先月、厚生労働省の人口動態調査で2023年の概要が発表されました。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/h6.pdf


それらの数字を基に作成しましたグラフが、こちらです。


【図1 Covid-19感染死亡者数及びCovid-19ワクチン接種による死亡者数(2021~2023年)】


これを見ますと、Covid-19に感染して亡くなられるリスクが、Covid-19ワクチンを接種して亡くなられるリスクの約1,200倍強である事が分かります。

とはいえ、反ワクチン厨はしきりに、ワクチン接種によるリスクのみを取り上げます。

次の様な論文がございます。

・西アフリカでエボラ出血熱で3,400人以上が亡くなられた
   ↓
 米国赤十字がウイルス対策に捧げられた個人からの献金が10万ドル(2014年)

・ニューヨークの子供がハーバード大学に入学できる様にクラウドファンディングを実施
   ↓
 1ヶ月で寄付金が120万ドル以上集まった(2015年)

どちらも善意によるものですが、明らかに被害が大きく犠牲者が多いエボラ出血熱への寄付金が少なく感じますよね。

この現象を生み出しておりますのが、コンパッション・フェード(Compassion Fade)という認知バイアスで、心理学者のポール・スロヴィック博士が提唱したものです。

人は誰かが苦しんでいる姿を見ますと同情心を覚え、手を差し伸べたいと考えますが、犠牲者が増えますとその苦しみを共感できなくなります。

特に疫病の流行や地震、戦争などといった大規模な災害の場合、
「自分の手に負えない出来事」
と感じまして、いっその事、
「同情する事をやめよう」
という反応、すなわち同情崩壊を起こします。

逆にクラウドファンディングの様に、一人の人物に焦点を当てた物語になっておりますと、自分にも手助けをすることができると感じまして、多くの人から寄付金が寄せられます。

この様に、困っている人が誰なのか、どの様な人がどの様に困っているのかが分かりますと、実際の被害よりも大きく感じます。

例えば、「震災により◯◯人になりました」という報道より、「この子が、或いはこの子のご両親が犠牲になりました」という報道が耳目を集め、人々の同情を誘う事が出来ます。

これを、身元が分かる被害者効果(特定可能な犠牲者効果)と言います。

反ワクチン厨が、この様な事をしたのはCovid-19ワクチンのみではございません。

有名なところではHPVワクチンがございます。

それによって世論誘導ができた事が、連中にとりまして成功体験になったのでしょう。

世の中の人は、科学的事実よりも一人の物語の方が心が動き易いのです。

かといって、それのみを強調しての主張は、悪質なチェリーピッキングの典型と言えましょう。