熊谷へ向けて早急に必要だったのは、街の細かい地図だった。
通常ルートとは外れて移動するには必須だ。
ここまで荒らされる必要があるのか、と問いたくなるような書店で見つけた地図と暇潰しの本を数冊拝借し、ようやく探し物兼ポストマン生活のスタートだ。
「何だ、テメェは」
~早速か…。
「郵便屋だ」
荒れた街を巡るポストマンはやはり目立つらしい。半日もすると早々に賊に目を付けられる。
「んなこたぁ分かってる!何でポストマンがこんなどこに居るか聞いてんだよ!」
「探し物だ」
「俺らの探しモンは見つけたぞ」
2人の賊はいやらしい笑みを浮かべて前かごのハギを指差した。
「いい具合の肉付きだなぁ」
太っているのは否定できないが、彼は家族である。
潤伍は支給されたハンドガンを気だるい面持ちで構えた。
正直、雑魚に構っていられない。
「ハッ!今時そんなもんでビビる奴ぁいねぇよ!こっちは2人だぞ!」
2人が銃を構える前に彼は動き出した。1人の腕を後方に捻り上げて地に付け、もう1人が懐から手を出す前に顎先へ銃口を突きつける。2丁目のハンドガンを出し、膝を背中に押し付けられたて地でバタバタする男の後頭部に当てる。
「まだやるか?」
「わ、悪かったよ…」
「武甲の街へ入れ。猫なんか狙わなくても、仕事や食料がある」
無駄だと分かっていても、一応誘ってみる。2人は無言で立ち去った。
だいたいポストマンを襲おうというのが根本から間違っている。
警備員以上に手練れが多いというのに。
1人というのが狙いやすいという単純な判断基準になっていたのなら、相当なアホだと潤伍は思った。
彼は自分の力量を知っていた。
線の細い潤伍を心配した両親は、何か武道をと、近くの剣道道場の門を叩いたのが小学3年生の時。
それから高校生まで腕を磨いた。
そこで培った眼と警備員としての経験が、1人ポストマンへの決意を固めさせた。
余裕を持ちつつも気を抜かず、5K先のホームセンターを目指した。
予想通りかなり荒らされている。迷わず自転車のままペットコーナーへと向かうが、餌関係は魚や鳥以外はほぼ無い。
ただ、彼らの探し物は餌ともおやつとも言えない物だった。
有難い事にハギは何でも食べてくれたので、キャットフードをわざわざ求めなくて済んだ。
「この子ね、面白いんだよ。このケースじゃないと絶対にダメなのね」
夏との会話が思い出される。
なぜ今まで忘れていたのか、なぜ今になって思い出したのか…。
通常ルートとは外れて移動するには必須だ。
ここまで荒らされる必要があるのか、と問いたくなるような書店で見つけた地図と暇潰しの本を数冊拝借し、ようやく探し物兼ポストマン生活のスタートだ。
「何だ、テメェは」
~早速か…。
「郵便屋だ」
荒れた街を巡るポストマンはやはり目立つらしい。半日もすると早々に賊に目を付けられる。
「んなこたぁ分かってる!何でポストマンがこんなどこに居るか聞いてんだよ!」
「探し物だ」
「俺らの探しモンは見つけたぞ」
2人の賊はいやらしい笑みを浮かべて前かごのハギを指差した。
「いい具合の肉付きだなぁ」
太っているのは否定できないが、彼は家族である。
潤伍は支給されたハンドガンを気だるい面持ちで構えた。
正直、雑魚に構っていられない。
「ハッ!今時そんなもんでビビる奴ぁいねぇよ!こっちは2人だぞ!」
2人が銃を構える前に彼は動き出した。1人の腕を後方に捻り上げて地に付け、もう1人が懐から手を出す前に顎先へ銃口を突きつける。2丁目のハンドガンを出し、膝を背中に押し付けられたて地でバタバタする男の後頭部に当てる。
「まだやるか?」
「わ、悪かったよ…」
「武甲の街へ入れ。猫なんか狙わなくても、仕事や食料がある」
無駄だと分かっていても、一応誘ってみる。2人は無言で立ち去った。
だいたいポストマンを襲おうというのが根本から間違っている。
警備員以上に手練れが多いというのに。
1人というのが狙いやすいという単純な判断基準になっていたのなら、相当なアホだと潤伍は思った。
彼は自分の力量を知っていた。
線の細い潤伍を心配した両親は、何か武道をと、近くの剣道道場の門を叩いたのが小学3年生の時。
それから高校生まで腕を磨いた。
そこで培った眼と警備員としての経験が、1人ポストマンへの決意を固めさせた。
余裕を持ちつつも気を抜かず、5K先のホームセンターを目指した。
予想通りかなり荒らされている。迷わず自転車のままペットコーナーへと向かうが、餌関係は魚や鳥以外はほぼ無い。
ただ、彼らの探し物は餌ともおやつとも言えない物だった。
有難い事にハギは何でも食べてくれたので、キャットフードをわざわざ求めなくて済んだ。
「この子ね、面白いんだよ。このケースじゃないと絶対にダメなのね」
夏との会話が思い出される。
なぜ今まで忘れていたのか、なぜ今になって思い出したのか…。