ロシア調査団の分析結果 合同調査団の調査結果を否定 | 朝鮮問題深掘りすると?

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天安艦郡民合同調査団の調査結論を検討していたロシアの専門家チームが、韓国の合同調査団の結論を真っ向から否定する分析結果を出していた事がわかりました。


ロシア調査団の結論は27日付け「ハンギョレ」新聞が「韓国海軍天安艦沈没原因に対するロシア海軍専門家グループの検討結果」の内容が要約された文書を入手し、公開したものです。


それによるとロシア調査団は、事件発生の原因について「外部の非接触爆発によるものではあるが、魚雷ではなく機雷の爆発による可能性が高い」との結論を出したようです。つまり「北朝鮮の魚雷攻撃による沈没」だという合同調査団の結論を否定したというわけです。

http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/432222.html


ロシア調査団の結論とは、①韓国側が公式に発表した爆発時間は事故当日、艦艇内の電流が切れ、天安艦内部の閉鎖回路TV(CCTV)の最後の撮影となった時間と一致しない②天安艦乗員が海岸通信兵に携帯電話で乗員の負傷について伝えた時間が、韓国側が公式に伝えた時間と一致しない。「韓国側が爆発時間」としたその時間の前に救助の電話があったことになる③スクリューの損傷については、該当する惨事が起きる前に天安艦が海底に接触し、スクリューが損傷した。スクリューの光沢がでるまでひどく削られた④マジックインクで「1番」と書かれた表記については一般的な標準(位置、表記方法など)とは違う⑤提示された魚雷の残骸の錆は肉眼で見て6ヶ月以上水中にあったと見られる。⑤スクリューの右側の軸に魚網が絡み付いていることから魚網がスクリュー絡みついたと見られる。
そして結論としては「接触に寄らない外部の水中爆発であることは確認できる」が「魚雷ではなく機雷による水中爆発の可能性が高い」としています。


韓国軍は1979年に当時の朴正熙大統領の指示によって、アメリカ製の爆雷を改造した機雷136個をこの地域に撒いたのを、10年後に約10%を回収しただけで、残りの100余個は事故海域の周辺に流失したままだと明かしています。しかし30年たっても爆発せず、反応力も激減している道伝線(電気線を起爆剤として利用)旧式の機雷が、説明の出来ない電気的作用を引き起こし、今になって突然爆発する可能性はきわめて低いと言われています。しかも爆発にともなう現象が何一つ確認されたものがありません。したがって機雷爆破説は検証がまだ必要なようです。


ロシア調査団の分析は、結論的に言えば①「艦船が海岸と隣接した水深の浅い海域を航海しながら偶然に魚網がプロペラに絡みついた→②座礁→③座礁から逃れるため水深のより深い海域に脱出しようとしてプロペラを損傷→④そうしている内に機雷のアンテナと接触し起爆装置を作動させてしまった。


つまりプロペラに魚網が絡みついた上に座礁するという「一時災害」が起き、それから逃れようとして機雷を爆発させてしまった「2次災害」を受けたというのがロシア調査団の下した結論です。沈没原因を「複合的なもの」だと分析したわけです。


もちろんこの分析が100%正しいとはいえません。何しろロシア調査団が見せられた資料は極少なく、それさえもたくみに捏造に近くまで手を加えられたものがほとんどだからです。つまり100%信頼の置ける資料に基づいた分析の結果に得た結論だとはいえないということです。しかし、それでもロシア調査団の結論が意味を持つのは第3者による客観的な調査の結果であり、合同調査団の調査結果のでたらめさに比べればまだ信頼が置けるからに他なりません。


しかもスクリューの損傷についてのロシア調査団の分析は、韓国の民間専門家らが主張し合同調査団が自分の嘘がばれるや口を完全につぐんでいること、つまりスクリューの損傷は座礁から逃れるために生じたという主張と一致しており、その信憑性をいっそう高めています。魚雷の残骸のさびについてもやはり1~2ヶ月ではあれほどの錆は生じないという民間の専門家の主張と一致しています。


ロシア調査団の分析結果がこれまでに提起されてきた疑問に完全に答えるものではありませんが、それが多国籍調査団まで含んだ韓国の軍民合同調査団の調査結果に真っ向から「否」の回答を出したことは重大です。それがこの事件を口実に北朝鮮に新たな「制裁」を加えようとするアメリカ、米韓合同軍事演習を強行し朝鮮半島を一触即発の軍事的緊張激化状態へと追い込んでいる米韓日の無謀な行動の根拠そのものを否定し、その不当性を明らかにしていることは確かです。


結論は合同調査団の結論は信じるに値しない事がいっそう明白になっており、「天安艦」事件の真相はまだ闇の中であり、真相究明の必要があるということです。それは合同調査団の調査結果を「十分な説得力がある」とした日本政府や、大手マスメディアのいい加減さ、ばかさ加減を良く見せてくれます。


北朝鮮はそうした日本を罵っています。正直言ってわれわれも感情を害することもあるので控えようと思っていましたが、米韓合同演習にオブザーバーまで派遣したここに至っては、日本がどのように思われているのかを知る必要もあると思い次回に紹介しようと思っています。