「第三極ではなく安定した力のある一極を目指す」~離合集散の沈鬱と決断する政治

 石原新党に対する論評をもテレビで行っている。石原後継の副知事と維新の候補にも取り沙汰されているキャスターを堂々と出し続けている読売テレビは、かなり大胆だと思う。公職選挙法に抵触する恐れをどうコンプライアンスしているのだろうか。

自民党は、審議拒否戦術はとらないと決めたようだが、問責を受けた総理の所信はきかないとしている。公債特例法案も未だに通らず、一票の格差についての衆参の違憲判決を受けての法案は、可決の見通しが通っていない。自身の代表選挙支持応援を人事にフルに利用したために、野田内閣は既に閣僚一人が辞任している。「身体検査」が行われた形跡はないという言い切る識者さえいる。閣僚の政治資金や適確性をはじめとする検査が行われないなどと言うことがあるのだろうか?様々な情報を分析しているセクションが内閣にはある。その意見さえ無視して人事を強行したとみるのが妥当ではないかと言う者もいる。与党に所属する私にもわからない。
「少なくともあと3人の閣僚は、辞めてもらわなければならないし、すぐ辞めることになるだろう。」自民党の主流派の言葉の信憑性を確かめる術はない。しかし、経験のない、しかもわきの甘い閣僚に狙いを定めて自民党は、臨時国会で攻勢を仕掛けてくるということは確実だと思う。

 大阪維新の会は尖閣を国際裁判所に提訴すべきと言っているという記事が目にとまった。領土問題にもなっていないものを安定かつ平穏に支配している国が自ら国際司法裁判所に何を提訴すると言うのだろう。1000歩下がって仮にそれが行われ、日本が晴れて国際司法裁判所で勝訴を勝ち取ったからと言って、問題はそれだけに終わらない。国際司法裁判所が、その判決の効力を発揮させるのは、国連安保理を通じてのことだ。国連安保理の常任理事国である中国には拒否権がある。拒否権がある国と何を争うというのだろう。
現にニカラグアは国際司法裁判所で米国に対して勝訴した一件があるが、米国は国連安保理での効力を拒否権を使って有名無実にした。

地方議会の議員は地方議会の議員だけのことを行えというつもりはないし、地方の首長が国際政治に関心を持つのは大事なことだ。しかし、国政政党を作ろうと言うのならば外交安全保障の最低限の知識が必要だ。

第三極の結集が叫ばれているが、今のところの経緯だけを見れば、エネルギー政策、消費税増税、TPPなどでも大きな隔たりを埋められないでいる。それらの違いを言い立てることは、総選挙に置いて共倒れすることを意味する。しかし、他方で政策的な違いを放置したまま、安易な連合を組めば、政権を担ってからの統一を欠く。
民主党にも自民党にも嫌気がさしているという国民は少なくない。8党派で組んだ細川連立政権は、国民福祉税という消費税増税問題や北朝鮮への対応の違いが原因となり中途で瓦解している。あの時も細川首相は、佐川急便献金問題で国会で激しく追及された。トップが政治資金問題で弾劾され、政権党内部が分裂に曝されたのも今回の民主党連立政権と酷似している。

賽の河原の石積みのようなことを続けることはできないし、やってはならない。
偏狭なナショナリズムで乗り切れる程、国際社会は甘くない。

私のところに政治そのものを民主主義、人権と自由の観点から建て直し、リベラルの核を作って再編に臨むようにと言う声が届く。私は、代表選挙で石橋湛山首相の系譜をひく政治が必要なことを強く主張した。しかし、そこへの道筋は、まだ見えない。見えないどころか、寧ろ逆の動きのほうばかりが顕在化している。

3極ではなく、1極を鍛えなければならないという申し入れも続いている。
しかし、申し入れる人たちも様々だ。一極を鍛えると言っても、その1極が自民党を基礎にするのか民主党を基礎にするのかで全く違っている。「自民党化した民主党」が基礎にならないことは確実だが、世襲だらけの自民党に変革の力が残っているとも思えない。