最近、何かと問題視されております『円安』につきまして、以下の様なポストが流れて来ました。



円安で貿易収支とデジタル関連が赤字である事を、問題視している訳ですね。


典型的な足し算経済学と言っても良いでしょう。


マクロ経済で見た場合、貿易赤字なんてものは、何の問題でもございません。


そもそも、輸入>輸出が貿易赤字です。


つまりは、

国内需要>海外需要

という事に過ぎない訳です。


更に別の角度から見てみます。


Y=GDP

C=消費

I=投資

G=政府支出

EX=輸出

IM=輸入

としますと、

Y=C+I+G+(EX-IS)となります。

となりますと、

(Y-T-C)+(T-G)-I=EX-ISとなります。(T=税金)

  • Y-T-C…国民貯蓄
  • T-G…政府貯蓄

となりますので、

S(貯蓄)-I=EX-ISという事になる訳ですね。


所謂ISバランスモデル(貯蓄投資バランスモデル)ですね。

この場合、「EX-IS」というのは経常収支という事になります。


右辺を黒字にしたければ、左辺も黒字にしなければなりません。


つまり、貯蓄>投資にすれば良いだけなんですね。


そして、

経常収支=貿易収支+サービス収支+第一次所得収支+第二次所得収支

ですので、貿易収支は経常収支の一部に過ぎません


ですから「貿易収支が赤字」だからと言いましても、取り立てて騒ぐ事もございません。


マクロ経済を「ミクロ経済の集合体」と考える方もいらっしゃる様ですが、そうとも言い切れない部分がございます。


だとしましたら、そもそも「マクロ経済」「ミクロ経済」と分ける必要がございませんよね。


ミクロ経済にとりましてプラスになる事が、マクロ経済には何の役にも立たない事がございます。

(それどころか、マイナスになる事もございます)


所謂合成の誤謬というやつですね。


それでも「国民所得ガー!!」と仰られるのでしたら、こちらですね。


【図1 実質国民総所得(季節調整値)及び実質実効為替レート(1994年1-3月~2023年10-12月)】


「円安はプラス」という人を“マクロ馬鹿”と仰られる前に、「木を見て森を見ず」という己の考え方を戒めるべきでしょうというのが、私の考えです。

この考え方を支持されるか否かは、あなた次第です。