朝米高位級会談合意後の動きがなかなか伝わってきませんが,これについて書こうと思います。朝米高位級会談第3次会談(北京)が開かれていた先月24日、韓国の統一部代弁人は定例ブリーフィングで突然、「韓米間朝鮮半島政策に対する韓米協調の結果」だと朝米高位級会談の結果について発言しました。
はたして何の話かと思っているときに同会談に対する朝米代表らの記者会見が行われ、25日には米のグリーン・デービス対北政策特別代表が訪韓し、「キム・ギェグワン副相との対話の中で南北関係の改善なしに北米関係の根本的で完全な改善は不可能だという点を伝えた」と発言しています。統一部代弁人が言いたかったことはこれでした。
ところが実際の朝米の動きはまったく違う姿を見せています。実際、2.29合意以後、ニューヨークと北京で連鎖的接触が行われ南北間の接触の動きはまったく見られなかったというのが現実です。3月7日から9日までニューヨークでアメリカのシラキウス行政大学院とドイツフリードリッヒ・エバート財団が主催した「東北アジアの平和と安保構築」をテーマにしたセミナーが開かれましたが、参加した朝鮮のリ・ヨンホ副相(6者会談代表)は、この大学の学長であるジェームズ・スタインバーグ前米国務省副長官を始めヘンリー・キッシンジャー前国務長官、ジョン・ケリー米上院外交委委員長ら米国の高位級人士らと立て続けに接触を持ちました。李副相は米国の関係者らとの接触で、「先北・米関係解決後北核解決」を強調したようです。
韓国も6者会談首席代表のイム・ソンナム韓半島交渉本部長を送りましたが、リ・ヨンホ副相との会談はもたれませんでした。韓国当局としては7日、つまりセミナー前にイムを使って「機会があれば南北間でも最近の状況に対して意見を交換することもありうる」として、北側との接触を通じて、朝米会談の間に韓国当局が介入しているとの印象を与えたかったようですが、イムと接触する予定はあるのかという記者らの質問に対して李副相は「無い」とすっぱりと切り捨てたようです。北側は政府当局者ではない韓国の学者らとの談話には積極的だったようですが、韓国当局者らとは写真を撮るのも嫌がったと言われています。
北側のリ・ヨンホ副相は10日、米外交政策全国委員会(NCAFP)が主宰する懇談会にも参加したようです。その後ワシントンDCに移動しグリン・デービス米国務省対北特別代表と会談しています。
北・米間の対話がスピード・アップしているようです。セミナーに参加した韓国の統合民主党のソン・ハッキュ前民主党代表は10日、記者らに向かって「北と米国の関係が思ったよりも早く改善されるだろうという印象を受けた」と発言したし、セミナーで特別講演をしたジョン・ケリー上院外交委員長はリ・ヨンホ副相が最近妥結した北・米合意を遵守する事を確認したと言います。ソン・ハッキュ前代表は「ケリー委員長が遠からず北を訪問することもありうる」と感想を述べています。
2.29合意の後続措置に関する協議も成功裏に終わり、7、8日の北・米接触後ロバート・キン国務省対北人権特使は「極めて生産的で肯定的な対話だった」「今回の協議はとても満足だ」と感想を述べ、北側代表のアン・ミョンフン米国局副局長は「全ての実務的問題で合意した」と語っています。
こうした一連の動きは朝米関係が速い速度で絡まった糸をほぐす糸口を探しつつあることを示していますが、これは韓国の2MB政権がもっとも警戒していた問題、つまり北側が「米国と通じ韓国を封じる」いわゆる「通米封南」が現実に作動しているとの思いを強く与えているようです。最近の韓国当局の対北政策の混乱を見ればよく分かりますが(朝米関係改善に向かおうとする米国の足を引っ張り、『脱北者』問題で中国を必要以上に刺激したり、朝鮮の最高尊厳を冒涜し不必要に北を怒らせ軍事的緊張状態を醸し出したり)、正常な思考では考えられないことを無秩序に行うなど、まさに困惑している、あるいは追い詰められた者が眼に付いたものをなんの打算も無しに手当たり次第に投げつけているようだと言うのが本当のところのようです。
ヒラリー・クリントン国務長官との外交長官会談を終えたキム・ソンファン韓国外交通商部長官は9日、記者達に「南北関係の改善無しに北・米関係の根本的進展はないだろうとアメリカ側が言っている」との米国のリップ・サービスに思いっきり乗っかったり、「言論が『通米封南』という過去の表現を使っているが、その用語に同意することは出来ない」とわざわざ強調しているところにも2MB政権の焦りがありありとうかがえます。総選挙を目前にして不安ばかりが大きくなる一方の状況がそれに重なり、もはや正常な思考力を保てない状況のようです。


