昨年末、以下の様なニュースがございました。
これに便乗されたのでしょうか、一部の方達の間では、歯磨き粉のフッ素を忌避されていらっしゃる人もいらっしゃる様です。
上記の報道を読んで戴けますと分かりますが、発癌性が有るのは有機フッ素化合物なんですね。
歯磨き粉に使われておりますのは、フッ化ナトリウムという無機フッ素化合物なのです。
まず、「フッ素」というのは元素の名前です。
「水兵リーベー僕の舟」といったもので、覚えられた方もいらっしゃるかと思います。
これは語呂合わせでして、歴史でも、
- 無事故の日無し大化の改新…大化の改新645年
- いや誤算なれペリーさん…黒船来航1853年
- いい子を作ろう構えはバック…鎌倉幕府設立1192年
フッ素は元素単体では、大変な猛毒です。
非常に強い酸化作用がございまして、ガラスや白金をも侵します。
一方でナトリウムも単体では、毒物及び劇物取締法によりまして劇物に指定されております。
如何せん、水と激しく反応、と申しますか、爆発します。
しかし、このフッ素とナトリウムが組合わさりまして、フッ化物となる事で安全なものになる訳です。
とはいえ、人体への影響は皆無という訳ではございません。
過剰摂取は、危険です。
- 子供でしたら歯磨き粉2本分
- 大人でしたら4~5本
つまり、あまり気にするほどのものではないという事ですね。
では、何の為にフッ化ナトリウムを歯磨き粉に配合しているのでしょうか?
これは皆様もご存知かとは思いますが、所謂虫歯予防の為です。
フッ素の効果は絶大でして、
- 歯の質そのものを強くする
- 歯の再石灰化を促す
- 歯垢の生成の抑制
そして、虫歯予防効果につきましては、以下の論文がございます。
この論文によりますと、次の結論が得られます。
- フッ化物含有歯磨剤には虫歯予防効果が有る
- 1,450~1,500ppmのフッ化物含有歯磨剤は、それ以下の濃度よりも虫歯予防の効果は高く、それ以上の濃度になっても効果は変わらない
日本の販売されております歯磨き粉で最も含有量が多いものは1,450ppmで、それが最も効果が高く、日本口腔衛生学会では15歳以上に推奨されております。
(15歳未満の方には1,000ppmのものを推奨)