「天安艦」事件の真相 「北の攻撃」の嘘-その8 | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

李明博政権とアメリカは「天安艦」事件の合同調査団が民軍共同で構成されており、さらにアメリカを始めスウェーデンやオーストラリア、などが参加している国際調査団だということをしきりに喧伝し、それを合同調査団の下した結果が正当性の根拠の一つとしています。


しかし合同調査団メンバーは韓国のネット新聞「民衆の声」がすっぱ抜いた軍民メンバーを除いてはメンバーが公表されたことはありません。韓国の軍民メンバーも隠したかったようですがすっぱ抜かれたので仕方なく認めたようです。


しかしこの軍民合同調査団の構成を見ると、実のところメンバーのほとんどは軍人で、24人の民間の専門家とは軍直属の研究機関員や軍が発注している船舶会社2社の専門家らです。つまり軍部の「家族」と言うことです。軍とまったく関係していない純粋な民間の専門家は僅かに4人に過ぎませんでした。しかもそのうち合同調査団の調査結果に反対の意を公然と表敬し続けた調査員は即刻排除されています。当ブログでも紹介したことのあるシン・サンチョル氏の場合がそれです。


では外国人調査員の場合は同でしょうか?
ブルッキングス研究所のパク・ソヌォン招聘研究員(元青瓦台統一安保戦略秘書官)が7日、ッ平和放送・ラジオ「開かれた世界・今日」に出演して次のように語っていることに注意を向ける必要があるでしょう。「海外から来た国際的な専門家らが参加したが、厳密に言ってタック席調査の結果ではない」「韓国政府の調査結果であり、国際専門家らはこれについて技術的諮問を行っただけであるので徹底して韓国の独自的調査結果だと評価されている」


パク研究員は19日に会ったアメリカの中間高位級管理の発言を借りて「韓国の合同調査団は多国籍調査団ではないと聞いた」と明かしたのです。彼によると「韓国、オーストラリア、スウェーデン、インドネシア、アメリカなどの専門家が来て韓国の軍民合同調査団の活動を技術的に支援したのであって、5カ国共同調査の結果ではないということだ」「今回の調査の責任徒調査過程の進行などに関するあらゆることは韓国の軍民合同調査団がしたのであり、責任と内容の全てに対する立証の負担も韓国が受け持つことになっている」と言うことです。


要するに国際とは名ばかりで実際には外国からの支援団は結果判断には参加できない構造になっているというのです。看板だけ借りたわけです。


民主党のチェ・ムンスン議員は「合同調査団に参加した国内調査員の一人と非公開で面談したが、その調査員は「事実上、軍があらゆることを主導した」「発表内容の相当部分は同意できない」「青マジックで書かれた一番という文字を決定的証拠だとしたことにアメリカ側の調査員も驚いていた」との発言を紹介しながら「非公開となっている専門家名簿を言論に公開し検証すべきだ」「アメリカの専門家だからといってすべて信じなければならにと言うことではない」と発言しています。


したがって調査結果の結論は韓国の軍民合同調査団によってだされることになりますが、その軍民調査団も実態は軍と「軍の家族」によって構成されているのですから、結局は軍の主張にひっぱられるほかありません。こうした事が起きることは当初から憂慮されていました。事件の真っ只中にいる当事者が調査を担当する、つまり自分で自分を調べるわけですからどう考えてもまともな調査が行われるはずがありません。調査過程での当局の発表が二転三転するのも分かります。


北朝鮮は韓国が天安艦沈没の原因を「北朝鮮の小型潜水艇による魚雷攻撃を受けたため」だとの結論を出した直後に国防委員会調査団を韓国に派遣すると申し入れましたが、韓国はこれを断固拒否しています。濡れ衣を着せられたものが無実を立証するために調査団を派遣すると言うのですから、当然受け入れるべきでした。


だが、これを頑なに拒否したばかりか、南北米中の4カ国合同調査団を構成しようと言う中国の提案さえも拒否しました。6者会談のことを思えば6者会談当事国による合同調査団も考えられたはずです。しかしこれも拒否しました。理由もはっきりとしません。国際合同調査団を構成するのならばこれほど権威があり、しっかりしたものはないはずなのにです。問題はこうした国際調査団では困るということにあったのでしょう。韓国の思うように運べない危険性があったからだと思わざるを得ません。


そしてこうした非難を避けるためにロシア独自の調査団を受け入れたのでしょうが、かといってロシアの調査団が自由に調査できたわけでもありません。


彼らは切断された天安艦の切断面さえじっくりと見る事ができず、沈没現場に行くことも許されず、彼らに許されたのは与えられた資料を検討するだけでした。しかしその限られた資料だけを見てもロシアの調査団は魚雷の件などいくつかの点ははっきりせず、どれも「北の仕業」だと決め付ける決定的なものではないとの結論を出したといいます。


インターファックス通信の8日付けはロシア海軍消息筋を引用して報潜水艦と魚雷専門家など4人で構成されたロシア専門家チームは韓国側が提示した証拠物と船体損傷程度などを検証したが"北側が関与したと断定するには証拠が弱いと判断した"と伝えています。

そしてロシアの調査団は、仮に韓国の主張通りであるのなら韓国の軍部はパプトン(飯桶=バカ)だとけなしているのです。それはありえないということの別の表現でもあるでしょう。


国際社会でも韓国の調査結果を支持する国は、現時点で22カ国と意外に少ない事も知っておく必要があるでしょう。なぜなら日本では国際社会がこぞって北の犯行だと決めてかかっているような印象を与えているからです。やはり日本の報道に頼っていると国際社会の本当の動きを知ることは出来ないようです。(つづく)