈からの「鈴鹿おろし」を加味しても、大体正確。

中学と高校は、方角も距離も違うのに、風向と始業チャイム時間の違いから

このボーダーラインは奇跡的に一致していました。

 

そんなほとんど本編を観たことがなかった朝ドラですが、

一昨年の「おかえりモネ」をなんとなく観始めて以来、

(「カムカムエヴリバディ 」はなんとなく飛ばして)

最近は、帰宅後に録画を観るのが毎日の日課になっています。

ちょっと一息つく15分が、ちょうど良く感じます。

現在放送中の「舞い上がれ!」も、いよいよ残り3週となり、

どんなふうに着地するのか楽しみです。

 

そんな中、ちょっと引っかかることがありました。

諸々のいきさつは省略しますが、

主人公の舞さんが、現在働いている株式会社IWAKURAから独立して

起業することにしました。

この株式会社IWAKURAは、舞さんの実父が2代目社長でしたが、

亡くなってしまい今は、お母さんが社長を継いでいます。

独立するにあたり、東大卒で投資家のお兄さんに相談したところ、

株式会社IWAKURAの子会社として設立し、経営面のリスクを下げるよう

提案します。

(株)IWAKURAの社長であるお母さんも了承し、そのように決断しました。

 

起業は以前から交流のあった新聞記者の御園(みその)さんも新聞社を退職して、

一緒に始めることになります。そして関係者へ話をした際に、

「IWAKURAの新しい事業をやる子会社です」(舞)

「資本金は舞ちゃんと私で半分ずつ出して、(以下省略)」(御園)

 

あれ?子会社というからには、全部とは言わないまでも(株)IWAKURAが

ある程度出資して、少なくとも過半数の議決権を握っている状態でないと、

子会社にはならないのでは?

そもそも資本関係がないのに親会社?という疑問が。

 

弊事務所でも労働者派遣事業の許可を取るにあたり、

既存の法人が出資して新たに法人を起ち上げ、その法人で許可を取りたいという

ご相談がよくあります。

今の会社に派遣事業部を作るわけではなく、派遣事業専門の子会社を設立する

パターンです。子会社と言っていたので、ドラマでもその方法かと。

 

そこで改めて「子会社」の定義をみていきたいと思います。

まず会社法。第2条には、用語の定義が記載されています。

 

会社法第2条第3号

子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の

当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

 

まずは「会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社」

議決権を50%以上持たれていれば、当然すべてを決定できるので、

親会社・子会社の関係になります。分かりやすいです。

問題はその後です。

「その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」

議決権を50%以上持たれていなくても、法務省令に定めるものに該当すれば、

子会社にあたるということになります。

ここでいう法務省令は、「会社法施行規則」です。

その第3条第1項。

 

会社法施行規則第3条第1項

法第二条第三号(会社法第2条第3号)に規定する法務省令で定めるものは、

同号に規定する会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している

場合における当該他の会社等とする。

 

「会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合」

に子会社になると規定しています。

そして同条3項では、以下「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」

の要件が規定されています。

長いので全文は載せられませんが、まず1号では議決権の数の割合が50/100を

超えている場合の規定が挙げられています。

 

そして2号

二 他の会社等の議決権の総数に対する自己の計算において所有している議決権の数の割合が百分の四十以上である場合(前号に掲げる場合を除く。)であって、次に掲げるいずれかの要件に該当する場合

(以下省略)

 

以下、要件がずらっと並んでいますが、上記のように「議決権の数の割合が百分の四十以上である場合(前号に掲げる場合を除く。)であって」という前提のもとでの

要件なので、少なくとも議決権の40/100は持っていないといけないことになります。

また同項3号も、議決権50/100を超えていることが前提の規定となっています。

 

 

以上のことから、自分たちだけで出資金を半分ずつ出し合って作った会社が、

直ちにどこかの会社の子会社として存在するのは難しいのではないかと思います。

このブログをご覧になった方で、分かる方がいらしたらぜひ教えて下さい。

 

ちなみに国税庁HPには子会社の範囲についてのQ&Aが掲載されています。

【照会要旨】

事業関連性のある「子会社等」の範囲は、どのようなものでしょうか。

【回答要旨】

 「子会社等」とは、資本(親子)関係、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有するものをいいますから(法人税基本通達9-4-1(注))、単に資本(親子)関係がないことのみをもって「子会社等に該当しない」とするものではありません。

 例えば、業界の上部団体等が、業界全体の信用維持のために支援を行う場合などは、その上部団体等にとって、個々の業者は子会社等に該当すると考えられます。

                             (国税庁HPより)

会社法上の定義とはまた違うようで、難しいですね。取引関係、人的関係からの事業関連性を加味すると、税法上は子会社等と言っても必ずしも間違いではないのかもしれません。

 

本日はホワイトデー!

弊事務所所長から、私までケーキを頂きました!

                        ↑頂いたのはコチラ

甘さと酸味のハーモニー!

とても美味しかったです!ごちそうさまでした!