「李明博独裁政権退陣」をと、民主労働党主張 | 朝鮮問題深掘りすると?

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韓国の民主労働党は21日、第1回政策党大会の代議員大会で「李明博政権を退陣させて民生、民主、平和を必ず実現させる」と宣言、全ての運動を李明博退陣闘争へと収斂させていく方針を打ち出した。大会で決議された宣言では「「李明博独裁政権退陣」を謳っているが、政党はむろん民主労働党も現政権を「独裁政権」だと規定し、退陣要求を公式に打ち出したのは初めて。今後民主労働党は李政権退陣闘争に全力を傾けていくことになろう。


これに基づき同党は28日、釜山で野党4党と釜山地域の市民団体が共同で時局大会を開くことにしその準備に取り掛かった。また7月5日には大田で、11日にはソウルで大規模時局大会と汎国民大会を開催する予定だ。その後引き続いて市、群、区時局大会を行うなど「李明博政権退陣時局大会」を全国的規模に拡散していく計画だ。
これとは別に、24日に民主労総「社会連帯と希望のためのヨウィドコンサート」、25~26日に最低賃金争取国民賃金闘争の日1泊2日篭城、26日、に民主労総事務金融労組の幹部スト、27日に民主労総公共労組の上京闘争および龍山惨事追慕大会、29日に全国農民大会(ソウル)、30日に民主労総保健医療労組全面スト前夜祭、7月4日に民衆大会(ソウル予定)5日汎国民大会(大田予定)10日、ノ前大統領49日祭など汎李明博政権を掲げた大規模闘争が連日開催される予定だ。


一方、ソウル大學の教授らが時局宣言を発表してから4週目に入ったが、時局宣言が後を絶たない。18日には全国教職員労働組合や特定団体に所属していない教職関係者ら16171人が時局宣言を発表した。政府は公務員法などを立てに時局宣言に参加した教職員らを「懲戒」する方針だ。昨年6月米国産牛肉の輸入反対運動の際に8000人の教師らが時局宣言を出したときにはだんまりを決め付けていたのとは対照的である。去る3日に統合に合意した全国公務員労組、民主公務員労組、法院公務員労組ら3労組も時局宣言を準備中だ。


22日には圓佛経の教主200人が22日、時局宣言を発表し民主主義の回復、6.15.10.4宣言の履行を求めた。同日淑明女子大學の教授38人も時局宣言を発表し民主主義が窒息しているとし、李明博大統領の謝罪と全面的な国政刷新を要求した。同日、全国農民層連盟(全農)など農民団体と農業関連学界の人士ら2009人も時局宣言を発表している。時局宣言は「法院(裁判所)、検察、警察は80年代軍備独裁政権の時のように権力の侍女に成り下がり、…民主的権利まで奪っている」とし、一方的な国政運営、公安弾圧、民主主義毀損に対する謝罪と国政の刷新、言論、集会、表現の自由保障、6.15共同宣言、10.4宣言の履行、韓米FTA中断、企業農中心でない中小規模家族農中心の農業政策への方向転換、4大河整備(開発)事業の即時中断を訴えた。


相次ぐ時局宣言の発表は「時局宣言政局」という新語まで生んでいるが、民主労働党の新たな運動方針は、時局宣言に見られる各界各層の運動が重要な曲がり角に来ていることを予感させてくれる。それは運動が「李明博政権退陣」闘争へと収斂していく可能性である。これまで発表されてきた時局宣言に共通しているのは、民主主義を窒息状態にしてきた李明博政権の謝罪と政治刷新、6.15と10.4南北共同宣言の履行、言論、集会、表現の自由保障、国民との意思疎通の確保、検察の横暴是正などであり、李明博政権退陣要求は一部の時局宣言で表明されただけであった。


だが、民主労働党が掲げた「李明博独裁政権退陣」の要求は韓国国民の今後の民主回復、6.15,10.4宣言の履行、反公安弾圧(国家保安法適用)闘争を、新たな段階に引きあげるのに重要な作用を及ぼすものと考えられる。

つまり韓国国民のたたかいはまだ前半戦を過ぎようとしているだけであり、したがって李明博政権の弾圧もこれから本格化し、ファッショ悪法である国家保安法を振りかざした「公安統治」の様相を、いっそう帯びていくと予想されるのだ。李明博政権と韓国民衆の衝突は今後7、8月にかけていよいよ激化していくように思われる。そう、韓国国民の反李明博運動はまだ絶頂期を迎えておらず、始まったばかりなのである。