有声摩擦音の摩擦が弱まり、音の響きが母音と同じになったものが接近音、半母音である。
鼻音(m,n,ng)、流音(r,l)とともに自鳴音に属する。
βが無摩擦になるとwとなる。これはu(i,e,,o,aなどの前後)またはo(aの前後)が子音化したとも考えられる。
vが無摩擦になるとυになる。上の歯と下唇を合わせて[u][w]を發音するとこれになる。
 
日本語のwはかつて
わワwa
ゐヰwi 
うウwu=u
ゑヱwe
をヲwo
だった。
ワ行ウ段はもとからア行ウ段と同じだった。
その後「ゐ」「ゑ」「を」がそれぞれ「い」「え」「お」と同じになり、今の日本語でwは「わ」waに残るのみである。
わワwa
ゐヰwi → いイi
うウwu=u
ゑヱwe → えエ(>yeと混乱?>)e
をヲwo → おオo
 
シナ語におけるwは「山谷」shanguと「上午」shangwuのようにuの前の音節の境目を示す指標であり、uで始まる二重母音(ua,uo)や三重母音(uai,uei)が零声母の場合、uはwと綴られる。
u>wu(hu)
ua>wa(hua)、uai>wai(huai)、uan>wan(huan)、uang>wang(huang)
uei>wei(huei>hui)、uen>wen(huen>jun)、ueng>weng(hueng>hong)
uo>wo(huo)
 
英語におけるwoman[wumən]やwool[wu:l]などの[wu]はwoのoがuに近づいたか、wが摩擦化してβに近づいているかどちらかだろう。
シナ語の地名のWuhan(武漢)、人名のWu Dawei(武大偉)など、英語でもそのままWuで書かれるが、もとのシナ語ではWuはただの[u]である。
 
Wは両唇が接近すると同時に、軟口蓋と舌根も接近するので、βとγ(gh)の摩擦を弱めた同時著音とも解釋できよう。
シナ語の「武」Wu3のWはMが崩れた結果で、途中の段階のbが日本語の漢音に残る。
一方、「呉」Wu2のWはngのような舌根・軟口蓋音が崩れた結果である。
 
朝鮮語におけるwもuやoを含む重母音の一部として扱われる。
ㅘoa>wa、ㅚoi>oe>we、ㅙoai>wae
ㅝueo>weo、ㅞue>we、ㅟui>wiまたはü
 
W音を母音の側から見ると、uが子音化したものだが、aの前後ではoもwになる。
インドネシア語でも「中華」はTionghoaである。
ベトナム語で「中華」はTrung Hoaである。
ベトナム語で「中華人民共和国」はCộng hòa Nhân dân Trung Hoaである。
 
モンゴル語においてはwはв[β](ロシア語で[v]を表す字母の借用)となる場合が多い。
上の歯と下唇を接近させて出す母音のような音がυである。
上海語(呉Wu方言)のwの変種vは唇歯音であればvかυ、両唇音であればβかw(またはu)になる。
 
標準シナ語でvはfかwの異音として扱われるのみである。
ただ、fuの發音で、fからuに移行して声帯が震えても上の歯と下唇が接近したままであれば、uはυになる。
つまり、シナ語のfuはfυになりやすい。
敢えて書けばfvだがシナ語のピンインにおけるvはüの代用であり、普通話にlüとnüは存在してもfüは存在しないので、fvはあり得ない。
 
英語教材のスピードラーニングまとめさんのツイート
... ueng>weng(hueng>hong)uo>wo(huo)英語におけるwoman[wumən]やwool[wu:l]などの[wu]はwoのoがuに近づいたか ... 人名のWu Dawei(武大偉)など、英語でもその…
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〔2015年(平成27年)2月
 
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wu dawei 武大偉〕〔wuhan 英語〕(twitter)