映画『クラウド アトラス』~生まれ変わりによる人生の人間の可能性についての物語~ | 晩節雑考種々雑考~明るく素直にあたたかく~

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とかくこの世は生きずらい、みだりに悲観も楽観もせず、執念深く生き通していく精神を養いたい・・・・


狩場兵庫劇場


狩場兵庫劇場


CLOUD ATLAS

邦題『クラウドアトラス』


ウォシャウスキー姉弟&トム・ティクヴァ監督2012年作品

カラー・ドルビーデジタル

1:2.35シネマスコープサイズ

丸の内ピカデリー3


 ある新聞の映画欄で『つかれたあ~』とかボロクソにけなしていたが、その新聞はほとんど外国映画はボロクソ・日本映画はほぼ盲目的に絶賛とまるで狂信的国粋主義で、とりあえず吐き気をもよおすのだが。

 生まれかわりをどう考えるかは人によるであろうが、個人的にはロマンをおぼえる、生まれかわりのそして人生の可能性についての素晴らしい物語。


 数百年にわたる複数の物語が、同時進行で(平行モンタージュ)、語られる。

 つまり各複数の物語の冒頭部分が語られ、各第一幕、そして各第二幕と時系列はバラバラに行ったり来たりしてやがて複数の物語が同時にクライマックスを迎える。

 古典的名作『イントレランス』の構成。

 ややこしいかもしれないが、これでいいと思う。劇場販売パンフのストーリー解説では各時代ごとに書かれているが、あらかじめ予習しておくのも悪くはない。

 トム・ハンクスはじめ十数人の役者が、一つの魂の生まれ変わりを演じる。これがとても観物であり観応えがある。

 例えばトム・ハンクス演じる人物、最初はとんでもない奴なのだが、生まれかわるたびに微妙に人物像が変化していく。前世に比べ成長してたり、やや後退してたり、そしてクライマックスで大きな壁を乗り越える。複数の人物なんだけれど魂は一つ、何度も生れ変って魂が成長していく。

 中には何度生れ変ってもろくでもない奴もいる。ああ、こういう人いるだろうなあ。俺もそうかな?

 同じ映画の中で一人の役者(それも複数)が何役も演じる作品はこれが初めてではないだろうか。生まれかわりで、性別や人種も違う、とても同じ人が演じているとは思えない、この驚き。

 映画とは『驚きの美学』

 エンドタイトルで、カーテンコールのごとく、各役者の演じた人物がスクリーンに役者名とともに表示され、『ええ!この役もこの人がやっていたのか!』と言う感動の驚きを何度も味わう。エンドタイトルが出ても決してお席を立たないでください。

 人はきっと何らかの役割を担って生まれてきているに違いない。しかし、それに気が付きそれに向かって努力をしてもなかなか上手く行かない人もいる(愚生がそうだ)、つらいことだがそれも人生である、と受け入れることが出来れば少し気持ちが楽になる。そんなことを考えさせてくれた。

 欲を言えば、前世と現世で、被害者と加害者が入れ替わる『カルマの法則』をもっと押さえてほしかった気もするのだが、欲張りであろうか。確かにこちらの期待とは違った形で『カルマの法則』は描いている、と思う。ぜひそれらを多くのお客様に作品を通して体験してほしい。

 観終わったその瞬間から二度三度と観たくなる作品。

 この作品を観てお気に召されたお客様は、必ず登場人物の誰かに共感するに違いない。個人的には、ジム・スタージェス演じる人物に共感と言うか俺に近い、と思った。理想に燃えながらもまだまだ未熟な若者が、世の中の現実を目にして病に倒れながらもある行動に出る。それは人生への挑戦であろう。彼はそれに勝利し『宝』を持って帰還する、妻のもとへ。その妻をぺ・ドゥナが演じ、二人は生れ変っても夫婦(写真だけの登場)となりさらに生れ変って違う形で結ばれる。最初の時代の物語で彼の魂は完成されたかにみえるが、人はこの世に修行のために生まれている、彼の魂の修行の旅は生れ変っても続いて行く。

 細かいところは解説してくれないと二度三度観てもなかなか細かいところまでは気が付かないかもしれない。それがこの作品の奥の深い素晴らしい所でもある。


 霊界研究者としても知られた今は亡き丹波哲郎さんがこの作品をご覧になったら、なんと言われるであろうか。


 わが売れない愚作歴史劇脚本集、各登場人物に生まれ変わりを設定している。例えば。我が作品で描かれる平清盛は、別の作品で別の人物として生まれ変わる。足利尊氏もそれ以前の時代の作品で登場した誰かの生まれ変わりである。しかしそれぞれ別作品でもあり、その設定内容は公表しない。


 『クラウドアトラス』丸の内ピカデリー3にお似合いの作品だ。二階席の無い劇場でスクリーンを観上げるように天の高みを望むように観るのにいい作品。こういう奥の深い人間ドラマ、丸の内ピカデリーに似合う。


いい映画を観る時、生きていることの喜びをおぼえる。

作品の記憶はそれを観た劇場の記憶とともに。


狩場兵庫劇場


『丸の内ピカデリー3』有楽町マリオン別館5階。意外に場所がわかりにくいと思われるお客様がおられるようで、我がポンコツブログで解説しましたが、また2回ほどかけてご案内します。

画像奥の窓から下をのぞいてみましょう。


狩場兵庫劇場


有楽町マリオン通り、向かいの建物は『イトシア』


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こちらはサービスカウンター前の窓から有楽町マリオン本館と別館の間のマリオン裏庭。年末に大きなガラスの箱が置いてある画像、先日も再びご紹介しましたが、あの場所。近日あらためてご紹介します。


我がポンコツブログにお越しいただき本当にありがとうございます。

皆様のご健康とご多幸を願い、なによりも宇宙船地球号の未来の主人公である子供たちが、戦争や災害に巻き込まれることなく、権力の圧政と十分に闘え可能性の芽を育てられる世の中となることを願って・・・・・・・・