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朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。


朝鮮問題深掘りすると?

中央追悼大会


金国防委員長の逝去後アメリカや韓国,日本での最大の関心事はキム・ジョンウン体制の滑り出しが円滑か,混乱かを巡るものです。


朝鮮に敵対的な国家は不安説を説き、そうでない国はおおむね安定説が支配的なようです。日本の産経新聞やフジ・産経山気グループのメディアは、さすがに安定説は取らずに不安説一点張
りです。特徴的なのは、始めからどうだと決めつけた上で,ストーリーを立てている点です。


        朝鮮問題深掘りすると? 中央追悼大会に参加した平壌市民

翻って韓国ではどうかというと、政府系の研究機関や学者らは基本的に不案説を取っており、冷静かつ政治的要求とはなれて事態を受け止めている学者らは安定説を取っているようです。どうも政治的立場の違いがこうした差を生んでいるようです。それはまさに「フクシマ」直後の日本のマスメディアがいわゆる「原子力村(原子力マフィア)」と呼ばれる一軍の学者を登場させ,日本政府の原子力政策を擁護するのに必死になっていた状況を彷彿させます。この事件はマスコミの不偏不党なるものが幻想に過ぎず,おためごかしに過ぎないということを如実に物語るものでしたが、同じような現象が朝鮮の今後を巡る論調にも見られます。


次に特徴的なのは不安定説が逃げ道としてつねに指摘しているのが、キム・ジョンウン大将の義兄に当たるチャン・ソンテク氏を必要以上にクローズ・アップさせている事です。若いキム・ジョンウン大将では心許ないという自分たちの勝手な憶測、それをチャン・ソンテクらによってその不安要因は払拭することが出来る,つまり結果的には安定するだろうというものです。不安説が崩れた場合の逃げ口を早くからと用意しているという事になります。


このようにチャン氏をクローズ・アップするのは現実にキム国防委員長の逝去後、キム・ジョンウン大将が「朝鮮有事」のストーリーとは違って極めてスムーズに、そして節度を持ってキム国防委員長の逝去と関連したあらゆる決定を下し、有効的に朝鮮の党と軍、国民を指導していることがはっきりとしたからでしょう。「不安説」を大っぴらに主張することの出来ない現実を見せられたからに相違ありません。


国民の「動揺」についても同じようなことが言えます。韓国のネット新聞を見ると「朝鮮は実に不可思議な国だ」という意見がみられます。正直な意見であり、管理人もそうだと思います。国民と指導者が一心団結している国など他にありませんから。わずか1%が国家の富を牛耳っていると一大デモを起こしたアメリカ国民や、フクシマ問題で地元と政府、そして地元ではない国民が喧々がくがくと論争を起こし,未だに政府と国民が意見の一致を見られない日本、大統領の脳容量がわすか2メガバイトしかないとして大統領に2MBという呼称を与えて蔑んでいる韓国民に,キム国防委員長との永訣式に見せた朝鮮国民の姿を理解できるわけがありません。


指導者を実父のように慕う国民の気持ちを理解できるわけがないのです。そしてこれが理解できないのでキム国防委員長亡き後の朝鮮を展望することができないのです。もちろん朝鮮の国民と指導者のこの独特な関係は一夜にして実現したものではありません。長い歴史の経験と実績によって担保されたものです。もちろんそれについて書くつもりはありません。極めて深い理論的考察と植民地解放戦争から今日までの歴史的総括が必要になりますので、どうしても堅苦しい話になります。(関心のある方はメッセージなどでご連絡をください。複数人の勉強会などであれば対応します。)


いずれにせよこれまでアメリカや韓国、日本などで騒がれてきた最高指導者の逝去による「朝鮮有事」なるものが全くの茶番劇、たんなる三文小説でしかなかったことが立証されたわけです。本気で考えていた人々にとってこうした結論は悔しいのでしょうが、どうしようもありません。自分の不徳、勉強不足、何かあればすぐに他人に寄り添う癖を持った自分のふがいなさだと思って頂くしかありません。管理人はこうした不毛な,まったくの時間の無駄に過ぎない論議に結論が出たことは良いことだと思っています。


今後このブログでも、必然的にポストキム国防委員長について書くことになると思います。出来るだけわかりやすく、TVなどで著名な学者や評論からとは違って,朝鮮の独特な国家作り、革命と建設の特徴、そして具体的な事象に対する正しい理解をもって書いていきたいと思っています。韓国やアメリカの学者らの意見も紹介していこうと思います。


今年は大変な終わり方をしました。しかし管理人としては世界の重大事をそれなりに記録することが出来たという自負心を持って今年を終えることが出来ます。キム国防委員長の逝去と関連した記事は一応これで終わろうと思います。韓国では来年の政権交代を巡る重大な問題がいくつか起きています。それに目をつむることも出来ませんので。この問題にもメスを入れていこうと思っています。ただ残念なことに今年はアクセスガ一日平均3000以上をを越えるのを目標にしていましたが,残念ながら及びませんでした。来年は是非達成したいと思っています。がんばりますので応援、よろしくお願いいします。

金国防委員長の逝去報道後わずか2日間で、平壌市内の金日成広場や党創建記念碑、平壌体育館などや各地方都市所在地、国防委員長の現地指導とゆかりのある企業所などに弔意に訪れた人々の延べ数が、実に朝鮮の人口のおよそ2倍に当たる4392万9000人にたっしたといいます。脅威的な数字です。朝鮮の人々の嘆きがよくわかります。朝鮮の人々にとって国防委員長は国家の指導者であるばかりではなくまさに実父のような存在でした。この心情を理解できなくては朝鮮の過去も現在も知る事はできず,従って今後も知ることはできないでしょう。


朝鮮問題深掘りすると?-厳冬をものともせずに哀悼の意を尽くす人々 厳冬をものともせずに哀悼の意を表す朝鮮の人々(金日成広場で)

アメリカや,日本、韓国ではこうした朝鮮の人々の国民感情を何も理解しないまま,今後について論じていますが、それはあたかも作者の訴えようとしていることをまったく理解しないまま、その作品を論じようとする、全くの素人となんら変わりありません。この心情を理解でき無いまま朝鮮の今後を理解できるわけがありません。実際にはその味を経験したことの無いものが、これこれの調味料を使えばこういった味になると論じているのとまったく同じです。


そうした例を日本の「専門家」諸氏によく見られます。それがどのような弊害をもたらすかは韓国の現状が良く見せてくれます。いま韓国では考えられないことが起きています。いわゆる「弔問波動」なるものがそれです。弔問を巡って国論が真っ二つに割れているのです。


多くの民主勢力が弔問を希望しているにもかかわらず、政府は故金大中前大統領の夫人と現代グループの故チョン・モンジュン会長の遺族らの弔問だけを許し,他一切の弔問を許しません。さらに韓国内に弔意所を設けることは国家保安法違反だとしています。


そして北側が韓国政府のこうした措置を非難し、全ての弔問客を受け入れるとしたことを韓国社会の国論を分裂させる謀略だと決め付け、「原則を歪める」、「南南葛藤を誘発させる」と逆に北を非難するという、まったく理解しがたい言動を繰り返しています。司会仮に韓国で世論が割れたと言ってもそれは政府の対北政策の矛盾が生み出したものであって、北側が意図的に作り上げられるようなものではありません。韓国政府の言っていることは身から出たさびの原因絵尾北側に負わせようとする卑怯な態度です。


ところで現政権の言動は過去に金日成主席が逝去されたときに当時の金泳三大統領が取ったときと同じものです。当時金泳三大統領は非常戒厳令を敷き、主席の逝去を利用し朝鮮を追い詰めようとしました。しかしそれは無残に失敗し、現在も朝鮮の人々から人非人と憎しみを持ってゲス扱いされています。



むろん弔意を表明するかどうかはそれぞれ個人の判断であり、それをどのような方法でするかも人それぞれです。それを国家、政府がどうしろというものではないはずです。


朝鮮は弔意を表しに来るのであれば、いかなる者でも受け入れると表明しています。しかし他方で祖国平和統一委員会は25日の朝鮮中央通信記者のインタビューに答えて「韓国当局の今回の弔意訪問の道を塞ごうとする者についてはそれがいかなる者であっても「わが最高尊厳を厳重に冒涜する特大犯罪者として烙印し、末永く許さないだろう」とし、「韓国当局は今回の弔意妨害策動が北南関係に想像を絶する破局的後漢をもたらすことになると言うことを心に刻むべきだ」、「韓国当局の道徳的限界だけでは無く北南関係改善に対する真正性を最終的に検討することになる」と警告しています。


朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」は22日付けで「南朝鮮当局の態度を見守るであろう」という論評を通じて「いまや南朝鮮当局がどのような態度を見せるのかによって北南間系が解きほぐれることもあり、完全に終わることもある」と強く警告しています。

10.4と6.15の北南共同宣言を発表し、祖国統一の前途に明るい灯火を照らした一大民族的偉業を成したと言う点から見ても、金国防委員長の死を悼むのは当然のことであり、弔意を表明し弔問に訪れたいとするのは民族的感情からも、また先祖伝来の美風良俗、人倫道徳的見地からしても当然です。


従って同論説は、一七年前の「文民政権」(金泳三政権)の教訓を忘れてはならないとしながら、「同族としての初歩的な礼儀と人倫道徳もわきまえない輩に対してはしっかりと計算するであろうし,高い対価を支払わせる」と強く警告しているのです。


ここまで書いて日本政府の態度を黙認するわけには行きません。日本政府は在日の朝鮮公民(朝鮮籍の在日コリアン)の弔意団であっても朝鮮の最高人民会議の海外代表議員として選出された人物の再入国は許さないとの立場を取りました。明らかな敵対措置です。これも理解しかねないことで、抗議せざるを得ません。


なんと破廉恥な、恥知らずな措置でしょう。在日朝鮮公民の強い反発があっても感知せずということでしょうが、この措置を知って養老猛司氏の「バカの壁」という著作が思い浮かびました。


日本政府がバカの壁を乗り越えられずにのうのうとしているあほな姿が思い浮かんだ次第です。朝鮮は国防委員長の逝去に各国がどのように対処するかを見極めていることでしょう。中国はそれを感じているからこそ周辺各国に朝鮮を刺激するようなことは控えるようにと釘を刺しているのではないでしょうか。


だとすれば日本や韓国の態度は中国をして一層いらいらさせ、不愉快にさせることでしょう。アメリカやロシアはそれを察知しているようですが、日本と韓国は相変わらずの三流外交の癖を抜け切れていないようです。もはやアメリカの意図さえも直接言われなければ察知できないようです。朝鮮のことを知らないでいることからくる底抜けの外交音痴です。

案じていたように、金正日国防委員長の逝去と関連して、日本のマスメディアがその腐った本性を露骨に現しています。TV局はどこも倒産寸前なので、なりふりなどかまってはいられないと言うことでしょうか。TVと運命共同体にある新聞も、必死で脇目もせずに金儲けに一心不乱です。そうしたマスメディアの姿を良く見せてくれる報道をご紹介します。


毎日新聞(ネット版。23日)は次のように報道しています。
朝鮮労働党指導部に近い関係者は23日、毎日新聞に対し「17日午前1時に平壌郊外の別荘で発見された」と証言した。関係者は「将軍様(金総書記)は別荘で水を1杯飲んだ後、寝室で横になってそのままお亡くなりになった」と明らかにした。日韓などの情報当局者も「列車内ではなく、死亡時刻も公表されたものより早い」との見方で一致しており、北朝鮮当局が発表した「17日午前8時半」「列車内で死亡」を否定する情報が流出している。(yahooニューストップ記事)テレビ朝日も似たような報道をしていました。


この奇々怪々なニュースをそのまま捨てようと思いましたが、ヤフーのトップ記事になっていましたので読んだ方も多いだろうし、記事の内容自体がねつ造されたものであると思われるので良い事例になると思われ扱うことにしました。


ここでいっている「朝鮮労働党指導部に近い関係者」とは誰のことなんでしょう。そこで例のごとく韓国の主要紙(ネット版ですが)やプレシアンなどのネット新聞をいちいち調べたのですが、出所が明らかになりました。出処は韓国の右翼反北政党の自由先進党(過去の大統領候補イ・フェチャンが率いる泡沫政党です。)やとても高級情報を入手できるとは思えない、いわばごろつき議員らのくだらない反吐が出そうな発言を真に受けたものでした。自由先進党の議員とはパク・ソンヨンです。彼女はこう言っています。


「金委員長は夜行性で明け方の2~4時にベッドにはいるので、その時間に列車に乗るわけがない」「朝八~九時に起きすぐにマッサージを受けなくては日常生活が出来ない。そのような人が午前に列車で息を引き取ったというのは一〇〇%虚構だ」


毎日新聞が引用した情報も似たようなところから出たものでした。糞味噌の類いの情報です。
いや情報と言ってはあまりにも低級すぎるでしょう。もはやでっち上げに近いただの思い込みを口走っているだけです。ハンナラ党のキム・ドンソン議員は「金委員長は16日よる八時に平壌の官邸でなくなった」と時間まで決めつけています。9月14日に韓国全土を襲った停電を「サイバーテロ」だと言い笑いものとなった未来希望連帯(旧親朴派)のソン・ヨンソン議員(彼女は9月14日のブログで写真を載せ管理人が『年老いたオオカミ少女』と名付けた女性です)も,同じようなことを言っています。彼らはアメリカや韓国の諜報機関よりも数段優れた諜報機関を持っていると自負したいようです。


しかし残念ながらこれらの情報は脱北者や「中国側の情報員」から得た情報だと言っています。こうなるといよいよ話が怪しくなってきます。どうせこうした発言は韓国ネチズンらの嘲笑の対象になることでしょう。


なぜなら韓国の中央日報(ネット版24日01:10)によると韓国政府は「朝中の国境地帯から伝えられる風聞は確認が難しい。忙しい外交安保長官らを呼びつけ消耗的な追及をするのは問題だ」と、こうしたルーマーを軽く一蹴しています。また統一部のユ長官は「北側の発表を覆すだけの証拠はない」とはっきりと断言しているからです。


つまり毎日新聞の記事は、思い込みのでっち上げ話を「朝鮮労働党指導部に近い関係者」という正体不明の誰か(実在するのかどうかも判りません)を出して「情報」に信憑性を持たせた上で、糞味噌の区別も付かない、韓国国会で発言した反朝鮮勢力の確信犯らの発言を使ってでっち上げたものだという疑いを持たないわけにはいきません。


仮にそうした意図がなかったとしても朝鮮に敵意を抱くものか,これを金儲けのチャンスと見た不純な輩らが意図的に流したルーマーを真に受けて確認もせずにそのまま流した、じつに記者としての対面もメンツも捨てた三文分子のでっち上げたデマ記事だったというわけです。


こうした日本の報道はそのまま「某新聞(あるいは某TV報道)によれば」と韓国紙にフィードバックされ、こうして日韓のマスコミの間でキャッチボールが行われる間にそれ自身が情報の「根拠」と化して行くのでしょう。これまでも何度もあった事柄です(すでに朝鮮日報日本語版がそうした報道をしています。またTV朝日はその材料を提供しています。)。


それはまさに一七年前の金主席逝去の時を彷彿とさせます。つまり日本のジャーナリズムはまったく変わっていないと言うことです。そして国民はこうした腐ったジャーナリストらの腐った文書で頭を腐らしていくのでしょう。気がついたときにはまさに国全体が廃人のように朽ち果てているのではないでしょうか。