2MBとパク・クネの接近 背後に藁をもつかむ心境 | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

2MBとパク・クネの接近の裏側について続けて書くことにします。前回は裏に隠されている2MBとパク・クネの意図について簡単に見ましたが、そうした意図は現在のすべての事情を飲み込んだ大きな流れを形成しているようです。


第1に最近急激に高まっている北と南の武力衝突の危険な裏側を見る必要がありそうです。現在の軍事的危機が、朝鮮の最高尊厳に対する韓国軍の意図的な冒涜が最大の要因でもありますが、それだけではなく米韓合同軍事演習と関連してのキム・グァンジン国防長官の好戦的な発言、例えば「北は必ず挑発してくる」と決めつけては「挑発は応懲せねばならず,応懲は挑発よりも10倍の強度で行うべき」「応懲は挑発してきた部隊だけではなくその背後の指揮所にも加える」としながら軍部隊に対し,北への敵愾心を植える対敵教育を強化すべきだ」などといかにも戦争の危機がまじかに迫っているという印象を市民に振り撒いているのです。いわゆる「北風」です。


他方で済州島カンジョン村海軍基地建設問題で中国との領海問題を自ら持ち出すかと思えばいわゆる「脱北者」問題で中国に圧力を加え,国連の場で醜態を見せるなどわざと問題をこじらせ拡大しており、朝中を絡めて敵愾心を煽っています。形の違った「北風」です。


つまりまたも「北風」を起こし、それに便乗しようとしているわけです。この「北風」が最早まったく威力が失せた事は昨年の地方選挙やソウル市長選挙でも明らかになったところですが、他に妙案のない2MB政権としては藁をもつかむ心境なのでしょう。そしてこうした「北風」がうまく吹いてくれるようにするために守旧保守層が歩調を合わせる必要があり、そのためには仲間討ちを避け力を合わせる必要があります。


第2に昨年問題になったにもかかわらず、調査に手を抜きうやむやにした問題がまたも表面に姿を表し,2MBを窮地に陥れる可能性が出てきたことです。


まず大統領府である青瓦台が主導したと言われた民間人査察証拠隠滅問題があります。ここ数日の間、この「民間人査察」に青瓦台が深く関与していたと言うこと,それをむまするために「大統領の男」リ・ヨンチョル雇用安定秘書が金をばらまき、証拠隠滅を図ったことなどが明らかになっています。


また「4大江開発」が巨大な自然災害をもたらす危険のある事が明らかになりつつあり、この予算がいくらかかるか底知れない土木事業によって潤った財閥、企業と裏で係わった2MB政権の核心的政治家らの名前も浮き上がり始めています。民衆の注意がこれに引かれると2MB政権が完全に民心から外れ、総選挙での敗北は必至の様相です。北南間軍事的緊張の激化は市民の関心をそらすのに絶好の材料です。


第3に2MB政権としては民主統合党の統合当時の支持率の高さが、公認作業の過程で見せた党内不協和音のせいで何処かへ飛んでいき,支持率が下落しているのを、いっきに形勢逆転を図る最大のチャンスだとしてたたみかける必要があります。セヌリ党の結束を見せつけることによって内部不協和音にあえぐ統合民主党のイメージダウンを図るというわけです。


こうした理由が2MBとパク・クネの接近をもたらしたのでしょう。しかし、残り1ヶ月、この構図がはたして成り立つのでしょうか。「北風」はもはや役に立たない古びた刃です。「民間人査察」問題もほとんど暴露されたもおなじです。「4大河」工事はいたるところで不実工事の爪痕が姿を表しており、カンジョン村海軍基地建設は人々に「4.3蜂起」の記憶を蘇らせています。朝米高位級会談の結果とその後の朝米会談も急速に進展を見せており、そこには2MB政権の入り込む余地がありません。


キム・グァンジンがいかに「応懲」を騒ごうと、アメリカがその気にならない以上、ただのかけ声で終わる他ない運命です。そしてアメリカは軍事的対立ではなく、平和的外交交渉で朝鮮への接近を図っています。


結局取り残され,仲間外れにされた恐怖と切なさが二人の接近をうんだのでしょう。しかも2MBから近づいたことは、総選挙後の2MBとパク・クネの関係を予測させてくれます。具体的なことは書きませんが、総選挙を境に2MBとパク・クネの関係はセヌリ党が勝とうが負けようが、どのみちパクがリードする形を取ることになるでしょう。