国連の事務局長は英語で Director General であるが、「ディレクター」と言えばテレビ番組などの演出家だ。天野氏は国際原子力機関の総合的(綜合的)な演出家だったか。

国連の事務総長は Secretary-General だが日本の政党の幹事長も secretary general になるようだ。だから潘基文は国連の幹事長で、小沢一郎は自民党にいたときに自民党の事務総長だったとも解釋できるわけだ。竹下登も中曽根から指名されたときは自民党の事務総長(=幹事長)で、今の自民党では石原伸晃が事務総長ということだ。

それから旧共産圏のトップが「書記長」と呼ばれたのも General Secretary の譯でこっちは General が前だ。
ロシア語でソ連共産党書記長Генеральный секретарь(General'nyj sekretar')になるらしい。
アクセントはаにあるので、發音は[ginirá:l'nɨj-sikritá:r']となる。

General が Secretary の前か後(あと)かでどう違うかわからないが、とにかく同じ単語の組み合せである。
幹事や書記が一番偉い組織というのも不思議であるが、これは譯の問題である。

国連の「事務総長」と日本の政党の「幹事長」は英語でSecretary General、
旧ソ連の「書記長」は英語でGeneral Secretaryだが、
ロシア語では「事務総長」も「書記長」もGeneral'nyj Secretar'になるようだ。

英語のsecretary は「秘書」であるから、中国で国連の事務総長を「聯合国秘書長」Lianheguo Mishuzhang(下注釋)と言う。

アメリカの国務長官は the United States Secretary of State だから合衆国(合州国)の秘書になる。
ライス(Rice)さんもヒラリー(Hillary)さんもアメリカ政府の秘書だったわけだ。
大統領には国務長官と別に秘書がいるだろう。

日本の政党の幹事長は総合秘書(綜合~)または秘書長であり、ソ連の書記長も総合秘書または秘書長だったわけだ。

ゴルバチョフ(Gorbachёv)は1985年にソ連の「書記長」になり、90年にソ連で最初で最後の「大統領」になった。
「大統領」は president(下注釋)であるが、pre-sident は「前に座る人」で「議長」も意味する。
自民党の総裁も英語では President になるようだ。
ゴルバチョフは「書記長(General Secretary)」から「大統領(President)」になったわけだが、
「事務総長(Secretary-General)」から「総統(President)」になったとも解釋できるし、
「総合秘書(General Secretary)」から「社長(President)」になったとも解釋できるし、
「幹事長(Secretary General)」から「総裁(President)」になったとも解釋できるし、
「書記長(General Secretary)」から「議長(President)になったとも解釋できる。


前後一覧
2011年4月前半 4/15 4月後半

関連語句
事務総長 書記長 幹事長 書記長 幹事長 secretary general
Y!Japan 書記長 幹事長 secretary general [1] [2] [3]


注釋
「聯合国秘書長」Lianheguo Mishuzhang
国際連合の前身は第2次世界大戦の「連合国」であり、英語名は当時から the United Nations で同じである。
だから中国では「聯合国」Lianheguo と呼んでいる。
むしろ日本人だけが「戦後」になって連合国を「国際連合」と言い替えて、まるで「戦後」にできた国際組織のように思いこんでいるのだ。
「聯合国秘書長」は繁体字で「聯合國秘書長」、簡体字で「联合国秘书长」である。
日本では20世紀後半の漢字簡略化で「聯合」などの「聯」を「連」に、「編輯」などの「輯」を「集」にそれぞれ統合した。
ピンイン(拼音、pinyin)の途中で改行する場所をハイフンで示すと Lian-he-guo Mi-shu-zhang になる。漢字1個が1音節で、「聯」が Lian で、「合」が he であるから、漢字が表す音の境い目で音節が区切られる。 日本人はこういうアルファベットの単語の区切りをよくわかっておらず、Mishu(秘書)であれば、Mi と shu で区切るべくなのに、Mis と hu で区切るようなことをする可能性がある。
実際、電車で見かける英語の表示など改行の場所がおかしいところがある。

president
ソ連の公用語だったロシア語で prezident または pred-sedatel' である。
キリール文字(キリル文字)ではпрезидентまたはпред-седательである。
「社長」の意味もあるので雑誌『プレジデント』もあって、20年ほど前は戦国武将などをやたら特集していた。
中国では大統領を「總統(总统)」zongtong にする。
朝鮮では「大統領」を朝鮮語で読んだ「대통령」である。
發音は tae-thong-ryeong だが、r が ng のあとで鼻音化して tae-thong-nyeong になることが多い。
「대통령」[tε:-thoŋ-rjɔŋ]→[tε:-thoŋ-njɔŋ]
朝鮮語の[ɔ]は外来語の發音から考えると[ʌ]か[ə]に近いと思われる。