佛教の七宝に数えられる「玻璃(はり)」と旧約聖書に登場する「ハンナ」にちなんで決めたらしいが、こうなると佛敎もキリスト教も混ざっており、いかにも日本的だ。

人名用漢字の制限には問題があるが、それは法で決められており、まず、選挙を通して国会の議決で改正すべきである。
何でも裁判で解決しようとしても、裁判は今の法律の枠内での判断しかできない。

さて、親はひらがなで届け出るようだが、それでは初めからそうすればよかったのではなかろうか。
ひらがなの「はな」になったとして、この「はな」さんが、もし留学か旅行などで中国に行ったら、どう名乗るか。

「玻南」は中国では Bonan と読まれる。
両親は旧約聖書のハンナにちなんだ名前のつもりだったが、中国では「漢納」Hanna にでもしない限り、そういう命名の意味はつたわらない。
「玻」は「ハ」Ha と読むのは日本語ならではの現象である。

「玻璃」が戸籍で受理されず「はな」になったという事情を知らない中国人は「はな」を「花」Huā または「華」Huá(姓では Huà)と解釋するかも知れない。

日本人の親が子供につける名前の漢字にこだわりながら、中国でどう読まれるかをまるで考慮に入れていない点、佛敎もキリスト教も混同している点など、非常に日本的な事例である。

Kim Haneul は中国で「金荷娜」Jin Hena(または Henuo か)らしいが、もしそうだとすると、この漢字を朝鮮語で読むと Kim Hana になりそうだ。


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2010年4月 4/9