「天安艦」ミステリー 調査が必要なのは合同調査団自身 | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

韓国記者協会、韓国PD連合会、全国言論労組など言論3団体が構成した「天安艦調査結果言論報道検証委員会(検証委員会)」が、検証委員会を対象にした合同調査団の29日の説明会に落第点を付けました。

検証委員会は2日、合同調査団の答弁に対する反駁」と題した資料を発表し、「合同調査団は調査の主体ではなく、調査の対象になるべきであり、国政調査を通じて合同調査団の調査過程、調査結果全般にわたる真相究明が成されねばならない」と明かしました。


さらに「われわれは去る40余日間の活動を通じて合同調査団の分析、間違い、事実歪曲、嘘で固められた『解明』などの相当部分を確認した」としながら、爆発地点の問題、スモーキング・ガンといわれた魚雷の残骸の問題(魚雷推進部に吸着した物質の解明、魚雷推進部の「1番」と書かれていた問題、魚雷のカタログおよび設計図の問題など)、バブルジェットによる水柱を見たという兵士の証言の真偽問題などに関する、29日の説明会の内容について項目ごとにといちいち反駁しています。


そしてその結果「調査される必要があるのは合同調査団自体だ」との結論を下したのです。つまり、合同調査団の調査結果はまったく信じることは出来ないということを明確に表明したわけです。


うえで紹介した問題以外にも合同調査団が捏造、もしくは意図的に著しく曲解したと思われる問題や、新たに化けの皮が剥がれた問題もあります。


たとえば事故発生の時刻に関すしてですが、統一ニュースが入手した海軍作戦司令部の「状況報告」では21:15ごろ白 島西方1.2海里(約2.2キロメートル)で、天安艦が原因未詳(爆発音感知)で浸水し、措置中の状況」と書かれています。この文書の上段には「合同指揮」と書かれています。合同参謀本部で使用する指揮・統制・通信および情報体系(C4I)を意味しています。つまり合同参謀本部を含む軍指揮ライン上ではこのような状況を把握していたことになります。


ところが軍民合同調査団の発表では発生時刻について一度公表したものを二転三転させたあげく、合同調査団は最終的に午後9時22分としました。事件発生時刻が遅らされたわけですから、その後の調査もそれにつじつまを合わせるようになって来ました。事故現場についても再度考える必要があるでしょう。


そうした問題のひとつとして「バブルジェットの水柱を見た」という2人の白翎島247哨所哨兵の発言問題があります。実は兵士らはバブルジェットを見たとは言っておらず、白色閃光を見たといっただけでした。これについては6月28日号でも書いていますので、参考にしてください。

http://ameblo.jp/khbong/entry-10575238390.html


ところで合同調査団はこの白色閃光を見たと言う発言を「顔に水滴が飛んできた」という天安艦上船兵士の発言を繋ぎ合わせ、「白色閃光」は水柱であったと曲解、捏造したわけですが、ここへ来て新たな事実が発覚しました。


実は民主党のチェ・ムンスン議員が報道資料を通じて暴露したことから、白翎島の哨兵らが見たという白色閃光は合同調査団が発表した事故発生地点とはまったく逆の方向だったことがはっきりしたのです。チェ議員は国防部から提出された白翎島の2人の哨兵の自筆陳述書を分析したのですが、それによるとA兵士は21時23分に落雷のような音と同時に白い光を目撃したが、その位置は方位角280°、4㎞地点と出ています。


また別のB兵士はトゥムジン突出部側2-3時方向で見た。先任者とともに雷と判断し、報告した。水柱は見ていない」と書いています。チェ議員はこれらの自筆陳述書に基づき白色閃光が見られた位置を調べたのですが、その結果兵士たちが見たという白色閃光は、合同調査団が事故の起きた位置とした地点とは遠く北方の位置であったということです。つまり兵士らから見て事故の現場とされた場所はより南方にあり、閃光はより北方で見られたというのです。


これを図で示すとこうなります。

*真ん中の兵士の絵が白翎島247哨所哨兵退いた位置で、そこから左斜め上に伸びている線の先が閃光が見られたという位置です。そして中央下の赤い印が天安艦沈没現場とされたところです。白い丸の部分がトゥムジン突出部です。これを見ても合同調査団の結論がまったくのでたらめであることがよく分かります。



つまり閃光と天安艦沈没は関係がなく、バブルジェットと閃光も関係ないということになります。合同調査団がこの閃光と「水滴を顔に浴びた」という乗船兵士の発言と結びつけてバブルジェット攻撃があったと結論付けた事がいかにでたらめであったかがはっきりしたということです。魚雷の残骸のことと言い、火薬の匂いはしなかったというほとんどの生存者の陳述と言い、やけどを負った兵士がいないことと言い、魚雷攻撃があったと考慮させる如何なる要素も発見できないでいるのです。


こうなってはやはり再調査が必要でしょう。北朝鮮はナンb区合同による再調査を要求していますが、アメリカは再調査の必要はないと頑なな態度を取り続けています。何故でしょうか。答えは言わずもがなでしょう。