「幸」は手にはめる手かせを表したもので、その手かせからの解放を意味するということで、漢字の意味とは場合によっては字形そのものの意味を否定するような「ひねった」意味があり、非常にわかりづらい。「倖」は想いもよらぬ幸運。「幸」xing4 は「形」や「型」xing2 と同系らしい。
朝鮮語では「形」や「型」は hyeong である。

朝鮮語で「辛」は shin(文字轉写 sin)、「親」は chin、「幸」は haeng(文字轉写 haing)である。
北京語で「辛」は xin1 で、「幸」xing4 であり、偶然にも音が似ている。

中国大陸では「倖」は「幸」の異体字として組み込まれているが、「形」と「型」を未だにかき分けているのは、ある意味で不思議である。
字形どおりの解釋で「幸」が「手かせをはめられた状態」であれば、それを「手かせからの解放への途中」と考えれば、確かに「辛いのは幸せになる途中」であろうか。

朝鮮語の場合、「形」と「型」は hyeong で、これは「兄」と同音。「兄弟」は hyeongje になる。
「姉妹」は camae である。chamae の ch が平音。jamae の j が清音、文字轉写 camai になる。「兄弟」のほうの hyeongje も文字轉写で hyeongce である。
もっとも、朝鮮語の eo(ᅥ)をё、e(ᅦ)を ёi(ᅥ+ᅵ)と解釋すると、「兄弟」は hyёngcёi になる。

朝鮮では男が呼ぶ「兄貴」が hyeong で、女が呼ぶ「お兄ちゃん」は oppa である。男が呼ぶ「姉貴」は nuna で女が呼ぶ「お姉ちゃん」は eonni である。
朝鮮語では「幸」は haeng であり、これは「行」と同音。「銀行」は朝鮮語で eunhaeng である。

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2010年1月 1/26 1/29 1/30