X(旧Twitter)におきまして、こちらの筑波大学の論文が話題です。

 


この論文は、かなり「機序(メカニズム)」に踏み込んだ基礎〜トランスレーショナル研究です。

 

結論だけでなく、「どういうタイプの研究か」を整理しますと理解し易くなりますので、構造的にザックリと説明します。

 

① 論文の位置付け

  • 雑誌…Nature Communications(査読付き)
  • テーマ…「mRNAワクチン後心筋炎の“原因メカニズム仮説”の検証」
  • 特徴…観察+動物実験+分子機構解析を組み合わせた研究

 

② 研究デザイン(何をやったか)

この研究は大きく3段階です。

 

◎ ヒトの症例解析(ケースコントロール)

  • ワクチン後に心筋炎を起こした患者を調査
  • ミトコンドリア異常が見られた

つまり、「心筋炎患者に共通して“ミトコンドリアの弱さ”があるのでは?」という仮説の出発点という事ですね。

 

◎ マウス実験(因果の検証)

普通のマウスではなく、

  • ミトコンドリアが弱い遺伝子改変マウス(Polg変異)

にmRNAワクチンを投与をしております。

 

その結果、

  • 心機能低下(左室駆出率低下)
  • 心臓への免疫細胞浸潤

つまり、「ミトコンドリアが弱い個体では再現された」=因果関係の裏付けです。

 

◎ 分子メカニズムの解析

ここがこの論文のコアです。

 

観察された流れは、

  1. ワクチン刺激
  2. ミトコンドリアストレス増加
  3. 活性酸素(ROS)増加
  4. RIPK3活性化(ネクロプトーシス)
  5. 心筋細胞の炎症性細胞死

ポイントは、単なる炎症ではなくネクロプトーシス(炎症を伴う細胞死)が関与しているという事ですね。

 

③ 追加の重要な発見

◎ エストロゲンの保護効果

  • バゼドキシフェン(SERM)投与で心機能低下を防止

これにより若年男性に多い理由の説明仮説としまして、

  • エストロゲンが少ない → 防御が弱い

 

④ 著者の結論(要約)

この研究の主張はかなり限定的です。

 

ミトコンドリアの脆弱性がリスク因子の一つになりうる

 

つまり、

  • 誰でも起こる訳ではない
  • “素因の有る人”で起き易い可能性

⑤ 重要な読み方(ここが一番大事)

この論文はよく誤読され易いので注意点です。

 

◎ 「原因証明」ではない

人間での直接因果は証明していない事に、留意が必要です。

 

飽く迄も、

  • 関連(ヒト)
  • 再現(マウス)
  • 機序(細胞)

の組み合わせです。

 

◎ “条件付きのモデル”

  • 特殊なマウス(ミトコンドリア弱い) → 一般人とは違う

つまり、「全員に当てはまる話ではない」 という事です。

 

◎ リスクは元々「稀」

この論文自体も前提としまして、

  • 心筋炎は稀な副反応(特に若年男性)

 

⑥ 一言でまとめてみましょう♪

この研究は、

「ミトコンドリアが弱い体質だと、ワクチン刺激 → ROS → 炎症性細胞死 → 心筋炎、という経路が起こり得る」

という、“生物学的にあり得る経路”を提示した研究という事になります。

 

という事で、この論文で「言えること」と「言えないこと」をザックリと整理してみましょう。

 

① この論文で「言えること」

◎ 生物学的に筋の通った“経路”は示された

  • ミトコンドリア機能低下
    → 活性酸素(ROS)増加
    → RIPK3活性化
    → ネクロプトーシス
    → 心筋炎様変化

「こういう経路は起こり得る」事は支持されました

 

◎ “素因があると起き易い可能性”は示唆される

  • ヒト心筋炎症例でミトコンドリア異常の示唆
  • ミトコンドリア障害マウスで再現

ミトコンドリアの脆弱性がリスク因子の一つになり得る」という事です。

 

◎ 因果の“補強”まではしている

  • ヒト観察(関連)+マウス(再現)+分子機序(説明)

完全証明ではございませんが、「単なる思いつき仮説」よりは一段強いですね。

 

◎ 性差(若年男性に多い)の説明仮説を提示

  • エストロゲン様作用薬で悪化が抑制

ホルモンが保護的に働く可能性がございます。

 

② この論文で「言えないこと」

◎ 「ワクチンが一般的に心筋炎を起こす」とは言えない

対象は、

  • 少数の症例
  • 特殊マウス

一般集団への外挿は不可です。

 

◎ 「ヒトで因果関係が証明された」とは言えない

  • ヒトでは観察研究のみ(介入なし)
  • 言える事…関連がある可能性
  • 言えない事…直接の因果確定

 

◎ 「ミトコンドリア異常が原因である」と断定はできない

逆方向の可能性としまして、

  • 炎症 → ミトコンドリア障害

因果の向きは完全には確定していないのです。

 

◎ 「全ての心筋炎がこの機序で説明できる」とは言えない

心筋炎は多因子でして、

  • 自己免疫
  • ウイルス感染
  • 遺伝素因 など

これは飽く迄も一つの経路モデルです。

 

◎ 「若年男性リスクの説明が確定した」とは言えない

  • エストロゲン効果は“ヒント”
  • 人間での直接検証は不十分

 

◎ 「リスクの大きさ」は全く分からない

  • 発症頻度
  • 絶対リスク
  • 他要因との比較

疫学的な重み付けはこの論文からは不可能です。

 

③ よくある“誤読”を整理してみましょう

この論文を誤用するとこうなりがちです。

  • 「ワクチンで心筋炎が起きるメカニズムが証明された」→ 証明ではなく“モデル提示” 
  • 「誰でも起こり得る」→ 素因モデル(条件付き)
  • 「危険性が高いと分かった」→ リスクの大きさは扱っていない

 

④ 一言で整理しましょう♪

この論文の正確な位置付けとしまして、

  • 特定条件下で成立し得る心筋炎の機序モデルを提示した研究
  • 機序の可能性は示したが、一般集団での因果やリスクの大きさは示していない

という事になります。

 

そして案の定、この様な主張をされます方がいらっしゃいました。

 

 

先の第51回衆議院議員総選挙におきまして、大分1区でコロコロ党から出馬されまして落選されました方ですね。

この投稿は、論文の内容をかなり飛躍させて一般化した解釈です。
 
ポイントごとに冷静に分解しますと、どこがズレているかがハッキリします。
 

① 野中氏の主張の問題点

◎「人工脂質が原因」とは論文は言っていない

投稿の核心は、
  • 人工脂質(LNP)→ 活性酸素(ROS)増加 → 細胞死
しかし論文が示している事は
  • ミトコンドリア機能が弱い条件下
  • ワクチン刺激により
  • ROS増加+ネクロプトーシスが起こり得る
つまり、 “脂質が単独で毒性を発揮する”とは示していないのです。
 

◎ 条件付きの話を「一般化」している

論文の前提としまして、
  • ミトコンドリア障害モデル(特殊マウス)
  • 心筋炎患者(ごく一部)
野中氏の言い方
  • 細胞死を引き起こすことが明らかになった
これは 「誰でも起こる」かの様な誤解を誘う表現です。
 

◎ 「明らかになった」は言い過ぎ

この研究の実態は、
  • ヒト…関連の示唆
  • マウス…条件付き再現
  • 細胞…機序の提案
科学的には、「可能性が支持された」レベルなのです。
 

◎ ROS=悪という単純化

野中氏は暗に「ROS増加=危険」という構図ですが、実際には、
  • ROSは免疫応答でも普通に発生
  • 問題は過剰・制御不能な場合
 “ROSが出る=毒性”ではございません
 

◎ 「政府が説明していない」は当然の話

これは科学ではなくレトリックです。
 
そもそもワクチンの説明は、
  • 有効性
  • 副反応(頻度・重症度)
が中心です。
 
分子機序(ROS経路)まで逐一説明するのは通常の枠外なのです。
 

② 正確に言い換えますとこうなります

論文ベースで誠実に言うのでしたら、
「ミトコンドリア機能が低下した条件では、ワクチン刺激によりROS増加と炎症性細胞死が起こる可能性が示唆された」
 これが限界です。
 

③ 一番重要なズレ(本質)

この投稿の問題を一行で示しますと、
  • 「条件付きの機序研究」を「一般的な毒性の証明」にすり替えている
という事になります。
 
もう一歩踏み込むのでしたら、この手の主張に対しましては、
  • 「誰にでも起こるのか?」
  • 「頻度はどれくらいか?」
  • 「ヒトで因果は証明されているか?」
この3点を問うと、ほぼ崩れます(笑)
 
 
 
さて、5月24日(日曜日)、お時間がございましたら栃木県小山市文化ホール小ホールまで、足を運んでみて下さい。

 

そして6月21日(日曜日)には、愛知県津島市の東海プロレス道場に足を運んで戴けますと、幸いに存じます。

 

北海道の方は、5月24日(日曜日)、札幌市西区はちけん地区センターに足をお運び下さい。


X(旧Twitter)に以下の投稿が話題です。

 

 

結論から申し上げますと、この投稿はかなりミスリーディング(誤解を誘う表現)です。

 

主張ごとに分解しますと、冷静に整理が出来ます。

 

①「あきたこまちR」とは何か

あきたこまちRは、

  1. コシヒカリ環1号 (※ここで一度だけ重イオンビーム照射)
  2. それを「あきたこまち」と交配
  3. さらに何世代も戻し交配(選抜育種)

最終的に「あきたこまち」に近い性質を持たせる訳ですね。

  • 目的…カドミウム吸収を抑える(健康リスク対策)
  • 方法…突然変異育種(昔からある技術)
  • ポイント…遺伝子組換え(GMO)ではない

実はこの手法は戦後から普通に使われておりまして、 現在の多くの作物にも使われています。

あきたこまちRの育成系譜

 

②「給食で混ざっても誰にもわからない」→半分正しいが印象操作

確かに、

  • 見た目・味で区別は難しい
  • 表示は「品種名」で統一される可能性あり

ただし重要な事は、

  • 意図的に隠しているわけではない
  • 流通・行政は品種情報を把握している

つまり「誰にもわからない」というより、消費者がラベルから区別できない場合があるという程度です。

 

③「ミネラル減少・アミノ酸減少・ヒ素増加」→根拠が不十分

この部分が一番問題です。

 

現時点で、

  • 栄養成分が有意に劣化したという確立した科学的合意は無い
  • ヒ素増加についても一般化できるデータは無い

むしろ開発目的は、有害重金属(特にカドミウム)低減ですので、「健康リスクが上がる方向に改変された」という主張は、論理的にも目的と逆です

 

④「有機認証も取れてしまう」→これは制度上“正しい”

ここはやや誤解し易いですが、制度的には事実です。

 

有機JASでは、

  • 遺伝子組換えは禁止
  • しかし放射線育種はOK

つまり、

  • 「有機=自然そのまま」ではない
  • 「化学農薬・肥料を使わない」という基準

ここを混同させて不信感を煽るのが、よくある手法です。

 

⑤ 投稿全体の問題点(典型パターン)

今回の投稿は、かなり典型的です。

 

◎ 不安を煽る構造

  • 「子どもが食べている」
  • 「誰にもわからない」

◎ 科学用語の印象操作

  • 「放射線」
  • 「重イオンビーム」

◎ データの断定(根拠不明)

  • ミネラル減少
  • ヒ素増加

 

 

この投稿主のプルフィールを見てみますと、もう皆さん、お分かりですよね(笑)

 

https://x.com/ToyoukeOrganics
  • オーガニック
  • 自然農
案の定です(笑)
 
何故、「案の定」なのか、整理してみましょう。
 

① 何故この種の発信が出易いのか

「自然農・オーガニック系」と「既存農業への不安喚起」は、ビジネス的に相性が良いんですね。
 
よくある構図としまして、
  • 不安を提示 →「給食のお米が危ないかも」
  • 不信を強化 →「表示ではわからない」
  • 価値の対比 →「だから自然農が安心」
“問題提起 → 不安 → 自分の解決策”の導線
 
これはマーケティングとしては非常に典型的です。
 

② ただし「だから全部ダメ」とは言えない

ここは冷静に切り分けた方が強いです。
  • オーガニック農業そのもの → 否定されるものではない
  • 不安を煽る情報発信 → 問題あり
“思想”と“情報の正確性”は別問題です。
 
ここを混同しますと、逆にこちらの信頼性が落ちます。
 

③ 今回のケースの本質

問題は「自然農かどうか」ではなく、
  • 科学的に未確立な内容を断定的に言っていること
具体的に申しますと、
  • ミネラル減少 → 根拠不明
  • ヒ素増加 → 一般化できない
  • 表示問題 → 誇張
 

④ よくある“自然派ビジネス”の弱点

全部がそうとは言いませんが、典型例としまして、
  • 「自然=安全」という単純化
  • 科学用語の部分使用(放射線など)
  • リスクの相対比較をしない
総じて“ゼロリスク幻想”に寄りがちです。
 

⑤ この手の手法への違和感の正体

恐らく感じておられるのは「情報発信が中立ではなく、商売と結び付いている」という事でしょう。
 
これは非常に重要な視点で、
  • 利益相反(conflict of interest)
  • バイアスの可能性
これらを疑う事は、むしろ健全です。
 

⑥ 一番バランスの良い見方

最も安定する立場はこれです。
  • 自然農 → 一つの選択肢として尊重
しかし、
  • 科学的主張は別途検証
「良い農法」と「正しい情報」は別軸で評価しなければなりません。
 

⑦まとめてみましょう♪

  • プロフィールと発信内容が一致するのは自然(ビジネス的に)
  • ただし今回の投稿は科学的には誇張が強い
  • 「オーガニックだから怪しい」ではなく「主張の根拠で評価」するのが正解
 
一般に「オーガニック」「有機栽培」を謳っております農作物は、生産されていらっしゃいます農家さんが『有機JAS認定』を受けて栽培し、販売をされていらっしゃいます。
(そもそも『無農薬』を名乗る事は禁止)
 
その場合、こちらのマークが表示されております。
 

この認証マークが入っていないにも関わらず、『オーガニック』を謳っておりましたら、一度立ち止まりまして疑ってみましょう。
 
例えば、「無農薬」を謳っておりましても、この様な生産者がいらっしゃる事も事実ですから。
 

 
 
上図の通り、アブラムシに対してアースジェットを使用している方もいらっしゃる様ですし。
 
飽く迄も「無“農薬”だからセーフ」という思考なのかもしれませんけど。
 
結論から申しますと、例え「無農薬」と名乗っていたとしまても、実態が伴っていないケースは確かに存在する様です。
 
そしてその場合、制度的な裏付け(=有機JAS)が無い分、むしろ見えにくいリスクが有る事も事実です。
 

① 「無農薬」という言葉の落とし穴

まず重要な前提です。
 
現在日本では、「無農薬」という表示は原則禁止(誤認を招くため)しております。
 
正しくは、「農薬不使用(栽培期間中)」などの限定表現にとどまります。
 
しかし実際にはSNSなどでは、
  • 「無農薬で作ってます」
  • 「自然農です」
と、かなり緩く使われているのが実情です。
 

② 今回の投稿の問題点

画像の内容は、正直かなり危ういです。
  • 「21年間農薬使ってない」
  • 「でも昨年からアースジェット使用」
ここで論理が破綻しています。
 

③ アースジェットの本質

  • 有効成分…ピレスロイド系殺虫剤
  • 用途…家庭害虫用
  • 特徴…農薬登録されていない
つまり、農薬ではないが“殺虫剤”ではあるのです。
 

④ 何故これが問題か?

ここが非常に重要になります。
 

◎ 有機JASの場合

有機JASでは、
  • 使用可能資材が厳格に規定
  • 家庭用殺虫剤 → 当然NG

◎ 無認証「無農薬」の場合

  • ルールは自己申告
  • 極端な話「農薬じゃないからOK」という自己解釈が可能

⑤ この投稿に対する違和感の正体

私が違和感を感じているところは、“言葉のトリック”で安全性を演出している可能性といったところですね。
  • 無農薬 → 実際は殺虫剤使用
  • 自然 → 実際は人為的介入有り

⑥ 有機JASの価値(ここが重要)

有機JASの本質は、「安全そのもの」ではなく「ルールの透明性」にこざいます。
 
つまり、
  • 何を使っていいか明確
  • 第三者がチェック
  • 消費者が判断できる

⑦ 一番危ないパターン

私が懸念しているのは、まさにこれです。
 
 “無認証 × 強い安全アピール × 独自基準”

 

この組み合わせは

  • 科学的裏付けが弱い
  • しかし信頼感だけは高く見える

⑧ まとめてみましょう

  • 「無農薬」は曖昧で自己解釈の余地が大きい
  • アースジェット使用は実質“殺虫剤使用”
  • 有機JASはその曖昧さを排除する制度
この問題の本質は、“何を使ったか”ではなく、“その情報が検証可能かどうか”なんですよね。
 
結局、規格がハッキリしております方が、安全が担保されますから安心です。
 
胡散臭い不安マーケティングには、注意しましょう。

 

 

 

さて、まずは5月24日(日曜日)、お時間がございましたら栃木県小山市文化センター小ホールに足を運んでみて下さい。

 

そして6月21日(日曜日)は愛知県津島市の東海プロレス道場まで足を運んで戴けましたら、幸いに存じます。

 

X(旧Twitter)に、この様な投稿がございます。

 

 

さて、この主張の“ネタ元”となっております論文が、こちらになります。

 

 


まず、この論文は吉備国際大学の機関リポジトリに掲載された研究であり、一般的な意味での高水準な査読付きジャーナル論文とは位置付けが異なるものです。

 
どの様な研究なのか、少し整理してみましょう。
 

① 研究の主張(結論部分)

この論文はざっくり申しますと、
  • 日本ではパンデミック後も超過死亡(excess mortality)が続いている

その要因としまして、

  • COVID-19ワクチン接種
  • 呼吸器感染症(インフル等) との「関連(association)」がある可能性を示唆

ただし重要な事は、「因果関係」ではなく「相関(関連)」を見ている研究です。

 

② 研究の方法

典型的なこの種の論文の構造は以下の通りです。
 

◎ データ

  • 日本の死亡統計(全死亡)
  • ワクチン接種数
  • 感染症流行データ

◎ 手法

  • 期待される死亡数(過去データから予測)と実際の死亡数を比較 =「超過死亡」を算出

 その上で、

  • ワクチン接種時期
  • 感染症流行時期

との時間的な一致(時系列相関)を見ております。

 

③ 重要なポイント(ここが誤解され易い)

◎ 「関連がある」=原因ではない

この研究は、ecological study(生態学的研究)と呼ばれるタイプの研究でして、個人レベルで、
  • 「誰が打って」
  • 「誰が亡くなったか」

は見ておりません。

 
つまり、「ワクチン打った人が死んだ」のではなく、「社会全体で同時期に増えている」という事しか言えません。
 

◎ 交絡(confounding)の問題

この種の研究で最大の問題は、「同時に起きているものが多過ぎる」という事です。
 
例えば、
  • 高齢化の進行
  • 医療逼迫・受診控え
  • 熱中症
  • インフル・RSウイルス流行
  • コロナ感染そのもの
  • 社会的ストレス

これらを完全には分離出来ません

 

◎ 時系列一致は簡単に出る

例えば、
  • 冬に死亡増加
  • 冬に感染症流行
  • 同時期にワクチン接種

これら全部が「相関あり」になります。

 

④ 学術的な評価(一般的な見方)

このタイプの研究は、
 

◎強み

  • 社会全体の傾向を把握できる
  • 仮説生成には有用

◎ 弱点(重要)

  • 因果関係は証明できない
  • 誤解され易い
  • 政策判断の根拠としては弱い

⑤ もう一歩踏み込んでみよう♪

もし本当に因果関係を検証するのでしたら、必要な事は、
  • 個人データ(接種歴 × 死亡)
  • 年齢・基礎疾患の調整
  • 他要因の統計制御

つまり、コホート研究やケースコントロール研究です。

 

⑥ まとめてみましょう♪

この論文は、日本の超過死亡の持続を示し、その要因としてワクチンや感染症との「関連」を統計的に観察した研究です。
 
ただし因果関係は示しておりませんので、解釈には慎重さが必要です。
 
更に、この論文は一見「データに基づいている」様に見えますが、統計的には典型的な弱点をいくつも抱えています。
 
整理してみましょう。。
 

① 結論(先に)

この論文の弱点は一言で申しますと、「時系列の一致だけで因果を示唆している」点です。
 

② 主な統計的弱点

◎ エコロジカル研究の限界(最重要)

再掲致しますが、この研究は『ecological study(集団レベル分析)』です。
 
つまり、
  • 日本全体の接種数
  • 日本全体の死亡数

を比較しているだけでしかなく、

  • 接種した人が死亡したか
  • 未接種と比べてどうか

は見ておりません。

 
何が問題かと申しますと、これは有名なエコロジカル・フォールシー(ecological fallacy)に該当します。
 
例)
アイスが売れると溺死が増える → だからアイスが原因
(実際は夏という共通因子)
 
今回も同じ構造です。
 

◎ 交絡因子の未調整(致命的)

同時期に起きている要因が多過ぎます。
 
特に日本では、
  • 高齢化の進行(年々死亡は自然増)
  • コロナ感染そのもの
  • 医療逼迫・受診控え
  • インフル・RSウイルス流行
  • 熱中症(2022年以降かなり多い)
  • 社会的ストレス・孤立

これらを個別に統計調整しておりません

 
統計的に申しますと本来必要な事は、
  • 多変量回帰
  • 年齢調整
  • 時系列分解

なのですが、この論文は、単純な相関・並列比較に近いのです。

 

◎ 年齢構造の補正不足

死亡は、ほぼ年齢で決まる指標です。
 
しかし、
  • 高齢者ほど接種率が高い
  • 高齢者ほど死亡率も高い

これで相関が出るのは当たり前田のニールキックです。

 
そもそも典型的バイアスとしましての『confounding by age(年齢交絡)』、これを外しませんと「接種が多い → 死亡も多い」という“見かけの相関”が出ます。
 

◎ 時系列の扱いが粗い

この論文の構造は、
  • 接種が増えた時期
  • 死亡が増えた時期

これらが「重なっている」事を示します。

 
しかし問題は…時間遅れ(lag)を厳密に見ていない可能性が高い訳ですね。
 
本来は、
  • 接種 → 数週間後に影響?
  • 感染 → 数週間後に死亡?

といったラグ解析(lagged analysis)が必要です。

 

◎ モデルの妥当性(超過死亡の推定)

超過死亡は、「期待死亡数」をどう作るかで結果が大きく変わります。
 
よくある問題としまして、
  • ベースラインの取り方が恣意的
  • コロナ前のトレンドを正しく補正していない
  • 季節性の扱いが不十分

モデル次第で「超過あり/なし」が変わります。

 

◎ 多重比較・後付け解釈

この論文は、
  • ワクチン
  • 呼吸器感染症

両方と「関連あり」と主張されております。

 
ここでの問題は、後付けで説明できてしまう構造ですね。
  • 何とでも関連づけ可能
  • 仮説検証ではなく仮説生成

です。

 

◎ 因果推論の枠組みがない

現代の疫学では、
  • DAG(因果図)
  • 傾向スコア
  • 自然実験

などが使われますが、それがございません。

 

③ まとめ

この論文への最もシンプルで強い指摘は、
  • 「集団レベルの時系列相関であって、個人レベルの因果は全く示していない」
  • 「年齢・感染・医療状況などの交絡を制御していないため、解釈は不可能に近い」
 

④ 更に一歩踏み込んでみよう♪

この論文の弱点を突くとしましたら、
  • 「未接種 vs 接種の個人データは?」
  • 「年齢調整してますか?」
  • 「感染の影響は除いてますか?」
  • 「ラグ解析は?」

これでほぼ詰みます。

 
これらを踏まえまして、上図の小倉台福田医院の福田世一院長の投稿を見てみましょう。
 
福田世一院長の主張は、もう皆さん、お分かりですよね。
 
論文の内容から大きく逸脱しております
 
整理してみましょう。
 

① なぜアウトなのか(核心)

◎ 論文は「個人」を見ていない

該当論文は、
  • 日本全体の死亡数
  • 日本全体の接種数

これら二つを比較しただけです。

 
つまり、
  • 打った人が死んだ
  • どのくらい死んだ

これらは一切分かりません。

 

つまり、個人データが無いのに「割合」を語る事は統計的に不可能なのです。
 

◎ 「結構な割合で死んだ」は完全な飛躍

論文の主張は、「時期が重なっている」だけです。
 
それを、
  • 「打ったら死んだ」
  • 「しかも結構な割合」

に変換されていらっしゃいます。

 
つまり福田世一院長の頭の中で何が起きているかと申しますと、
  • 相関 → 因果 → 定量化

という“3段階の飛躍”です。

 

◎ 数字が一切出ていない

本来、「結構な割合で死んだ」と主張されるのでしたら、必要な事は、
  • 接種者数
  • 接種者の死亡数
  • 未接種との比較

なのですが、この論文には実は、その様なデータは存在しません(笑)

 

◎ 基本的な疫学ルール違反

この発言は、疫学的にはエコロジカル・フォールシーの典型例です。
 

② 例で説明しますと…

この論文の構造は、
  • 接種が増えた
  • 死亡も増えた

これだけです。

 
これを同じロジックで申しますと上述の通り、
  • アイスが売れた
  • 溺死が増えた
  • 結果、アイスで人が死ぬ

と同じです。

 

③ 更に踏み込んでみよう♪

この主張の問題は「誤り」だけではありません。 
 

◎ 問題1~定量の捏造

  • 論文に記されておりません「結構な割合」を勝手に追加

◎ 問題2~因果の断定

  • 論文は「associated(関連)」ですが、「打ったら死んだ」と断定

◎ 問題3~研究デザインの無視

  • 個人データなし
  • 交絡未調整

こらは本来“仮説レベル”の研究です。

 

④ まとめ

今回の件はシンプルに申しますと、「集団レベルの相関研究」を「個人の死亡リスク」にすり替えた誤読です。
 
  • 「その論文、接種者がどれだけ死んだかのデータ出してますか?」
  • 「未接種との比較は?」
  • 「年齢調整してますか?」
これで詰みです。

 

勿論、福田世一院長は分かっていらっしゃるのでしょうけど。

 

 

 

 

さて、5月24日(日曜日)ですが、お時間がございましたら栃木県小山市文化ホールに足を運んでみて下さい。

 

そして東海地方にお住まいの方は6月21日(日曜日)、愛知県津島市の方に足を運んで戴けますと、幸いに存じます。

X(旧Twitter)の私のタイムラインに、この様な投稿が流れて来ました。

 

 

 

 

 

結論から申し上げますと、この投稿内容は現在の科学的コンセンサスからは支持されておらず、誤解や誇張に基づく可能性が高いです。

 

そして、それを根拠に輸血忌避を広める行為は、状況によっては公衆衛生上かなり問題が有ると言えます。

 

以下、論点ごとに整理します。

 

①「ワクチン由来スパイクが長期間・無制御に産生される」という主張

これは不正確です。

 

mRNAワクチンは体内で一時的にスパイクタンパクを産生させますが、mRNA自体は数日程度で分解し、スパイクタンパクも免疫系により処理されるというのが、基本的な理解です。

https://bpspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/prp2.1218

 

 一部の研究で「長めに検出された」例もございますが、

  • 極めて少数例
  • 検出方法や解釈に議論あり
  • 臨床的な有害性と直結しない

という位置付けで、「年単位で有害なスパイクが作られ続ける」という話にはなっておりません。

 

②「汗からスパイク検出=長期残存」の主張

これもかなり慎重に見る必要があります。

  • 単発・小規模研究やプレプリント段階の報告が多い
  • 測定の特異性(本当にスパイクか?)に疑義があるケースもある
  • 仮に微量検出されても、感染性や毒性とは別問題

つまり、「検出された」=「危険な量が体内に残っている」ではございません。

 

③「輸血でスパイクに曝露するリスク」

ここが最も重要です。

 

現在の輸血医療の前提としまして、

  • 血液製剤は保存・処理過程を経る
  • 仮に微量のタンパクが含まれても消化・分解されますので、生体内で機能する形で作用するとは考えにくい

更に決定的な事は、

  • 輸血によるスパイクタンパクの有害性は確認されていない
  • 接種者ドナー血が危険というエビデンスは存在しない

主要機関(例:アメリカ赤十字社 や アメリカ食品医薬品局)も、

  • ワクチン接種者の献血は安全
  • 区別する必要なし

という立場です。

 

④ 実際のリスク評価(重要)

輸血におきまして現実に問題になる事は、

  • 血液型不適合
  • 感染症(厳しくスクリーニング済み)
  • アレルギー反応

などでして、「ワクチン由来スパイク」はリスク要因として扱われていません。

 

⑤ 社会的影響

これはかなり問題がございます。

 

この種の主張が広まりますと、

  • 献血忌避・輸血拒否が増える
  • 医療現場での血液不足が深刻化
  • 緊急医療(手術・事故・出産)に影響

実際、「ワクチン血液を拒否する」という動きは一部で見られますが、科学的根拠よりも不安心理に依存した行動です。

 

⑥総合評価

率直に申しますと、「科学的合理性に基づくリスク回避」ではなく、誤情報に基づく過剰回避行動です。

 

そして、それを広める行為は、

  • 意図的であれば悪質
  • 無自覚でも公衆衛生に有害

と評価されても仕方がないレベルです。

 

 

そして投稿主が自身の主張の根拠とされていらっしゃいます論文が、こちらになります。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1346-8138.17204

 

結論から申し上げますと、この論文は「汗からスパイク蛋白が長期間排出され続ける」事を示した研究では全くありません

 

むしろX上の主張は、論文内容のかなり強引な拡大解釈(ほぼ誤用)です。

 

 ① 該当論文の内容

この論文は、皮膚科の症例報告(case report)です。

 

タイトルから重要点を抜き出しますと、

  • 「mRNAワクチン後の女性」
  • 「あせも様の皮疹」
  • 「その皮膚病変部を免疫染色したらスパイク蛋白が見えた」

というものです。

 

② 決定的に重要なポイント(誤解されている点)

◎ “汗そのもの”を測定した研究ではない

この論文は 、汗を採取して分析した研究ではございません

 

調べております事は、

  • 「皮膚の病変組織」
  • しかも「汗腺(エクリン腺)周辺の組織」

つまり、「汗からスパイクが出ている」という話ではないのです。

 

◎ たった1例の症例報告

  • 被験者…1人
  • デザイン…観察的・記述的

これは医学研究の中では最もエビデンスレベルが低い部類です。

 

 

一般化はできません。

 

◎ “検出=体内で大量産生・長期持続”ではない

免疫染色で「存在が示唆された」だけでして、

  • どのくらいの量か
  • 活性があるのか
  • いつまで残るのか

という事を、何一つ定量的に示しておりません

 

◎ 皮膚病変という特殊条件

この症例は、「あせも様の皮疹(炎症状態)」という異常な局所環境です。

 

炎症部位では、

  • タンパクの滞留
  • 免疫細胞による捕捉
  • 偽陽性(交差反応)

などが起こり得ます。

 

健常人の全身状態とは全く別物なのです。

 

◎ そもそも「汗中タンパク」は極めて微量

一般論としまして、

  • 汗はタンパク質が非常に少ない体液
  • 分解・希釈も激しい

という事でして、バイオマーカーとしても扱いが難しい領域です。

 

③ X上の主張とのズレ

X投稿のロジックでは、
  • 汗からスパイク検出 → 長期残存 → 輸血危険

しかし実際の論文では、

  • 汗は測っていない
  • 単一症例
  • 局所皮膚病変
  • 定量なし
  • 臨床的リスク評価なし

と、論理が3〜4段階スッ飛んでいます。

 

④ この論文で「言えること/言えないこと」

◎ 言えること(エビデンスに沿った範囲)

  • 単一症例において皮膚(汗腺・汗管周辺)で、スパイク蛋白“様のシグナル”が免疫染色で検出された
更に、
  • 症状が長期(約2年)続いていた
  • スパイクとの関連の「可能性」は示唆される
  • 機序は不明(大学自身が明記)

◎ 言えないこと(今回のデータからは飛躍)

  • スパイク蛋白が全身で長期間産生され続ける
  • 血中に持続的に存在する
  • 汗として体外に排出される
  • 他人に曝露する
  • 輸血で健康被害を起こす

これらは全て別の証拠が必要な主張です。

 

⑤ 総合評価(かなり率直に)

この論文を根拠に輸血忌避を正当化するのは不適切です。

更に踏み込みますと、
  • 科学的には「仮説の種」に過ぎない症例報告
  • それを「一般的リスク」に拡張
  • さらに「輸血危険」に飛躍

典型的な“論文の誤用パターン”です。

 

 

⑥ 補足(冷静な位置付け)

この論文自体は無価値ではなく、
  • 皮膚症状のメカニズム仮説
  • 局所でのスパイク関連反応の可能性
を示唆するものとしては意味がございます。

ただし、公衆衛生リスクの議論に使う段階の研究では全くございません


⑦ まとめ

  • この論文は「汗にスパイクが出る」研究ではない

  • 単一症例の皮膚病変観察に過ぎない

  • 輸血リスクとは無関係

よってXの主張は、「論文の内容を逸脱した誤情報(少なくとも重大な誤解)」と評価して問題ありません。

 

高知大学の方も、
「患者に COVID-19 ウイルス感染歴が無いため、“おそらく” mRNA ワクチン由来と“考えられます”」
と記されております。

 

 

この記述はかなり慎重な言い回しで、
「感染歴がないため、おそらくワクチン由来と考えられる」
というのは消去法ベースの推定に過ぎません。

 

つまり、不顕性感染の可能性を考慮すれば、ワクチン由来と断定する根拠は不十分なのです。


そして更に申しますと、仮にワクチン由来だったとしましても、そこから輸血リスクに飛躍する根拠にはなりません

 

2023年に癌腫瘍摘出手術で、体中の血液が入れ替わるくらいに輸血して戴きました私としましては、血液を提供して下さった皆様には感謝の念しかございませんし、全ての血液が有難いです。

 

ですから、この様なガセネタを恥ずかし気も無く吹聴する輩は許せません。

 

皆様は、如何でしょうか?

 

 

 

関東、甲信越、福島県他、来る5月24日(日曜日)、もしお時間がございましたら、是非こちらに足を運んでみて下さい。

 

また、東海地方にお住まいの方は6月21日(日曜日)、こちらに足を運んで戴けますと、幸いに存じます。

 

 

 

 

X(旧Twitter)の私のタイムラインに、この様な投稿が流れて来ました。

 

 

率直に申しますと、この投稿はいくつかの論点を意図的に混ぜまして、誤解を誘い易い構造になっております。

 

順に分解しますと、かなり整理できます。

 

①「原因が分かればノーベル賞」→文脈のすり替え

このフレーズ自体は、「がんは単一原因では説明できない」という比喩です。

 

しかし投稿ではこれを「原因もメカニズムも分かっていない」という意味にすり替えています。

 

ここがまず大きな飛躍です。

 

② 子宮頸がんは“原因がかなり特定されているがん”

子宮頸がんに関しましては、事情が全く異なります。

  • 主因…ヒトパピローマウイルス感染
  • 特に高リスク型(16型・18型など)

これは疫学・分子生物学の両面からほぼ確立されています。

 

 

この発見に対しては実際に、ノーベル生理学・医学賞をハラルド・ツア・ハウゼン(Harald zur Hausen)氏が授与されております。

 

つまり「原因が分かればノーベル賞もの」は、この分野では既に現実に起きている話なのです。

 

③「メカニズムが分かってないのにワクチン?」→誤り

HPVワクチンの仕組みは明確です。

  • HPV感染を予防→ 持続感染を防ぐ→ 前がん病変を防ぐ→ 子宮頸がんを減らす

この流れは臨床試験・実データで確認されています。

 

つまり、「完全に未解明なのに使っている」訳ではないという事ですね。

 

医療ではよくある事ですが、メカニズムが完全解明でなくても有効性と安全性が確認されれば使われる事がございます。

(例:アスピリンも長年機序が不完全理解のまま使われてきました)

 

④「子宮頸がん限定なのはおかしい?」→むしろ合理的

HPVは、

  • 子宮頸がん
  • 肛門がん
  • 中咽頭がん

など、複数のがんに関与しますが、

 

子宮頸がんは、

  • スクリーニングがある
  • 前がん段階が明確
  • 発生機序が比較的追い易い

ため、最も予防効果が検証し易いモデルケースなのです。

 

ですから「限定」ではなく、科学的に検証し易い領域から始まっているだけです。

 

⑤「日本だけ市場拡大?」→事実認識がズレている

がんの増加につきましては主に、

  • 高齢化
  • 検診の普及(発見数増)
  • 診断精度の向上

が原因です。

 

これは日本に限った話ではございませんで、世界保健機関なども指摘する世界的傾向です。 

 

むしろ日本は、年齢調整死亡率は長期的に低下傾向です。

 

⑥ 投稿全体の問題点(まとめ)

この投稿は典型的に、

  • 比喩(ノーベル賞)を literal に解釈
  • 一般論(がんは複雑)を個別論(子宮頸がん)に誤適用
  • 「未解明=効果不明」と誤認
  • 不安を煽る疑問形で締める

という構造です。

 

⑦ 結論

この投稿の核心的な誤りは、「がん一般の複雑性」と「HPVという特定因子によるがん」を混同していることです。

 

その結果、科学的にかなり確立している部分(HPVと子宮頸がん)まで「分かっていないもの」として扱ってしまっています。

 

 

 

そして更に、この投稿主は連投された様です。

 

 

この発言は「科学的な主張」というよりは「陰謀論的なレトリック」にかなり近いですね。 

 

どこが論理的におかしいのかを、分解しまして整理してみますね。

 

①「巨大資本により腐敗」→ありがちな“万能説明”

このタイプの主張の特徴は、

  • 反証不能(何でも「隠されている」で済ませる)
  • 都合の悪いデータを無視できる
  • 感情的には納得し易い

つまり、どんな事実にも適用できてしまう“万能仮説”です(笑)

 

② 現実…医療は「完全にクリーンでも完全に腐敗でもない」

現実はもっと中間的です。

  • 製薬企業は利益を追求する(これは事実)
  • だから規制・審査がある(厚生労働省・ 医薬品医療機器総合機構)

更に、

  • 国ごとに独立して審査
  • 学術研究(大学・非営利)も多数
  • 国際的なデータ共有

単一の“巨大資本”が全てを操作する構造にはなっていないのです(笑)

 

③ HPVワクチンは「企業の利益」だけで説明できるか?

もし本当に、「腐敗によるゴリ押し」でしたら、次の説明がつきません。

  • 多数の国で導入されている
  • 公的機関・学会が長期データを評価している
  • 接種率が上がると前がん病変が減るという実データ

例えば、世界保健機関はHPVワクチンを「がん予防戦略の中核」と位置付けております。

 

これを全て「巨大資本に支配されている」とされるのでしたら、

  • 各国政府
  • 独立研究者
  • 医療機関

まで含めた大規模共謀が必要になります。

 

現実的には成立しにくい“仮説”です。

 

④ この発言の本質

この種の言説のコアは、「不信感」そのものです。

  • 医療ミスはゼロではない
  • 製薬企業の不祥事も過去に存在する

そこから「全部信用できない」へ飛躍してしまう訳です。

 

⑤ ロジックとしての問題点

この投稿の論理構造はと申しますと、

  • 医療には問題がある(部分的に正しい)
  • だから腐敗している(飛躍)
  • だからワクチンも信用できない(さらに飛躍)

と、中間の検証が全部抜けています

 

⑥ 落ち着いた反論の軸

この手の投稿に反論する場合は感情的に否定するより、次の様に返すのが有効です。

 

「利益が絡む」ことと「効果がある」ことは別問題

 

そして、個別のエビデンスで判断するべきでしょう。

 

⑦ まとめ

この発言は、

  • 科学的議論ではなく
  • 不信感ベースの一般化

に過ぎず、HPVワクチンの有効性・安全性の議論とは別次元です。

 

“がんは複雑”という一般論と、“HPVが主因の子宮頸がん”という確立事実を混同した上に、根拠のない陰謀論で補強しているだけなのです。

 

それでももし心配になられるのでしたら、お近くの産婦人科や小児科のお医者さんにお問い合わせ下さい。

 

それが一番、確実です♪

 

 

 

関東や北信越などにお住まいの皆様、お時間がございましたら、足を運んでみて下さい。