二十年程前に見た奇妙な夢の話 | 晩節雑考種々雑考~明るく素直にあたたかく~

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とかくこの世は生きずらい、みだりに悲観も楽観もせず、執念深く生き通していく精神を養いたい・・・・

 月日も季節も忘れたがあれは二十年程の前のいつにも増して寝苦しい夜(当時午前3時4時に寝て7時に起きるのが普通だったので明け方近くか?)に見た奇妙な夢だった。

 よく映画を観に行く有楽町マリオンが原爆ドームになっていて辺り一面が映画『ターミネーター2』の冒頭「廃墟となった2029年のロサンジェルス」の如き有様で骸骨を踏み潰すのはロボットでなく『我々』の乗ったジープ。

 その夢の中で愚生狩場兵庫はアジア連合占領軍の将校の一人として仲間のアジア人将校たちとこの地に降り立つ。

 原爆ドームとなった有楽町マリオンを見上げ『ここでよく映画を観た』と仲間に語り『肝試しするか』と倒壊しそうなその中へ仲間とともに入り階段を上って廃墟となった劇場へ。壁は穴だらけで外へ筒抜けて意外に風が強い。大きく崩れた壁面の痕から廃墟となった東京が一望出来、西にはなぜか変形した富士山も見える。

 『どう想う、日本人として』とアジア人将校。

 『俺はナチスジャパンファシスト連合押しつけ憲法を拒否し国賊としてこの国を追われた中立な第三国人だ。』

 『ザマア見ろと思うか?』と別のアジア人将校。

 愚生は外に向けて手を広げ『すべてはこいつら日本人が景気景気と蚊が泣いたように泣き続けてナチスジャパンファシスト連合による憲法改悪を絶賛した挙句の自業自得だ。』

 愚生の手には『新・東アジア自治共和国憲法』と書かれた本がある。

 『日本人は旧日本国憲法より優れた人権と民主主義非武装中立のこの新憲法を歓迎するだろう』

 『国中がこのように廃墟となったんだ、いいかげん、バカな戦争をした挙句敗け果てたと気が付くだろう。』

 『国民投票では100%これを受け入れるんじゃないか。』

 などと、仲間のアジア人将校たち。愚生は、

 『むしろ否決してくれることを俺は期待している。そう簡単に承認してもらったんじゃああいつらが学習したことにはならない。あいつらの事だ、またすぐに景気景気と蚊の様に泣くに決まっている。時間をかけて自分たち全員が戦犯としての自覚を持って学習して放射能まみれのこの国土で田畑を耕したり漁業をしたり樹木を育て家畜を飼育したりして生きて行くしかない、経済では物事は何も解決しないと目覚め二度と景気景気と蚊の様に泣くようなみっともない真似はしないと誓って加害者として戦争を反省してくれてからの方が奴らの身に憲法の精神が宿るんじゃあないかな。』

 奇妙な夢はそこで終わった。

 1970年代後半の中学生時代、社会科の教師(非日教組、この人は日教組が嫌い、詳しい意味内容はわからないが、)が、憲法改憲勢力が衆参両院で3分の2を獲得するような事態は不可能だありえない、と語っていたことに素朴な疑問をおぼえた。なぜそう想ったのだろう?おそらく歴史好きとしていかにこの国の人々はかつての戦争国家時代に戦争熱に浮かれまくりさらにそれを敗戦によって本当に反省しているのか?という素朴な疑問があったからだと思う。素朴な疑問は1986年夏の衆参同日選自民党圧勝で確信に変わった。この選挙の結果この国の人々は憲法改悪に賛成した、いつかそれが実現する日が来るに違いない、と。そしてそれは近日間違いなく実現することが確実になったようだ。

 愚生には予知能力に近いものがあるらしい。我が歴史劇映画脚本は、過去の歴史物語だが全編に記号暗号が組み込まれた現代劇であり近未来劇でもある。『すべて』をこれらの作品に組み込む努力をしている。

 二十年程前に見た奇妙な夢はある意味で予知夢であったのかもしれない。