その時世界で何機の飛行機が飛んでいたのかはわからない。
磁気圏の破壊は人工衛星はおろか、周辺にあった多数の隕石と共に全てが墜落した。
海に面した土地はことごとく津波によって壊滅的な被害を生む。
地球規模の停電は、GPS頼りの交通網をストップさせ、世界各地にある原発もが制御不能に陥り、数時間で年間平均被爆量の1000倍の放射線が降り注ぎ、破壊されたオゾン層も相まって、ガン疾患が増大。
世界人工は1/5、日本では約80万人ほどしか生き残れなかった。
潤伍とハギもその1人だ。
なぜ自分が生き残れたのか…それは今でも分からないし、いきなり死ぬかもしれない。この時を生き残った人間全てがその思いを抱えていただろう。
江上利昭。当時新進気鋭の若手政治家がいつの間にか、比較的被害の少ない地域に街を構え、僅かな生き残りを束ねていた。
そんな場所は全国でおよそ6ヵ所。
およそというのは、7年経った今でも通信機能は麻痺し連絡手段は今のところ手紙しかないから。まるで江戸時代に戻ったようだ。
潤伍は、その江上議員の街で警備員をしている。
人工7568人の小さな街を守る警備員だ。何から守るのか?
秩序や統一を嫌う者はいつの時代も居る。反社会的なはみ出し者達は、盗賊のように食料や医薬品等の物資を狙っていて、缶詰めや保存食の絶えた昨今、年々被害が増え続けている。
彼は結成当初からのメンバーだ。
警備員は自衛隊や警察出身者が多く、潤伍のような学生は稀有な存在だった。
同僚の羽鳥昇太郎は防衛大学の2年生の時にあれに見舞われ、流れ流れてこの街に行き着いたという。
彼らのように街を守る者、物資調達、他の街との流通等、警備隊の仕事は多岐に渡る。
物騒な職業柄、なり手は少なく、荒くれが多い。
「しかしもったいないねぇ」
実り少ない土地で作った薄くて不味い地ビールを、もう一杯、と店員に人差し指を立てながら呟いた。
「何が?」
羽鳥は素っ頓狂な顔を作った。
「何がだって?エースって言っても過言じゃないお前が、安定した職と安全を捨ててポストマンになるんだぞ!これのどこがもったいなくないんだよ」
「エースなんかじゃない。だいたい何のエースだよ」
「そりゃ、そんな称号はないけどさ。攻めて善し守って善し、指揮して善しのお前だぞ。ま、俺には敵わないけどな」
ビールのおかわりを催促しながら、痩せた焼き鳥に噛みついた。
「何言ってんだ。俺1人居なくなったところで世の中何も変わらないんだよ。それに、言うほど安定な職でもないだろ?」
警備員は常に危険と隣り合わせだ。賊達も武器を持っている。言ってみれば傭兵に近い存在で、いつ負傷や死を迎えてもおかしくない。
また、オゾン層が多少でも機能しているとはいえ、昼間に外を出歩く彼らは皮膚がんの発生率が高かった。
もちろん放射能の汚染がどの程度広がっているのかなんて皆無で、警備員でなくても、誰しもが死の恐怖に犯されているのだ。
磁気圏の破壊は人工衛星はおろか、周辺にあった多数の隕石と共に全てが墜落した。
海に面した土地はことごとく津波によって壊滅的な被害を生む。
地球規模の停電は、GPS頼りの交通網をストップさせ、世界各地にある原発もが制御不能に陥り、数時間で年間平均被爆量の1000倍の放射線が降り注ぎ、破壊されたオゾン層も相まって、ガン疾患が増大。
世界人工は1/5、日本では約80万人ほどしか生き残れなかった。
潤伍とハギもその1人だ。
なぜ自分が生き残れたのか…それは今でも分からないし、いきなり死ぬかもしれない。この時を生き残った人間全てがその思いを抱えていただろう。
江上利昭。当時新進気鋭の若手政治家がいつの間にか、比較的被害の少ない地域に街を構え、僅かな生き残りを束ねていた。
そんな場所は全国でおよそ6ヵ所。
およそというのは、7年経った今でも通信機能は麻痺し連絡手段は今のところ手紙しかないから。まるで江戸時代に戻ったようだ。
潤伍は、その江上議員の街で警備員をしている。
人工7568人の小さな街を守る警備員だ。何から守るのか?
秩序や統一を嫌う者はいつの時代も居る。反社会的なはみ出し者達は、盗賊のように食料や医薬品等の物資を狙っていて、缶詰めや保存食の絶えた昨今、年々被害が増え続けている。
彼は結成当初からのメンバーだ。
警備員は自衛隊や警察出身者が多く、潤伍のような学生は稀有な存在だった。
同僚の羽鳥昇太郎は防衛大学の2年生の時にあれに見舞われ、流れ流れてこの街に行き着いたという。
彼らのように街を守る者、物資調達、他の街との流通等、警備隊の仕事は多岐に渡る。
物騒な職業柄、なり手は少なく、荒くれが多い。
「しかしもったいないねぇ」
実り少ない土地で作った薄くて不味い地ビールを、もう一杯、と店員に人差し指を立てながら呟いた。
「何が?」
羽鳥は素っ頓狂な顔を作った。
「何がだって?エースって言っても過言じゃないお前が、安定した職と安全を捨ててポストマンになるんだぞ!これのどこがもったいなくないんだよ」
「エースなんかじゃない。だいたい何のエースだよ」
「そりゃ、そんな称号はないけどさ。攻めて善し守って善し、指揮して善しのお前だぞ。ま、俺には敵わないけどな」
ビールのおかわりを催促しながら、痩せた焼き鳥に噛みついた。
「何言ってんだ。俺1人居なくなったところで世の中何も変わらないんだよ。それに、言うほど安定な職でもないだろ?」
警備員は常に危険と隣り合わせだ。賊達も武器を持っている。言ってみれば傭兵に近い存在で、いつ負傷や死を迎えてもおかしくない。
また、オゾン層が多少でも機能しているとはいえ、昼間に外を出歩く彼らは皮膚がんの発生率が高かった。
もちろん放射能の汚染がどの程度広がっているのかなんて皆無で、警備員でなくても、誰しもが死の恐怖に犯されているのだ。