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朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

韓国の報道によればKBS社のPDらに続き記者らも番組の製作拒否に突入する事になりました。KBS記者らが製作拒否に突入するのは、去る2009年1月の社員行動以後、3年ぶりのことでMB政権になってからは2度目です。ところがその規模をみると過去とは様相が幾分違っています。


17日、KBS記者協会は15,16両日の製作拒否を巡る投票の結果、製作職員541人中365人が投票に参加し、賛成263,反対97,無効4で製作拒否に入ることが確定したわけです。製作拒否賛成投票率が72.3%に達し(反対26.6%)、たのは今回が初めてです。


これによりKBSは17日午後6時から非常対策委員会を開き、具体的な製作拒否突入の手続きと実施時期などを決める予定だと言います。


またKBSではすでにPD協会が12日の総会で不当懲戒撤回を要求して製作拒否を決議し、実際の行動に突入しています。記者らの製作拒否はMB政権に入って二度目です。


MBCに続くKBSの製作拒否闘争に入ったことから、空中波ニュースの主要放送時間帯である9時に両社の看板ニュース番組の放送が跛行状態のまま運営される史上初めての事態が発生する可能性が極めて濃くなりました。

とくにKBSが総ストライキを目前にしていることからKBSとMBC労組が共同で総ストライキ戦線を構築する可能性さえも生まれています。


管理人はこれについて MBC記者らがストに突入した事を知らせた10日の記事で次のように伝えました。「こうしたMBC労組の全面スト突入に対し、KBS,YTNも同調する動きを見せています。各社の労組は「公営放送の復元」のために共同対策委員会を構成し、不当に解雇された記者らの復職などを実現するために共同で闘争することにしました。


全国言論労組KBS本部、MBC本部、YTN支部も組合員らは7日午前11時にMBC本社一階ロビーで「公正放送復元、落下傘社長の退陣、不当に解雇された記者らの復職などのための共同闘争委員会」の出奔を宣布し、今後の闘争方針などについて明らかにしています。」


そしてTVメディアのストの背景について次のように指摘しました。「もちろん落下傘社長の就任による言論掌握政策は早くから反対運動に悩まされ続けてきました。YTNはさる2008年反対闘争を通じて6人の解雇者を含め、33人が重軽懲罰を受けるなどの犠牲を払いながら、敗北を喫したことがあります。MBCもこれまでに39日間のストを行いましたが、労組委員長が解雇される苦汁をなめました。むろんKBSもこの間、公正放送を勝ち取るためにストなどを行ってきましたが、成果を得ることが出来ませんでした。しかし現在の状況はこうした敗北を克服し打って出ることを要求しているという判断が今回のMBCのストの背景にあります。


まず、解雇された記者らが言論労組の事務所で「ニュース打破」というネット番組を製作してMBの言論掌握に正面から挑んでいます。次にMB政権は最早沈みかけており、かつてのような強硬策をとれる状況ではありません。また朝鮮側はMBの言論掌握策動によって最早言論としての使命も何も投げ捨てた韓国の言論に手厳しい警告を与えています。


このままでは仮に韓国の言論人が北側取材を許されたとしても、チェ・シジュンの掌で踊る言論社は北のお呼びではなくなるでしょう。韓国国民ももはや言論に対する信頼を失っており(市民の関心はマスマス民主言論を地で行っているネット新聞や、新たに始まるネット放送局「真実の力」など、既存の言論媒体よりも民主・市民勢力の言論媒体に向かっています。)まさに既存言論が身を置く場を失っている状態です。こうした危機的状態こそが言論人を覚醒させたのでしょう。」


そしてこうも指摘しています。「このまま事態が推移し、闘争が拡大していけば、過去の東亜言論闘争の時のように、政権と言論が真正面から対決する大規模な闘いに拡大することも考えられます。」


こうした憂慮がまさに現実化したのだと言っても良いと思われます。全国言論労組KBS本部は社長の退陣と不当懲戒撤回、懲戒人事の無効などを要求する総ストライキ突入を巡って賛成・反対の投票を17日から23日にかけて予定しており、今のところこうしたTV言論闘争がどこまで拡大するのか判断できないというのが現状です。


再び強調することになりますが、今回のKBSのストはMBCと同様にMB政権の言論掌握の企みに正面からノーをたたきつけたもので、韓国TVメディアの良心の噴出だと言うことが出来ます。権力によって押しつけられた『落下傘社長』を通じた言論掌握策謀に挑戦し、その策謀の犠牲となった前社長やPD,記者らの解雇や懲戒人事の撤回を正面に掲げているのも、本質的にはMBの言論掌握の野望をたたきつぶすための闘いである事を物語っていると言えるでしょう。自らの偏向報道を何ら顧みようとしない日本のTVメディアも韓国に見習ってもらいたいものです。


ホン研究員のコラムはいよいよ確信に及びます。前回までは駐韓表題を抜いてきましたが、今回は中間表題を載せることにしました


『微風』でも『狂風』でもない


「実行力を持った『上からの改革』に対する日本社会の経験は両面的である。明治維新の道と軍国主義の道がある。現在流行している『平成維新』、『大阪維新の会』と言った名称を見ても、日本社会は大体にして明治維新の成功を追憶する。石原知事や橋本市長が『船中八策』を論じるのもやはり同じ脈絡であろう。


しかし変化の『狂風』がどれほどむごい結果を生むかを経験した日本である事から、政治的均衡と社会的安定への希求は我々の予想を超えている。橋本の発言と歩みだけをもってファシズムの到来を語ることは難しい。このように誰もがこの『変化の風』がどれほど強くどれ程続くのか分からない。

この台風が襲った場所がきれいに片付いているのか、あるいはまた別の堆積物で埋められるのかもわからない。沈没を免れるためには変化が必要だ。変化のためには幾十にも積み重ねられた堆積物を掘り返す『歴史の開土』が必要だ。そのためには強烈な爆発が必要だ。変化の風が『微風』ではなく『台風』である事を望むのもそうした理由からである。そうしてこそ登城をひっくり返すことが出来るからだ。しかし『狂風』であってはならない。全てを打ち壊し、よりすさまじい堆積物だけを残すような風では困る。風は吹き始めた。誰もその風がどんな風かわかっていない。堆積社会日本の苦悩はより深まっていく。」


もっとも気に掛かるのはいまもってそうした「狂風」が吹いたとき、それを吹き飛ばすほどの「強風」が生まれそうもないことです。ただただ「狂風」に慌てふためき後追いの対処療法した取れないというのが正直なところ、いまの日本の現住所ではないでしょうか。スネ夫橋本の影響力が増大するのを富める効果的な方法論や運動が組織されず、勝っ手し放題の状態に手放しだというのが、正直なところ今の日本社会ではないでしょうか。


何よりもホン研究員が言うように日本社会は「変化」を求めており、「変化」しなければ「爆発」か「沈没」のどちらかだというのは管理人も同意することが出来ます。そのような状況の中で変化の風を起こす何らかの対策や方向を示したものは残念ながら「船中八策」しかないというのが正直なところでしょう。最も望ましいのは数世紀かけて堆積物が沈殿した日本という国を掘り返し、その堆積物を取り除き新たな空気を送りこの国を生き返らせる事の出来る方策、戦略を打ち出すことでしょう。しかしそれができないでいるという現状、そこにこそ危機の本質があると管理人は思うのですが、どうでしょうか。

韓国の学者が日本の現状をどのように評価しているかを良く見せてくれるコラムを書きました。ホン・イルピョハンギョレ経済研究所の研究員です。

管理人には日本のマス・メディアからはよく分からない、日本の現状をよく見ていると思われますのでご紹介することにしました。


彼は日本社会を「堆積社会」だと規定し次のように指摘します。「明治維新後、いやもしかしたらそれ以前から積もってきた歴史の沈殿物が一度も掘り返されたことのない社会であり、最も優先的に変化すべきものが返ってより深く沈殿し、時間が過ぎるほどにより深く、よりしっかりとたたき込まれている堆積社会」だというのです。


そしてこう続けます。「土が地力を回復し農業に適した土壌になるためには定期的に土を掘り返さなければならず、そうしなければ地力はだんだんと弱まり、作物の根が深く張ることが出来なくなる。」


ところが問題は堆積物だけではなく、津波と地震、それに原発事故の3重に重なった東日本災害が生んだがれきとゴミの処理問題まで重なっています。それは実に300万トン近くになりますが、迅速な大量焼却、埋設だけで解決できるものではなく、その一部は太平洋を浮遊し、アメリカ西部地域にまで放射能汚染の危険を高めています。


コラムは続けて指摘します。「『変化』と『解決法』が何時よりも切実であるが、誰もそれを主導することができないでいる。『政治主導』を掲げ華麗に始まった民主党政権は福島原電事故の処理過程で『リーダーシップ・メルトダウン』を起こした。未曾有の危機状況の中で官僚もまた、慌てふためき無能さをさらけ出した。嘘が繰り返され、官僚の自信と官僚に対する信頼感は急速に失っていった。経済産業省の現職官僚でありながら、官僚改革の必要性を主張してきた古賀重明は今の現実を『日本中枢の崩壊』と表現した。


『フクシマ』は日本の言論に対する非難さえ高めた。東電の莫大な広告費の前に朝日新聞までが膝を屈したという批判が続く。表皮的な変化では日本の『没落』を防げないという憂慮は大きいが、日本を押しつぶそうとしている堆積物が増える一方で、これをどのように解決するかは誰も答えを出せないでいる。どうしようもない『フクシマ』のゴミのように堆積社会日本の苦悩は深まるばかりだ。


その一方で東京周辺で大地震が発生する可能性が高いという東大地震研究所の研究結果が公表された。日本『沈没』と『大爆発』に対する不安は、火山や地震のような自然災害だけではなく政治、経済、社会についても同じようにふくらんでいる。『失った20年』といわれる経済の持続的不況に加え、数十年ぶりの貿易赤字、主要電子企業のとんでもない営業赤字、1000兆円を越える財政赤字に関するニュースが連日報道されている。『格差社会』に集約される深刻な両極化、これ以上希望に燃えた未来を夢見ることが出来ない若い世代の問題は、景気回復を妨げるもう一つの原因でもある。『増税』以外に他の代案を打ち出せない民主党に対する失望が、かといって自民党に対する期待に繋がるのかよく見えない。


もちろん日本市民が心配しているだけではない。いっしょになって変化を叫び、代案を模索している。『フクシマ』以来『反原発』与論が過去に比べ高まっているのは明らかだ。昨年9月、大江健三郎らが主導した原発反対東京集会に主催者発表6万人が集結し、今年2月11にも1万人を超える市民が集会に参加した。原発賛成・反対を問う住民投票条例制定要求運動に30万人を越える東京都民が参加するなど『下から』の変化を要求する声は強い。しかし6万人を越えた原発反対は与論にまともに報道されなかったし、韓国での『ろうそくデモ』のように何ヶ月も持続しなかった。依然として少数の運動、孤立した与論だという評価が下されている。『反原発』と『脱核』運動が日本の沈没を防ぎ、『日本丸』を進める強い風になるのは難しいように思える。」


「ところでこれとは別の風が日本の東からではなく西の大阪から吹き始めている。それは『微風』ではなく『台風』であり、期待と憂慮が交差する様相を帯びている。」として、話は橋ズムをどう見るかについて及んでいます。彼はこう続けます。

「橋本徹は日本社会の最下層集団とされる部落民出身でやくざの父親を持つ。弁護士になった後各種TV放送プログラムを通じて全国的知名度と人気を背景に最年少大阪府知事になった。彼は慢性的な財政赤字の大阪府を2年で黒字に変え、その過程で公務員と地方自治団体の補助金を受けていた福祉団体を『既得権勢力』、予算浪費の温床だとにつるし上げた。日本の変化のためには『独裁』が必要だと発言するのもためらわない。学校で君が代を大きな声で歌うように命令した。

道州制を導入し、地方分権を現実化すると公言し、大坂市長選挙では60%を越える票を獲得した。彼が率いる大阪維新の会は地域政党を超え、全国的政治構図に影響を与える事が予想される。石原慎太郎東京都知事は保守新党の旗揚げを準備し橋本に手をさしのべている。橋本の出自と既得権全体に対する攻撃、予測不可能を理由に支持をためらっている東京の保守勢力も大阪から吹いてくる風に便乗しようとする雰囲気が確認できる。」


「しかし橋本の歩みと威力を『橋ズム(橋本+ファシズム)』と呼び、極めて危険だとみる与論も小さくはない。中京大学のナ・イルギョン教授は『橋ズム』について次のように語っている。『今大阪の町を奇怪な姿をした妖怪が人間の仮面を付けて煩く走り回っている。その名は橋ズムだ。彼は完全に行き詰まった社会経済的状況に疲れ果てた、市民の不平と不満をエネルギーに変え、仮想の敵を作り出しては徹底して攻撃し、メディアに登場しては格好を付け英雄気取りしている』」


ホン研究員は「『堆積社会』日本でこのような現象がなぜ現れることが出来たのか?」と問い直し、次のように続けています。


「朝比奈一郎青山社中代表は次のような理由から橋本を支持している。『いまそのままでいると日本は沈没する。何もせずに黙って沈むのよりも何かをして変化を引き出さねばならない。橋本は日本の社会の枠組みを変えようとしている。たとえ危険な面があるだろうが何も替わらないことの方がもっと危険だ.』


日本の市民団体の活動家の中には『日本の変化のために青春を捧げたのに、いつの間にか私と私の同僚達が『既得権勢力』だと追い詰められている』と虚脱感を覚えている者もいる。『橋下徹は石原慎太郎と小泉一郎を会わせた程に危険だ』と心配する人々もいる。しかし『日本の左派や民主党に変化のリーダーシップを期待するのは難しい。変化が切実であるので彼に期待して見る』と言う市民団体の活動家もいる。
(つづく)