「新型コロナはインフルエンザと同じレベル」
「インフルエンザが流行してもワクチンは接種しなかったし、マスクも着けてなかった」
「新型コロナはただの風邪」
「だから、もうワクチンもマスクも必要無い」
といった文言を、“アチラ”の界隈でよく散見します。
ネタ元は恐らく、こちらの記事でしょう。
もっとも、この様な報道が、Covid-19を2類から5類に移行した一因となったのでしょう。
こちらのネタ元は、第111回の、『新型コロナ感染症対策アドバイザリーボード』なのだと思います。
どうも、今一つ腑に落ちません。
と申しますのも、Covid-19によります死亡者数と、インフルエンザによります死亡者数が、明らかに差が有るのです。
【図1 季節性インフルエンザ及びSARS-cov-2の死者数の推移(2015年~2023年7月)】
【データ出典:
】
そこで、もう少し細かく見てみましょう。
【図2 インフルエンザ及びSARS-cov-2死亡者数の推移(2018年1月~2023年7月)】
Covid-19の死亡者数が、明らかに多い事が分かります。
という事で、致死率を見てみましょう。
Covid-19の感染者数を、『第111回ADB資料』から。
インフルエンザの感染者数を、『第74回ADB資料』から。
そして各々の死亡者数を厚生労働省の『人口動態調査』から抽出しまして、算出してみました。
【図3 SARS-cov-2(オミクロン株)とインフルエンザの致死率】
確かにBA.5はBA.1/BA.2に比べまして“弱毒化”をしている様ですが、インフルエンザに対しまして人の命を奪う力は、明らかに上回っております。
そもそも死者数は、
感染力×致死率
で決まります。
オミクロン株はデルタ株に対しまして、感染力は約4倍(厚生労働省報告)。
デルタ株はインフルエンザに対しまして、感染力は約4倍(CDC報告)。
死者数は、毒性よりも感染力の影響が強いという訳ですね。
【図4 新型コロナ陽性者数及び死亡者数(2020年5月9日~2023年5月8日)】
ハーバード大学医学部は、オミクロン株はインフルエンザの4倍の死亡リスクが有ると発表されました。
また、インフルエンザでもCovid-19でも入院後の死亡率や健康上の有害転帰は高いのですが、Covid-19によります入院は、インフルエンザによります入院に比べまして、ほぼ全ての臓器系(肺系を除く)に於けます死亡や有害転帰の長期リスクが高く、累積過剰DALYが優位に大きいという事が、英国の医療誌のLancetに発表されました。
そして、Covid-19が厄介なところの一つとしまして、
無症状の場合でも感染させる
というところにございます。
つまり、
①感染→②発症→③寛解
というのが、たいていの感染症ですが、Covid-19の場合は、②をスッ飛ばして①→③となる場合が有り、その状態で周囲に感染させるのです。
更に、普通の感染症は、一度感染しましたら抗体が出来るはずなのですが、Covid-19の場合は抗体が出来ず、むしろ2022年前半にBA.1/BA.2と“闘った”人は、その年の後半にBA.5に感染するリスクが約30倍高くなります。
そして二度目の感染でlong-COVIDのリスクが上昇する事が分かりました。
更に、心臓や血管にも直接ダメージを与えます。
そして、脳や神経にも影響を与えます。
現在帰省中の方、或いはこれから規制されます方がいらっしゃるかとは思います。
高齢のご両親とお逢いされます方も、いらっしゃる事でしょう。
コロナ禍は、まだ終わっておりません。
どうぞ、感染症対策を怠らずに、年末年始をお楽しみ下さい。
では皆さん、良いお年を♫