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↓翻譯
三 俗字を提唱した林語堂
林語堂は別字による代用に反対する一方、俗字の使用を提倡していた。1933年から半月刊の『論語』に『俗字討論欄』を特別に設け、有識者がそこで持論を展開する場となった。

林語堂は別字と俗字を明確に区別すべきだと主張。例えば欧洲の「欧(<歐)」を「殴」と書くのは別字だが、「欧」は俗字である。留学の「留」を「流」と書くのは別字だが「畄」は俗字であるという具合である。

実際、どこの国の文字であれ、基準が必要であり、それで国民が共通に使うわけであり、そうでなければ人々が使う基準がなく、正確に意味をつたえることができない。だから俗字を提唱する一方で、別字は排除すべきだという主張である。

彼が言うには「俗字、簡筆字、省体字、そしてすでに流行している別字に至るまで、すでに社会で通用し、見慣れたものであり、書くときの労力を省くもので、略し方にある程度の共通性があり、それを提唱するのは当然のことだ」(1933年11月1日『論語』半月刊『提倡別字』)。

林氏が言う俗字とは簡体字のことであり、彼はかつて6つの略し方の採用を主張している。

(一)現行の俗字を採用。
例;「遷」→「迁」「竊」→「窃」「趨」→「趋」、「爐」→「炉」、「聽」→「听」

(二)古字から採用。
例;「算」→「祘」「歸」→「止+帚」「衆」→「众」「懼」→「目目の下に心」

(三)行草書の略字体を楷書として採用。
例;「関(關)」→「门 の中に关」)、「歡」→「欢」、「」→「+隹」、「」→「糸+

(四)白話の中でよく見られるものを採用(「尤応顧到」は意味不明)。
例;「邊」→「边」「這」→「」、「纔」→「才」、「甚麽」→什么

(五)通用している簡体字を採用する。
例;「齊」→「斉」「學」→「斈」「麗」→「丽」「衚衕」→「胡同」、「髣髴」→「彷彿」

(六)固有名詞は最初の3画でもよいとする。
例えば、「光華」を「艹 」だけにする。
「軍委会」を「冖千Λ」とする。
これらは書く手間を省けるが、普遍的にするものではない。
また、複数の漢字を一つにまとめる。
例えば、「光華」は「半」(横棒は上が長い)にしていい。
「復旦」は「彳+旦」(「但」の「イ」を「彳」に)にしていい。
「軍委会」を「冖の下に香」にしてもいいとする。

このうち、(一)から(五)までは現在の簡体字に生かされている部分が多いが、(六)が漢字の原則を破壊しており、習慣的な漢字の使い方からかけ離れており、採用されがたいものであった。
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補足
現行の簡体字と違うものもある。
「算」はこのままで、「歸」は日本の「帰」をさらに簡略化したような「」になった。
」は「」になっている。
「總」は日本で「総」だが、大陸で「」になり、糸偏(いとへん)も省かれた。
大陸では「」は日本式「関」を通り越して門構えすらない「」になっている。