日本人はYan Han(閻涵)をEn Kanと呼ぶように中国人の名を漢字の日本語読みで呼び、中国人はHanyu Yuzuru(羽生結弦)をYusheng Jiexianと呼ぶように日本人名を漢字のシナ語読みで呼ぶ。これは一見「楽」なようで実は面倒。
 
羽生結弦に関して報じられたように、「結弦」の「正しい」シナ語読みがJié-XIÁNであっても、中国人がこれをJié-XUÁNにする可能性がある。中国人でも漢字のシナ語読みを「間違える」ことがあるわけだ。
 
また「咲」は「笑」の異体字だから、「美咲(みさき)」はシナ語ではMĕi-XIÀOになるはずだが、
中国では「关」からの類推でMĕi-GUĀNと呼ばれていたし、
日本で、ある中国人に聞いたら「吹」から類推してMĕi-CHUĪと読んでいた。滅茶苦茶である。
 
「咲」は中国起源らしいからいいとして、和製漢字「辻」「畑」はどうか。現代漢語詞典などで「辻」の字音は「十」と同音のShíとなっているが、「迁(遷)」Qiānや「过(過)」Guòと勘違いする人がいるかも知れない。
 
「畑」は中国の辞書で「田」と同音のTiánとして記載されているが文字全体が「烟」Yānに似ている。だから「高畑(たかはた)」はGāo-TIÁNが「標準」のはずだが、中国でGāo-YĀNと呼ばれ、本人も中国でそう名乗っていたケースがある。
 
逆もまた真なりで、日本人も中国や朝鮮の地名・人名を「正確に」日本語読みできるとは限らない。朝鮮人名の場合、「黄長燁」や「李承燁」の名に使われた「燁(=火+華)」はどうか。  
平成26年師走24日午前10:19
 
「燁(=火+華)」は日本語の音読みで「エフ」→「ヨウ」だから「黄長燁」は日本語で「クワウ・チャウエフ」だが、以前、若生彊雄(下注釋)という人が「華(クワ→カ)」から類推して「黄長燁」を「コウ・チョウカ」と誤読し、雑誌「正論」で呉智英氏(下注釋)から痛烈に批判されていた。