建設業者が事業を譲渡したり、譲り受けたり、
また会社の合併や分割を行った場合、
これまでは、譲渡、合併後または分割後の会社は、
新たに建設業の許可を取り直す必要がありました。
この場合、新しい許可が得られるまでの間に空白期間が生じ、
多大な不利益が生じることになっていました。
そこで、昨年令和2年10月1日、建設業法が改正され、
定められた要件を満たしている場合、事前の認可を受けることで、
建設業の許可を承継することができるようになりました。
例えば、建設会社Aがその地位を建設会社Bに承継させる場合、
事業譲渡の日までに、事前に認可を申請し、審査を経て、
認可の通知(※要件を満たしていないと不認可の通知もあり)を受けることにより、
事業譲渡の日に建設業の許可についても承継されることになります。
なお、この認可による許可の有効期間は、
これまでの許可の残存期間にかかわらず、
承継の翌日から起算され、残り5年となります。
改正から1年余りが経過し、関連するご質問も増えており、
また、そもそもこの法改正に関して、意外に認知度が低いと感じるので、
今回から当ブログで、不定期にはなるかと思いますが取り上げていきたいと思います。
第1回目は、いわゆる「法人成り」です。
法人成りとは、個人事業主として事業をしている人が、
株式会社や合同会社などの法人を設立して、
事業をその設立法人に引き継ぐことをいいます。
この場合も、法改正前は建設業許可の地位を承継させることはできず、
許可の空白期間が生じていました。
今回の法改正で、法人成りについては、
旧事業主(個人)と、新たに設立した法人との間で、
譲渡契約書が交わされた事実をもって、
「同一営業体における権利義務の譲渡」とみなして、全ての要件に当てはまれば、
「譲渡及び譲受け」の認可申請手続きをすることにより、
建設業許可を引き継げるようになりました。
ただし、次の要件を全て満たす必要があります。
新たに設立した法人(以下、「新設法人」といいます)は、
個人事業主(以下、「旧事業主」といいます)が設立したものであること
旧事業主と新設法人との間で、譲渡契約書が交わされていること
→認可申請時において、譲渡の効力発生が未到来、かつ到来までに45日以上の
残余期間必要。ただし、90日以上の残余期間がある場合は受付不可。
新設法人の登記簿謄本(登記事項証明書)の「目的」欄に、旧事業主が建設業許可
を受け営業していた業種に係る工事の請負等があること
法人設立日から、旧事業主が有していた建設業者としての地位を承継する日の
前日まで、新設法人は建設工事の請負契約の実績がないこと
→許可が不要な500万円以下の建設工事であろうと、何らかの建設工事の請負実績が
あるとNG。
旧事業主の建設業許可有効期間の満了日45日前までの申請であること
旧事業主の税務上の廃業届(※廃業日は譲渡日の前日)、新設法人の税務上の
法人設立届が提出されること
新設法人として、建設業の許可要件をすべて満たしていること
以上の全ての要件を満たす必要があります。
なお、認可申請において、経営業務の管理責任者や営業所の専任技術者は、
旧事業主の許可申請書上に記載された管理責任者や専任技術者と重複していてもOKです。
ここまで、三重県での認可申請をベースとした記載となっております。
必要書類や具体的な認可申請手順などは、各都道府県により異なりますので、
詳しくは各都道府県ホームページでご確認下さい。