電子辞書の漢字源を引くと「温」の音読みは呉音と漢音が「をん」で、唐音が「うん」「袁」「遠(远)」「園(园)」「猿」は呉音が「をん」、漢音が「ゑん」。「圓(圆、円)」は呉音も漢音も「ゑん」。「元」は呉音「ごん」、漢音「げん」、慣用「ぐわん」。

北京語の「元」Yuánに対してベトナム語のNguyênでは声母Ngがある。シナ語の古音のなごりだろう。一方、北京語「圓」Yuánに対し、ベトナム語のViênでは語頭にVが生じている。これは上下の唇が接近して上の歯と下唇で摩擦が生じた結果だろう。


現代中国語でshi、日本語の音読みで「シ」になっている漢字は、朝鮮語の漢字語で「사(師、士)」saと「시(市、詩、始)」siなどに分化している。「世」shìは日本語の音読みで「セ」、朝鮮語の漢字語で「세」se。

標準中国語の「十」shí、「失」shī、「式」shìに対する朝鮮漢字語の「십(十)」sip,「실(失)」sil、「식(式)」sikは、古代漢語の末尾子音pとkが保存され、漢字音の末尾のTがLになった結果。日本語の音読みでは「シフ(十)」、「シツ(失)」、「シキ(式)」(「拂拭」の「拭」は「ショク」)。

「袁世凱」は漢字の朝鮮語読みでは「원세개」Weon Segaeになるが、今の標準中国語のYuan Shikaiを韓国人が真似しなおすと「위안스카이」Wian Seukaiになるようだ。

「蒋介石」は日本語で「しやう・かいせき」、英語でChiang Kai-shek、廣東語でZoeng Gaai-Sek、
標準中国語でJiang Jieshiだ。韓国では「蒋介石」は「장개석」Jang Gaeseokか、
「창카이섹」Chang Kaisekか、それとも「장제스」Jang Jeseuか。

「阮」はベトナム語でNguyenであり、これは古代漢語のNg声母を残しているのだろう。
今の中国の普通話でRuanだが、これは語頭のNgが脱落してYuan(「元」はこの段階)となった後、
更にYu-がRu-になった結果だろう。「容」と「鎔」もYongがRongになった結果だろう。

講談社『英語で読む高校世界史』(2017)271ページにYuan Shi-kai(袁世凱)の名がある。
その前の270ページでは壬午軍乱がImo incident。Imo(임오)は「壬午」の朝鮮語読み。
甲申(こうしん<かふしん)政変がGapsin Coup。Gapsin(갑신)は「甲申」の朝鮮語読み。 

袁世凱

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