文化学園の大沼淳理事長さんのお話をうかがう機会をいただきました。 

 日本の「衣食住」の文化。その中でも「衣」の文化は独特の発展を遂げてきたこと。世界有数の衣の大国、ファッション大国でもある日本。
 その文化はどのように育まれ培われてきたのか。
 
 明治の殖産興業を支えたもの「衣」でした。総生産の86%が衣であったことを考えても、いかに大きな比重をしめていたかがわかります。
 
 しかし、衣そのものを大学で本格的に教えていたかというとそうとばかりは言えません。
 むしろ衣は、名人ともいうべき職人に支えられており衣を体系的に教えてきたのは、文化学園に代表される数少ない専門学校に限られてきました。

 どうして日本で大学での「ファッション教育」が発達しなかったかについての大沼理事長のお話もとても示唆に富んだものでした。

 「富国強兵 欧米においつき追い越せ」という国家的課題を達成するためにも明治政府は帝国大学を中心とした高等教育に欧米文化を学ぶ場を設けていました。帝国大学の教育の流れをくむ人たちが欧米文化のサーベイや紹介に熱心(ともすればそれだけに終わる)のも歴史的背景があるのかもしれません。
 
 これに対して「衣」は、日本人の優れた美意識・市井の力に支えられて独自の発展を遂げており大学とは別の「教育」の場が既にあったとみるのが正しいのかもしれません。

 NHKの朝の連続テレビ小説「カーネーション」はコシノ三姉妹のお母さんでもある小篠綾子さんをモデルにしています。
 大沼先生から「綾子とあかい糸 コシノ三姉妹の母の生涯」(さとうひさえさん著 文化出版)をいただきました。Whttp://goo.gl/NUgbZ

 わが国の豊かな着物の文化に育まれた創造性
 自由な発想
 岸和田のだんじりに象徴される強烈な個性を育む「土壌 自己同一性」

 そして女性の太陽のような力
 本当に多くのものを学ばせていただきました。
大沼理事長はじめとする先達の皆様に心からの感謝を捧げたいと思います。