現在の米政権は、大統領貿易促進権限(TPA)を持っていません。
TPAについてはhttp://goo.gl/zJlbV(外務省HP)をご覧ください。
APECにおける野田首相のTPP発言。
帰国後の両院議員総会で真意を質す機会が儲けられています。
外交は政府の専権事項ですがその限界もあります。

貿易促進権限は、行政府に対し議会への事前通告や交渉内容の限定などの条件を付す一方で
かかる条件を満たす限り議会側は行政府の結んだ外国政府との通商合意の個々の内容の修正を求めずに
迅速な審議によって通商合意を一括して承認とするか不承認とするかのみを決することとすることを定めたもの。

日本では、外交は政府の専権事項とされています。
しかし主権に関わる重要事項・国民生活そのものに関すること全てを
政府が国会に諮らずに勝手に国際約束するようなファストトラック権限まで
持てるのかというとそこは疑問です。
批准の可否だけでなく交渉の是非についても国会による一定の制約が必要です。

国会でのTPPのISD条項に関する審議でも明らかなように、
国内法の上位に位置し国内法をも「制約」する国際条約の交渉は、
確かな戦略と目標の共有が無ければなりません。
FTAAPを進めると言いながら、何故、それがTPPなのかの説明も十分になされていません。

外交は内閣の専権事項であるという根拠は
憲法73条に定める内閣の行う事務「内閣は、他の一般行政事務のほか、左の事務を行う。
法律を誠実に執行し、国務を総理すること。外交関係を処理すること。条約を締結すること。」にあると解されます。
同時に憲法73条は「但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」としています。
複雑・高度化する国際社会の中で「ルールにおける競争や協調」は
これまで以上の重要な意味を持ちます。
首相が条約交渉のファストトラック権限全てを有するかどうかは疑問です。