朝鮮の衛星発射で進退窮まるアメリカ、出る幕の無い日本 | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

朝鮮が27日、「光明星3号」発射を決して放棄しないと改めて明らかにしました。朝鮮外務省代弁人が中央通信記者とのインタビューであきらかにしたものです。外務省代弁人はこのインタビューでの回答で、次のように明快に答えています。「われわれは主権国家の合法的権利であり、経済発展の必須の要求でもある平和的な衛星発射を絶対に放棄しない」と明かしました。


また2.29朝米高位級会談の合意(「2.29合意」)に至る過程で朝鮮が事前にアメリカに通告していたことや、2.29合意の文言が「長距離ミサイル発射の臨時中止」という文言を採用した経緯などについても,次のように明らかにしています。「われわれは朝米高位級会談などで平和的な衛星発射が長距離ミサイル発射臨時中止に含まれないと言うことを終始一貫して主張したその結果2.29朝米合意が『長距離ミサイル発射』」とか『弾道ミサイル技術を利用した発射』ではなく、『長距離ミサイル発射の臨時中止』と明記された」というのです。


これと関連してアメリカが朝鮮から昨年12月に衛星発射について通報を受けており、先月の朝米会談でも再度明らかにしたと言います。つまりアメリカが事前に知っていたと言うことが事実であったわけです。


またこれに対してアメリカは発射した場合、UN安保理決議案に違反すると主張しましたが、朝鮮の反対に遭い2.29合意には「弾道ミサイル技術を利用した発射」を禁じるという内容が含まれなかったというわけです。外務省代弁人はこうした裏話を明らかにした上で、オバマ大統領に向けて「米最高当局者がわれわれの計画している平和的な科学技術のための衛星発射を「国際平和と安全を脅かす挑発」として難癖を付けている」とし、「アメリカが我々に対する敵対的意志がないとは言うが,頑固な対決観念から抜け切れないでいるために平和的な衛星の発射も長距離ミサイルの発射にしか見えないのである」と指摘しています。


そのそも宇宙法(宇宙条約)はあらゆる国の宇宙開発、利用、つまり衛星発射の権利がある事を認めています。安保理決議はその下位概念で宇宙条約を否定することは出来ません。つまり安保理決議1874号違反だというアメリカの言辞は宇宙条約に違反しているというほかありません。従ってアメリカの言い分は理屈に合わない手前勝手な言い分であり、傲慢無礼な言い分でしかありません。それを受け入れなければならないなんの理由もないわけです。


ところがアメリカは、朝鮮の衛星発射が不当であるかのように世論を誘導し(日本はいとも簡単に乗ったわけですが)朝鮮を非難しているのです。しかもこの問題と関連してオバマ大統領は、26日韓国外国語大学での特別講演で、「アメリカは朝鮮に対しいかなる敵対的意図も持ってはいない」としながら、「朝鮮の挑発と核兵器の追及は平和を阻害している。朝鮮はこれ以上挑発に対する補償はないことをしるべきである」と述べています。朝鮮の堂々とした追及に比べ、オバマ大統領の特別講演は言い逃れに終始していたことがわかります。


事実、朝鮮外務省代弁人は「アメリカ国家航空宇宙局にも専門家を送るように招待しており,彼らが直接来てわれわれの衛星発射の平和的性格を自分の目で直接確認することが出来るであろう」としながら、「アメリカがわれわれの衛星発射について二重基準を適用するかどうかによって、アメリカ最高当局者の(敵対的意志はないという)発言が真実なのか偽善であるのかを判別することになるだろう」と明かしています。

オバマ大統領は朝鮮が衛星を発射した場合には「新たな制裁を加える」と脅しにかかっていますが、朝鮮がそんな脅しに屈するような国ではないことは経験がよく教えてくれています。アメリカも心配であるのなら,若しくは「今ひとつ信じられない」のであれば直接確かめるのが一番良いでしょう。


そこでアメリカの取る道を考えれば、①招待に応じ専門家を派遣し一部始終を確認する②招待は受けるが専門家は派遣しない③招待そのものを拒否する④招待も何も発射と同時に直ちに「制裁」措置を取るのいずれかでしょう。


①はアメリカが朝鮮政策全般の変更に迫られるのは必至です。朝鮮の言い分が正しかったことが分かった以上、これまでの朝鮮政策の失敗を認め、敵対政策を放棄することを迫られるのは間違いありません。②はアメリカの腰抜け状態を自らさらすことに繋がります。③は「朝鮮を敵視していない」という言葉が全くの嘘、偽善であったことを吐露したことになります。④は最悪です。①から③までの全てを含んだまま最悪の困難な局面に直面することになります。朝鮮は間違いなく新型核爆弾の実験に突入し、核弾頭を積んだ長距離弾道弾ミサイルが姿を見せる事になるでしょう。


選択の余地はなさそうです。仕方がありません。専門家を派遣するのが一番良いでしょう。それしか道はありません。もちろん2.29合意を大切にすればの話です。墓穴を掘ったわけですからそれしかありません。それとも2.29合意を投げ捨てるのでしょうか。そうしたら6者会談は永遠に再開できなくなりますので、中国もロシアも黙ってはいないでしょう。まさしく進退窮まった感じがしないでもありません。


さて、アメリカの尻馬に乗った日本はどうするのでしょうか。まず招待されるのかどうかも怪しいと見た方が良いでしょう。どうせ招待したところでアメリカと違ったことを言うわけもなく、アメリカの言い分をオウム返しするだけなのですから、朝鮮としても招待する必要性を感じてはいないのではないでしょうか。衛星発射問題と関連した日本の言動は朝鮮政府の頭を逆撫でしているので余計にそう思われます。朝鮮は慌てふためき、焦りまくる日本の姿を上から目線で眺めていれば良いだけです。

李明博政権はアメリカの手下ですので、主人が来ればそれでよろしいと朝鮮も思っているでしょう。衛星発射を見物する資格も権利もありません。よほど面の皮が厚く鉄面皮でなければ,自分も招待しろとは言えないでしょう。これも自業自得です。


日本のマスメディアは招待されているのでしょうか。管理人もまだ調べてはいないので何とも言えませんが、恥という言葉を知らぬ鉄面皮な日本のTVメディアは,三歩歩けば忘れてしまう鶏のようにこれまでの言動など綺麗に忘れ、なんとしても発射に立ち会いたいと希望していることでしょう。管理人としてはフジ・産経系列と読売系列だけは行って欲しくないと思っています。経験はどうせ悪意と偏見に満ちた中傷しかしないと教えているからです。決して性格、公明正大な報道、客観的かつ公正な報道は望めないでしょう。どうせNHK当たりが招待されるだけではないでしょうか。